20190207高関シティフィル都民芸術フェスティバル~傑作の森~

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」

指揮/高関健
ヴァイオリン/山根一仁
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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若きマーラーとその時代の音楽を追う1週間にしようと思い、7年ぶりとなるシティ・フィルを聴いた。

メンデルスゾーンの協奏曲を弾いた山根さんは、現在ミュンヘンに留学中の若き俊才。冒頭、楽譜にない装飾音がついたかと思うような入りだったが(実は本当に装飾音?)、次第に安定していったと思う。彼は、各フレーズの終わりをノンヴィブラートに近い奏法でのばし、そしてさらりと切る。粘着性のないスッキリした演奏。彼が常にこの奏法なのかわからないが、今回はほぼ終始そのスタイルだったため、ロマン派の抒情性の表現としては好みのわかれるところかもしれない。

IMG_6834 (1)アンコールに弾いたのはイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番より第1楽章「妄執(オブセッション)」。ジャック・ティボーに献呈され「ディエス・イレ」がモティーフになったこの曲を、山根さんは高い技術力で難なく弾き切った。

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後半のマーラーの1番は、ひと言にまとめるなら、さすがマエストロ高関だけあって楽譜が透けて見えるような演奏だった。マーラーが何を求めたのかを全集版楽譜を通して示してくれたように思う。

今回は、1995年にヴィルケンスによって部分的に改訂注釈のついた版が使われていた。要するに、第3楽章冒頭のコントラバスの主題が独奏ではなく、パート全員によるユニゾンで演奏される版である。最近では、2017年4月のN響定期でファビオ・ルイージが採用したのが記憶に新しい。

また、最初から目を引いたは1名のトロンボーン奏者が本隊とは別に、下手に並んだ8名のホルン奏者とともに着席していたことだ。最終場面でのホルンの立奏の際に、トランペットとトロンボーンを立たせる準備であることは一目瞭然。実際、ホルンの両脇にいたトランペットとトロンボーンは立ち上がって演奏。わざわざ立奏の金管を一か所にまとめておくのを見たのは初めてであった。

全体について申し上げるなら、瑕もあるが丁寧な演奏だった。私の座席の位置のせいか、第1ヴァイオリンがプルトによって時差をもって響いてくるように思えたのが残念。

オーケストラのアンコールがあった。写真にあるように「新ピツィカート・ポルカ」。