2017年07月24日

桐生一番星

1 プロローグ

「エイ、ホ、エイ、ホ」の掛け声とともに、客席後方から駕籠かき(留五郎:桐生麻耶、八兵衛:華月奏)が登場。
舞台に上がって一休み。歌い出す。

「誰かが風の中で」(上條恒彦) 

辺りがにわかに暗くなり、怪しい雰囲気に。

八:留さん、急に日が暮れたね。
留:あほか、急に日が暮れるもんか。

舞台上手奥に光が現れ、ふわふわと揺れる。

八:あれ、何だろ?
留:人魂じゃないか?
八:(怯えて)俺、人魂嫌いや。断って。
留:断ったって出てくるもんしゃーないやないか。

腰を抜かす八兵衛。留五郎は吸い寄せられるようにフラフラと人魂に近づいてゆく。
そこには白装束の美しい女性(城月れい)。見惚れる留五郎。

女;桐生に来てください。桐生でお会いしましょう。

留五郎、ウンウンと頷き、彼女の手をとろうとするが、その姿は一瞬にして搔き消え、そこには一体の地蔵が残る。

2 桐生へ行こう

謎の美女の誘いを受け、留五郎は桐生に足を伸ばすことを決意。
渋る八兵衛を説き伏せ、意気揚々と出発する。

「ハワイへ行こう」(HKT48) 

*曲中の「ハワイ」は「桐生」に置き換えて歌います。

道中、地元の駕籠かき鬼熊(翼和希)率いる北関東雲助軍団とトラブルとなる。
最初の飲み比べ対決では、ボスと留五郎双方ぶっ倒れて引き分け。
再戦のタイムトライアルでは、足自慢の女駕籠かき(麗羅リコ、穂香めぐみ)の挑戦を受け、辛うじて勝利。
北関東雲助軍団は悪態をついて引き上げる。

その後、留五郎は、ひょんなことから小さな寺子屋で教えるサエ(城月れい)に出会う。
謎の美女と瓜二つのサエに留五郎は一目惚れ。寺子屋で子どもたちに出鱈目を教えたり、遠足に付き合ったり大活躍。
八兵衛の応援もあって、二人はいい感じに。

3 告白

ついに留五郎はプロポーズを決意する。海を望む高台でのデート。

思い切って告白した瞬間、留五郎は眩しい光に包まれる。目の前にいたはずのサエは、白装束で一段高い場所に。

サエ:私は生まれてすぐに死んだ子どもです。でも仏様から20年だけ仮の命を頂きました。今日がその最後の日です。
留:そんな、わけわからない。だって今、ちゃんと生きてるじゃないか。それが何だって・・・。
サエ:ごめんなさい。お別れなんです。でも20年間生きて来て本当によかった。子どもたちにも会えたし、留さんにも会えた。
留:俺も、俺もだ。サエさんに会えてよかった。
サエ:留さん、お嫁さんにしたいって言ってくれてありがとう。うれしかった。
留:だから、これからいいとこじゃないか。ずっと一緒にいよう。どこにも行かないでくれ。
サエ:ごめんなさい。最後に一つだけお願いがあります。
留:なんだなんだなんだなんだ、何でも聞くぞ。何でも言ってみろ。
サエ:寺子屋に来てるお島ちゃんが大変なんです。黒駒の親分が偽の証文で身売りさせようとしています。どうか助けてあげて。
留:分かった。きっと助ける。絶対助ける。だから行くな。
サエ:ありがとう。留さん。ありがとう。

消えてゆくサエ。留五郎は慌てて走り寄るが、そこには一体の地蔵だけが残っていた。

悲しみに沈む留五郎。やがて意を決して立ち上がり、歌い始める。

「一番星ブルース」(菅原文太) 

4 疾走

黒駒(特別出演:緋波亜紀)は、脅しと騙しで人身売買を繰り返すワルであり、アヘン密売の噂もあった。
留五郎は女装した八兵衛を使って黒駒に近づく。
そこには代官所の密偵、杉田(栞さな)もアヘン密売の捜査のために侵入していた。
留五郎たちは杉田の助けも受けて、お島を助け出すが、黒駒の手下に発見される。
杉田は密売の証拠となる証文を留五郎に託し、代官所に届けるよう頼む。
自ら犠牲となって活路を開く杉田。だが、黒駒とその手下は執拗に追いすがる。

進退窮まる二人とお島。
そこに鬼熊以下、北関東雲助軍団が現れる。

鬼熊:留五郎、事情は聞いた。ここは俺たちが引き受ける。証文と生き証人を何としてでも届けろ!
留:鬼熊!
鬼熊:急げ!

二人は舞台中央で全力で駕籠を走らせる。バックには猛スピードで流れ去る栃木の風景。

サエが上手後方に佇み、静かに歌い始める。

「山路越えて」(賛美歌404番) 

吹き付ける強い風、激しい雨。二人はなんどもふらつくが、励まし合い、懸命に立て直して、走り続ける。
歌が終わるとともに暗転。
暗闇の中で物音だけが聞こえる。

代官所の門を激しく叩く音。
「お願いいたします! お願いいたします! 杉田さんから大切な物を預かって参りました。お願いいたします!」
門が開く音。

5 フィナーレ

*ハイダウェイのメンバー+桐生麻耶で作ってみました。 
*元ネタはご存知「トラック野郎:度胸一番星」です。


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2017年07月16日

廃園に佇む影〜城月れい

M:シームレスで展開する荻田ワールドの中で、圧倒的な存在感で屹立していたのが、城月さんです。
H:歌唱力、美貌、雰囲気・・・どれも余人に代え難い。
M:確かに他に誰がやれるかというと、現役、OG含めて、ちょっと見当たりません。
H:特に印象的だったのは船幽霊!
M:ローレライでしょ。柄杓で海水を汲み入れるんじゃないんですから。
H:ありゃ凄かった。あんなに美しくて怖ろしくて優しくて残酷な存在は見たことがない。
M:彼女が登場すると、舞台全体にピーンと緊張が伝わります。
H:事実上の座長と言っていいでしょう。

H:さて、その相方の華月君。
M:予想を遥かに超えていました。特に歌唱力。彼以上の男役が果たして何人いるか。
H:なんせ、この城月さんと堂々歌い交わすんですから。その後張り倒されましたけど。
M:それは演出です。
H:伸びやかな歌声もいいですが、あの、何というか頼りなげな、それゆえにピュアで誠実な感じは魅力的です。
M:いい味が出てきましたなあ。

H:麗羅さん。狭いステージでどれだけ動けるかと心配してましたが、流石でした。
M;タンゴの景! 投球ホームの分解写真みたいに、決めポーズだけが次々連続する感じ。
H:ストロボライトで照らされたようにパッパッパとね。それがダンサーのダンスなんでしょう。
M:例の張り倒し場面で、大はしゃぎするところや、城月さんとガンガンやりあったりするところも驚きました。
H:演技面でも結構やれる人だし、歌えるし、この人は化けてきました。期待できます。

M:売り出し中の翼君。この人も歌えます。
H:スーツ姿もエンターテナーも似合ってました。ダークな味の男役ですな。
M:ただ、くれぐれも「薔薇の精」路線で固まりませんように。
H:あれはこのショーで最もマンネリ的な役でした。
M:一時流行りましたからね。
H:男役の陥りやすい安易なパターンの典型です。

H:穂香さん。
M:もう「武生出身」などという前置きは不要。
H:ぐっと愛らしくなり、ステージ映えするようになりました。城月さん、麗羅さんを向こうに回して頑張ってます。
M:既にOSK娘役において中核の一人になっているでしょう。

H:しかし、ちゃんと仕込んだショーというのは、こういうもんなんですね。
M:ノンストップの音楽は当然として、タンゴの場面の画像、列車の始動を表現するドラムの音など細部に工夫がされてます。
H:廃園の景でも、箱を動かした栞君らがあのまま引き上げたら、単なる作業員に見えます。
M:しかし、一旦箱の上に座って、城月さんを見詰めていましたね。
H:それでギリシャ劇のコロスみたいに見えるわけです。
M:「歌う水妖」の最後にちょっとローレライの旋律を取り入れたり、洒落てます。
H:みんなこの程度気を遣えばいいのに。なぜやらないんでしょう?
M:それは「鳥谷は3割打てばいいのに。なぜ打たないんだ」というようなもんです。


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2017年06月24日

OSKは死なず

M:高世、調子戻りましたね。
H:一時、小さくまとめようという姿勢が目立ってたんですが、今回は頑張りました!
M:作品も、一部はおしゃれ、二部はパワフルで、レベルが高い。
H:確かに、副音声みたいなナレーションも、雪の妖精も遺跡の女王も男5人の恋の鞘当てもありませんなあ。

M:一部では、那須与一が抜群だった。あんな与一は見たことない。楊君は華がある。
H:息急き切って走り回るんですからねえ。
M:あれで的に当てたのは偉い。バイアスロンの選手になれます。
H:命中したあと、扇子が風で舞い上がるところなんか、演出が上手いなあと思いました。

H:私はやっぱり壇ノ浦かなあ。真麻君の登場も、高笑いの退場も格好よかった。
M:ダンスも力が入ってました。
H:気になるのは、矢が刺さった悠浦君、それ以後、二部まで若干元気がないような。
M:やっぱり矢の後遺症でしょうか。

M:二部では、「百年への輝く波」が圧倒的!
H:武生で紙漉きをしていた子らが、今やダンスの中心メンバーですよ。正に感無量。
M:娘役はぐんぐん成長しますねえ。

H:ラインダンスもよかったなあ。センターの実花さん、よく頑張った。
M:長いし、速いし、難しそう。
H:途中でポンとジャンプするところは特に難しい。
M:実際、そこで間違える子もいましたね。
H:それはいいんです。チャレンジするのがOSKだ。

M:二部に入ると、真麻、舞美が光って来ますね。
H:全盛期の神戸製鋼で、後半になると、林と大八木の動きが目立ってくるのと一緒ですな。
M:そう。全体の体力が落ちてくると、スケールと底力のある連中が前に出てくる。
H:舞美さんは、さっと上げた腕の線がとても綺麗だし、真麻君はどんなにターンしても、正面にピタリと止まる。
M:ダンサーというのはそういうものです。

M:あと記憶に残ったのは?
H:燕尾のダンスの最後の方で、真麻君が両手をビリビリっと震わせるところ。
M:弁慶が立往生した後、高世が剣を抜こうとしてやめるところ。
H:平泉の最後の故郷の歌が可愛い。
M:千咲さんのアニメ声エトワール。
H:愛瀬君の謎の英語。
M:♪波は流れる
H:♪百年の海へ
M:波って流れるんでしょうか?



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2017年05月17日

OSK〜HKT〜SKE その3

AKBの曲のみでお送りするOSKレビュー

1 AKB48
「♪愛しの難波は松竹座 金龍 はり重 かに道楽」
*NMB48と重なりがちな歌詞だが、そこは微妙に変えたい。

2 初日
出演者全員が円陣。
リーダー(楊琳)の先導に全員が大声で応える。
「O!」「応援の声、いつも胸に!」
「S!」「精一杯、歌い、踊り!」
「K!」「希望の光、灯し続ける!」
「うちらは〜」「OSK日本歌劇団!」
*この曲の詞はそのままOSKに当てはまると思う。
「♪夢は涙の先、雨風に負けず信じてる」なんて泣かせるぜ。

3 転がる石になれ
*こういうダークで激しい曲をOSKがきちんと踊った場合、多分全くレベルの違う格好よさだと思う。

4 初恋バタフライ
*言わずと知れたHKTの初オリジナル曲にして、ひょっとすると最高傑作。田島芽瑠センター。ここは恋羽センターで愛らしく。

[MC]
*OSKの最も苦手とする分野だが、愛瀬、華月、翼などの若手に悠浦君が意味不明のツッコミを連発するという驚愕の展開で活路を見出したい。

5 Glory days
舞美、遥花、穂香の3人ユニット。
*ここからユニット曲が続く。これはソロも少々あり、AKBの中では比較的踊る曲。ダンスのプロなら、どんな感じになるか是非見たい。 

6 青春のフラッグ
*渡り廊下走り隊が旗を振リ振り踊った青春の応援歌。ここは登堂以下の若手男役で。

7 Blue rose
*真麻、和紗、麗羅以下、バリバリのダンスメンバーを揃える。
*SKEでは多分に長髪を振り乱すギミックで見せていたが、ここはダンス自体の力量で見せるべき。

8 夜風の仕業
*これは相当の難曲。城月さんのソロで深々と聞かせる。彼女なら、これまで誰も出せなかった疲れたOLの色っぽさを出せるはず。

9 シアターの女神
*アイドル根性剥き出しの曲。なんせ「♪どこにいたってハートは釘付けさ 僕は君だけを見てる」ですから。
*これを真ん中でやれるような若手がどんどん出てきてほしい。

10 遠くにいても
*全員でしみじみと。

アンコール1 RIVER
*これもダンスのプロの力量を見せたい曲。手振りでなく、全身で踊るとどうなるか。

アンコール2 メロンジュース
*上に同じ。

全曲知ってる人なら(このブログを見る人の中にいるとはとても思えないが)、是非見たくなる選曲だと自負している。
楽曲の良し悪しが歌劇の評価の6、7割ぐらいを決めてしまうのではないだろうか。
いいダンサーほど、いい曲で踊らせてあげたいものだ。



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2017年05月09日

OSK〜HKT〜SKE:その2

プロっぽいアマと、アマっぽいプロがいる。

前者は所作、態度、志向が玄人的な反面、舞台への入れ込みは弱いタイプ。
後者は態度等は素人っぽいが、舞台への入れ込みは強烈なタイプである。

野球で言えば、プロっぽいアマは、投球術や制球力は優れているが、球速自体はあまりない投手。
アマっぽいプロは、投球術は大したことないが、球は速い投手にたとえられよう。

OSKは典型的なアマっぽいプロである。他のミュージカル劇団や歌劇団と比較すると、どこか素人っぽい雰囲気がある。反面、舞台でのなりふり構わぬパフォーマンスは如何にもプロ的である。

HKTもAKBグループの中では、最もアマっぽいプロであろう。MCを聞いていても、「何かのついでに生きている」「ボケてよし、ボケなくてもまたよし」というノホホンとした感覚がある(特にK検法少なくとも何かをアピールしようとする強迫的なところはない。
そんなHKTの中で、最もプロっぽいアマは指原であろう。彼女がふと見せる焦りや不安の表情は、玄人であることへの執着が窺える。

ではプロっぽいプロになればいいではないか。ところが世の中はそう甘くない。
速球派が制球力をつけようとすると、往々にして球速が落ちるものだ。逆にコントロールピッチャーが速い球を投げようと努力すると、肝心の制球が悪くなってしまうことが多い。欲張ると虻蜂取らずになりやすいのだ。

いっそのこと、アマっぽいアマはどうか。流石にそんなタイプはなかなか舞台ではお目にかからない。
一度、何かの発表会でおばあさんの剣舞を見たことがある。大張り切りで分厚い衣装を着込み、しかもギンギンにタスキを締めたせいで、曲が始まっても刀が抜けず、悪戦苦闘されていた。セミが脱皮に失敗しているところのようで忘れ難い。凄いことは凄いが、決して二度はできない。

「一所懸命演じているレベル」の上に「芸に達したレベル」があるが、更にその上には「そこが舞台であることを忘れたレベル」があり、それは素人でも奇跡的に実現してしまう場合があるが、一度限りである。
OSKでも桜花昇ぼるや高世麻央クラスになると、何度かそのレベルのパフォーマンスを見せてくれた。プロが突き抜けて到達するところには、単なる美しさや格好よさではなく、どこか不思議で奇妙な世界がある。
アマっぽいアマは実はそこに一番近いところにいるのかもしれない。HKTでは朝長美桜にその気配があり、今後を大いに期待している。

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2017年05月06日

OSK〜HKT〜SKE

勿論OSKはアイドルグループではない。HKTもSKEも歌劇団ではない。
誰もアイドルに必殺のダンスなど期待しない。だが、ダンスはダンスである。どうしても見比べてしまう。

まず気づくのは激しい動きは誤魔化しやすいということだ。単に歩く、単に静止するというが難しいのだ。今日初めて見たSKE研究生公演においても、「ブルーローズ(OSKに同姓同名曲あり!)」や「転がる石になれ」には十分な迫力を感じた。特に前者は長身の4人が髪を振り乱して踊る様が格好良かった。HKTで言えば、宇井真白的なダンスである。反面、ミドルテンポの曲でゆっくり動くと,
デッサンの狂った不自然なでくの棒に見えてしまう。舞台の上での「自然さ」は自然でも何でもない人工の極みのようなものなのだろう。

次に気付かされるのは踊りの意味の重要性である。OSKでは椅子を使ったダンスが結構あるが、椅子を持って出てくるところから既にダンスが始まっているのだ。中には椅子を引きずる姿が一番好きという人もいるだろう。ところが、アイドルレベルのそれは教室の後片付けのようにしか見えない。また、フラメンコで娘役がスカートをパッと巻き上げる時は「文句あるか!」と見得を切る場面であり、それを意識しないでは魅力半減である。HKTでその辺のセンスが一番いいのは本村碧唯であるが、先日惜しくも引退した多田愛佳も結構分かっていたように思う。今日の舞台では、深井ねがいという子に才能を感じた(万一この場に熱烈なSKEファンがいらっしゃったらご意見を伺いたい)。

改めて感じるのはルックスも大事であるということだ。歌劇団はアイドルではないが、ルックスが七難隠すのは確かであるし、実際歌劇をやる上でも美人さんの役柄は必要ではないか。OSKでは舞美さん、城月さんの後の目玉が欲しい。基本踊れるのは前提条件であるが、HKTからは熊沢世莉奈(この人は踊れるぞ)、SKE研究生からは坂本真凛(今後の成長を期待)を推奨したい。本人が望むかどうかは別として。

ショービジネスで採算がとれるのはほんの一部であろうから、こうして舞台で懸命に頑張っている彼女らの収入も推して知るべしである。ただ、その代わりと言っては何だが、できる限り新しい作品、新しいダンスに挑戦させてあげて欲しい。変化がなくなったら舞台は死ぬ。

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2016年05月08日

春のおどり 2016

M:折さん、大張り切りですね。
H:ブルーパンサーを経て雌伏○○年。ついにセンターへ!
M:小柄なので、花魁がSDガンダム的なスケールに見えますが、気迫で輝いています。特に道中は圧倒的な美しさ。
H:第一部では不動の中心でしょう。

M:今回の日舞は廓が舞台ですが、こうしてテーマを絞り込んで新しいことをやろうとする姿勢が尊いです。
H:その志が通じたのか、場面の一つ一つがきれいで雰囲気があります。
M:ただあの恵比寿屋、気の良さそうな子が多くて、個人的には行きたい店なんですが、経営上はもうちょっとクールビューティタイプがいた方がいいんじゃないでしょうか。
H:その手の美人さんは、城月さん以降、あまり入っていないような・・・。
M:今後の補強課題ですね。

H:廓ではあまり目立たなかった気のいい娘達が、二部になるとみんな弾けたように踊りまくるわけですよ。
M:サマータイム(黒髪の麗羅さん、格好いい!)、キャラバン、ジャストダンス、どれも感動しました。
H:同志社ラグビーが強かった頃、前半は押されながらも耐え、後半になると,大八木や林が個人的にガガッと前に出て目立つようになる。そこから自由奔放な攻撃が始まるわけです。それと同様、和紗さん、麗羅さん、舞美さん辺りがグングン前へ出てくる。そしてそこから全体がワァーッと勢いに乗ってくる。
M:雨上がりに植物が一斉に伸びてくる感じですか。
H:あれが見られると、今年も春のおどりに来れてよかったと思います。

M:猫の鈴、可愛い。
H:遅まきながら気付きましたが、愛瀬君はパッと一目を惹く明るさがありますね。最近、いい意味で、顔にケンが出来てきた真麻君と対照的でいい。

M:虹架君の酔っ払いと高世の女装・・・舞台人のユーモアの感覚は独特だなと思います。少なくとも私には分かりません。
H:無理に笑いをもってくる必要はないと思うのですが。

H:考えてみると、高世はいい客ですな。
M:5分ほど騒いだら寝てしまうから、手間がかからない。

M:引き潮。背景の波がうまく表現されていて感心しました。
H:あのデュエットダンスの恋羽さん、上手かった。しなやかに、細やかに相手に合わせていく、理想的な娘役のひとりです。




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2016年01月30日

その後

ホアンに続き、チェーザレまでもが急死し、ボルジア家は大ピンチ!
ルクレツィアは気丈にもボルジア家の女として生きようと心を決めていた(そんなら兄貴を殺すなよ)。彼女はフェルナンド3世と結婚。ほどなく夫を毒殺し、その財産を我が物とした。ジョバンニの協力も得て、ボルジア家の財政を立て直す。
だが、老いた法王はサヴォナローラら反法王派との対立を避け、むしろ妥協の姿勢を示していた(優柔不断はボルジアの血?)。ついにルクレツィアは法王暗殺を決意する。

ルクレツィアの部屋。

法王:わしだ。
ルクレツィア:お入り下さい。お父様。

二人は「今年の風邪は悪いでぇ」とか「能見は肝心の時に打たれよる」とか「与党も酷いが野党もだらしない」とか、埒もない話をした後、乾杯。
法王は胸を押さえて苦しむが、でかい帽子の中から薬を取り出して飲み、回復。

法王:よかった−。毒消し持ってきて。

驚くルクレツィア。だが猶もナイフで法王に切りつける。
法王は帽子から短剣を取り出して応戦。

法王;よかった−。ナイフ持ってきて。
ルクレツィア:ええい、お前の帽子は秘密のポッケか!

激しい立ち回り。追い詰められた法王は「どこでもバス!」と叫ぶ。
帽子からバスタブが飛び出し、躓いたルクレツィアは頭から突っ込む。
もがくルクレツィア。法王が引っ張り出す。

法王:落ち着いたか。
ルクレツィア:・・・はい。
法王:儂が頼りなく見えたのであろう。
ルクレツィア:(無言でうなずく)
法王:お前は随分よくやった。つらかったろう。
ルクレツィア:(うなだれる)
法王:案ずるな。敵は強大。儂は機を見ていたのだ。それと内なる敵を見定める必要があった。だが、それも頃合いだ。(突然裏返った高い声で)トキハキタ〜!
ルクレツィア:(必死で笑いをこらえる)


サヴォナローラの部屋。
ノックの音。

サヴォナローラ:開いてますよ。どうぞ。

入ってくるのは、ジョバンニ(!)
彼はとっくにサヴォナローラに寝返っていたのだ。

ジョバンニ:ホアン、チェーザレ、次は法王。いい流れですな。
サヴォナローラ:ルクレツィアがあそこまで頑張るとは思わなかったが。
ジョバンニ:法王が諸悪の根源と焚きつけたら、たちまち物に憑かれたように、その気になりまして。
サヴォナローラ:(苦笑して)考えてみれば恐ろしい女だ。
ジョバンニ:老いぼれが片付いて、ルクレツィアも父殺しで処刑。サヴォナローラ様。いよいよ我が世の春ですな。
二人:(高笑い)ワッハッハ。

?:(エコーたっぷり効かせて)春など来ぬ。
ジョバンニ:何者だ?!

法王が姿を現す。驚く二人。跪く。

法王:お前らの話、全て聞かせてもらった。もう逃れられぬぞ。潔く自裁せよ。
サヴォナローラ:えーい、このような場所に法王が来られるワケがない。偽物だ、出会え出会え!

走り出てくる手下たち。
法王は帽子から剣を取り出し、激しく斬り結ぶ。法王配下の麗羅、栞も加わる。
法王も配下も圧倒的に強い!
手下をあらかた倒し、サヴォナローラと対峙する法王。「成敗!」と叫ぶが、なぜか配下に任せず自分でサヴォナローラを切り捨てる。
腰を抜かすジョバンニ。
闇から浮き出すようにルクレツィアが現れ、ジョバンニの首を抱えナイフを突き付ける。

ルクレツィア:(猫なで声で)ジョバンニ。聞かせて。いつから裏切っていたの?
ジョバンニ:脅されていたんだ。フェルナンドが死んだ頃だ。
ルクレツィア:そう? もっと前なんじゃない? よーく思い出してね。
ジョバンニ:間違いない。フェルナンドが死んだ頃だって。
ルクレツィア:違うわよね。お願い、私に嘘をつかないで。私、悲しくておかしくなってしまう。(ナイフをもった手を振るわせて)お願い、嘘だけは止めて!
ジョバンニ:そうだ。思い出した。チェーザレが死んでからだ。
ルクレツィア:そう。そうなの? でも、何か勘違いもあるんじゃない。落ち着いてよーく思い出してね。リラックスして。絶対に、100%、間違いがないように。

ルクレツィアが延々と尋問を続ける中、照明は落ち、スポットライトだけが二人に当たり、それも絞られてゆく。やがて真っ暗になっても声は続き、幕が下りる。


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カンタレラ

H:惜しい!
M:惜しかったなあ。
H:チェーザレの「一緒に踊ればよかった」のセリフで、一転二人が軽やかに楽しげに踊る・・・そこでスパッと終えれば、OSK史上に残る鮮やかなラストシーンだったのに。
M:昔、「華麗なるメヌエット」で若木さんが生き返った場面を思い出します。
H:それではOSK黒歴史の方になってしまう。
M:なくもがな タコの遺骨と 蛇の足

M:気を取り直して、一番印象に残ったのは?
H:その直前の狂ったルクレツィア。特にチェーザレをピタッと指差して「兄さんはそれだけは決して言わなかった」と言い渡す場面。
M:あんな風に追い詰められたら、普段言わないことでも言いますって。
H:しかし彼女は許さない。
M:チェーザレももう死ぬしかないでしょう。
H:しかし、舞美さんはプリメールの人形も、この作品もですが、宇宙人系、電波系の演技になると、俄然迫力が出ますね。
M:現実離れした設定ほどリアルにやれるという希有な才能です。

M:刺客クラウディアがチェーザレと対峙する場面。二つの声色を使い分けて、揺れる心情を表現するところなど、彼女らしい巧みさですが、それ以上にホアンの腕の中で「ごめんなさい、ホアン様。ごめんなさいね」と呟くところ。一切の望みが潰える中、騙した男に向けたせめての優しさが泣かせる。
H:全然愛していない。しかし、せめて誠実に謝る。あの乾いた声、いいですねえ。

H:法王様。ヒゲだけでなく、顔中に何か描いていて、最初は何が出てきたかと思いました。 
M:さすが香月君。役をどこまでも極めてゆきます。
H:それが如何に凄かったかは、アンコールの桜パラソルを持った場面で明らかに。
M:あれほどシュールな姿はなかなか見られません。

M:ダンサーの二人。シャープでスケールの大きな麗羅さんに、負けじと頑張る栞君。ダンスとしては一番見所だったかも知れません。
H:出番がもっと多くあってもよかったですねえ。

M:しかし今後ボルジア家は大丈夫でしょうか?
H:ホアンが死んで経済的に干上がったんですよね。
M:本当は彼の方が有能だったのかも。
H:チェーザレは結局昔の女と弟を殺しただけ。それも殺されかけて。
M:少なくとも果断、冷酷なタイプではない。
H:結構悩んでますしね。
M:ある意味、弟と似てるんですよ。
H:優柔不断で影響されやすいのがボルジアの血なのか!?

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2015年11月27日

もっと遠く もっと高く もっと速く 〜牧名ことり退団

何らかの弱点があること、苦手があることは、しばしば成長のきっかけとなる。それをカバーし、克服するために苦労するからである。
一方、最初から高いレベルで完成していると、頑張るべき課題や伸ばすべき方向が見いだしにくい。才能に恵まれていることが、かえって本人を苦しめることもあるのだ。彼女は正にそんな娘役だった。

「ムッシュ・ホフマン」、「Sniper Robber(春のおどり2008)」,「Run & Latin(春のおどり2009)」・・・これらの作品での彼女の姿を思い出してほしい。歌えて踊れて演技も出来る。そしてどこにいてもパッと目を惹くシャープななルックス。これに何をプラスせよというのか。問われてすぐ答えられる人はいないと思う。

足すものがなければ、引かねばならない。そう。彼女には苦手を作る必要があった。ただ、こればかりは本人の力だけではどうにもならない。単に実現不可能な目標を設定するなら簡単だ。だが、「不可能に見えて実は可能な目標」という奴は、クレバーな人ほど見えにくいものである。そんな高度で困難な課題は外からやってこなければならない。

気丈なお姫様? 威厳ある女王? ・・・そんなものは彼女にとって「不可能に見えて実は可能な目標」ではない。実際楽々とこなしていたし、それで結構な評価も得ていたように思う。
彼女の本当の力量はそんなものではなかったはずだ。
たとえばゼノビア姫なら、ラバーナと対決するのではなく、散りゆく桜の下で薄く微笑みながら佇む姿。たとえば「死の棘」(島尾敏雄)の予測不能に荒れ狂う妻。・・・ネタのはっきりした分かりやすいキャラではなく、どう演じてよいか分からない、客からも見通せない不透明な「非・キャラ」。そういった方向を突き詰めてゆけば、彼女は私たちの想像を超えた異次元の演技を見せたのではないか。

OSKの舞台は、そこまで彼女を追い込むことができなかった。逆に言えば、それほどに彼女のキャパは大きかった。

確かに非常に優れた娘役であった。ただ、どこかしら「もっと何か・・・」と思わせたまま卒業を迎えたように思う。その意味では第二幕を期待したい。

今後は演出に挑戦するとの噂がある。新たな領域ならば、これまでのように楽々とスマートに課題をこなしてゆくわけにはいくまい。尋常でない困難にもぶつかるはずである。その格闘の中から、今度こそ爆発的な進化が生じることを期待したい。

Break on through to the other side !


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