2016年05月08日

春のおどり 2016

M:折さん、大張り切りですね。
H:ブルーパンサーを経て雌伏○○年。ついにセンターへ!
M:小柄なので、花魁がSDガンダム的なスケールに見えますが、気迫で輝いています。特に道中は圧倒的な美しさ。
H:第一部では不動の中心でしょう。

M:今回の日舞は廓が舞台ですが、こうしてテーマを絞り込んで新しいことをやろうとする姿勢が尊いです。
H:その志が通じたのか、場面の一つ一つがきれいで雰囲気があります。
M:ただあの恵比寿屋、気の良さそうな子が多くて、個人的には行きたい店なんですが、経営上はもうちょっとクールビューティタイプがいた方がいいんじゃないでしょうか。
H:その手の美人さんは、城月さん以降、あまり入っていないような・・・。
M:今後の補強課題ですね。

H:廓ではあまり目立たなかった気のいい娘達が、二部になるとみんな弾けたように踊りまくるわけですよ。
M:サマータイム(黒髪の麗羅さん、格好いい!)、キャラバン、ジャストダンス、どれも感動しました。
H:同志社ラグビーが強かった頃、前半は押されながらも耐え、後半になると,大八木や林が個人的にガガッと前に出て目立つようになる。そこから自由奔放な攻撃が始まるわけです。それと同様、和紗さん、麗羅さん、舞美さん辺りがグングン前へ出てくる。そしてそこから全体がワァーッと勢いに乗ってくる。
M:雨上がりに植物が一斉に伸びてくる感じですか。
H:あれが見られると、今年も春のおどりに来れてよかったと思います。

M:猫の鈴、可愛い。
H:遅まきながら気付きましたが、愛瀬君はパッと一目を惹く明るさがありますね。最近、いい意味で、顔にケンが出来てきた真麻君と対照的でいい。

M:虹架君の酔っ払いと高世の女装・・・舞台人のユーモアの感覚は独特だなと思います。少なくとも私には分かりません。
H:無理に笑いをもってくる必要はないと思うのですが。

H:考えてみると、高世はいい客ですな。
M:5分ほど騒いだら寝てしまうから、手間がかからない。

M:引き潮。背景の波がうまく表現されていて感心しました。
H:あのデュエットダンスの恋羽さん、上手かった。しなやかに、細やかに相手に合わせていく、理想的な娘役のひとりです。




marimu_hiroshi at 19:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年01月30日

その後

ホアンに続き、チェーザレまでもが急死し、ボルジア家は大ピンチ!
ルクレツィアは気丈にもボルジア家の女として生きようと心を決めていた(そんなら兄貴を殺すなよ)。彼女はフェルナンド3世と結婚。ほどなく夫を毒殺し、その財産を我が物とした。ジョバンニの協力も得て、ボルジア家の財政を立て直す。
だが、老いた法王はサヴォナローラら反法王派との対立を避け、むしろ妥協の姿勢を示していた(優柔不断はボルジアの血?)。ついにルクレツィアは法王暗殺を決意する。

ルクレツィアの部屋。

法王:わしだ。
ルクレツィア:お入り下さい。お父様。

二人は「今年の風邪は悪いでぇ」とか「能見は肝心の時に打たれよる」とか「与党も酷いが野党もだらしない」とか、埒もない話をした後、乾杯。
法王は胸を押さえて苦しむが、でかい帽子の中から薬を取り出して飲み、回復。

法王:よかった−。毒消し持ってきて。

驚くルクレツィア。だが猶もナイフで法王に切りつける。
法王は帽子から短剣を取り出して応戦。

法王;よかった−。ナイフ持ってきて。
ルクレツィア:ええい、お前の帽子は秘密のポッケか!

激しい立ち回り。追い詰められた法王は「どこでもバス!」と叫ぶ。
帽子からバスタブが飛び出し、躓いたルクレツィアは頭から突っ込む。
もがくルクレツィア。法王が引っ張り出す。

法王:落ち着いたか。
ルクレツィア:・・・はい。
法王:儂が頼りなく見えたのであろう。
ルクレツィア:(無言でうなずく)
法王:お前は随分よくやった。つらかったろう。
ルクレツィア:(うなだれる)
法王:案ずるな。敵は強大。儂は機を見ていたのだ。それと内なる敵を見定める必要があった。だが、それも頃合いだ。(突然裏返った高い声で)トキハキタ〜!
ルクレツィア:(必死で笑いをこらえる)


サヴォナローラの部屋。
ノックの音。

サヴォナローラ:開いてますよ。どうぞ。

入ってくるのは、ジョバンニ(!)
彼はとっくにサヴォナローラに寝返っていたのだ。

ジョバンニ:ホアン、チェーザレ、次は法王。いい流れですな。
サヴォナローラ:ルクレツィアがあそこまで頑張るとは思わなかったが。
ジョバンニ:法王が諸悪の根源と焚きつけたら、たちまち物に憑かれたように、その気になりまして。
サヴォナローラ:(苦笑して)考えてみれば恐ろしい女だ。
ジョバンニ:老いぼれが片付いて、ルクレツィアも父殺しで処刑。サヴォナローラ様。いよいよ我が世の春ですな。
二人:(高笑い)ワッハッハ。

?:(エコーたっぷり効かせて)春など来ぬ。
ジョバンニ:何者だ?!

法王が姿を現す。驚く二人。跪く。

法王:お前らの話、全て聞かせてもらった。もう逃れられぬぞ。潔く自裁せよ。
サヴォナローラ:えーい、このような場所に法王が来られるワケがない。偽物だ、出会え出会え!

走り出てくる手下たち。
法王は帽子から剣を取り出し、激しく斬り結ぶ。法王配下の麗羅、栞も加わる。
法王も配下も圧倒的に強い!
手下をあらかた倒し、サヴォナローラと対峙する法王。「成敗!」と叫ぶが、なぜか配下に任せず自分でサヴォナローラを切り捨てる。
腰を抜かすジョバンニ。
闇から浮き出すようにルクレツィアが現れ、ジョバンニの首を抱えナイフを突き付ける。

ルクレツィア:(猫なで声で)ジョバンニ。聞かせて。いつから裏切っていたの?
ジョバンニ:脅されていたんだ。フェルナンドが死んだ頃だ。
ルクレツィア:そう? もっと前なんじゃない? よーく思い出してね。
ジョバンニ:間違いない。フェルナンドが死んだ頃だって。
ルクレツィア:違うわよね。お願い、私に嘘をつかないで。私、悲しくておかしくなってしまう。(ナイフをもった手を振るわせて)お願い、嘘だけは止めて!
ジョバンニ:そうだ。思い出した。チェーザレが死んでからだ。
ルクレツィア:そう。そうなの? でも、何か勘違いもあるんじゃない。落ち着いてよーく思い出してね。リラックスして。絶対に、100%、間違いがないように。

ルクレツィアが延々と尋問を続ける中、照明は落ち、スポットライトだけが二人に当たり、それも絞られてゆく。やがて真っ暗になっても声は続き、幕が下りる。


marimu_hiroshi at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

カンタレラ

H:惜しい!
M:惜しかったなあ。
H:チェーザレの「一緒に踊ればよかった」のセリフで、一転二人が軽やかに楽しげに踊る・・・そこでスパッと終えれば、OSK史上に残る鮮やかなラストシーンだったのに。
M:昔、「華麗なるメヌエット」で若木さんが生き返った場面を思い出します。
H:それではOSK黒歴史の方になってしまう。
M:なくもがな タコの遺骨と 蛇の足

M:気を取り直して、一番印象に残ったのは?
H:その直前の狂ったルクレツィア。特にチェーザレをピタッと指差して「兄さんはそれだけは決して言わなかった」と言い渡す場面。
M:あんな風に追い詰められたら、普段言わないことでも言いますって。
H:しかし彼女は許さない。
M:チェーザレももう死ぬしかないでしょう。
H:しかし、舞美さんはプリメールの人形も、この作品もですが、宇宙人系、電波系の演技になると、俄然迫力が出ますね。
M:現実離れした設定ほどリアルにやれるという希有な才能です。

M:刺客クラウディアがチェーザレと対峙する場面。二つの声色を使い分けて、揺れる心情を表現するところなど、彼女らしい巧みさですが、それ以上にホアンの腕の中で「ごめんなさい、ホアン様。ごめんなさいね」と呟くところ。一切の望みが潰える中、騙した男に向けたせめての優しさが泣かせる。
H:全然愛していない。しかし、せめて誠実に謝る。あの乾いた声、いいですねえ。

H:法王様。ヒゲだけでなく、顔中に何か描いていて、最初は何が出てきたかと思いました。 
M:さすが香月君。役をどこまでも極めてゆきます。
H:それが如何に凄かったかは、アンコールの桜パラソルを持った場面で明らかに。
M:あれほどシュールな姿はなかなか見られません。

M:ダンサーの二人。シャープでスケールの大きな麗羅さんに、負けじと頑張る栞君。ダンスとしては一番見所だったかも知れません。
H:出番がもっと多くあってもよかったですねえ。

M:しかし今後ボルジア家は大丈夫でしょうか?
H:ホアンが死んで経済的に干上がったんですよね。
M:本当は彼の方が有能だったのかも。
H:チェーザレは結局昔の女と弟を殺しただけ。それも殺されかけて。
M:少なくとも果断、冷酷なタイプではない。
H:結構悩んでますしね。
M:ある意味、弟と似てるんですよ。
H:優柔不断で影響されやすいのがボルジアの血なのか!?

marimu_hiroshi at 20:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月27日

もっと遠く もっと高く もっと速く 〜牧名ことり退団

何らかの弱点があること、苦手があることは、しばしば成長のきっかけとなる。それをカバーし、克服するために苦労するからである。
一方、最初から高いレベルで完成していると、頑張るべき課題や伸ばすべき方向が見いだしにくい。才能に恵まれていることが、かえって本人を苦しめることもあるのだ。彼女は正にそんな娘役だった。

「ムッシュ・ホフマン」、「Sniper Robber(春のおどり2008)」,「Run & Latin(春のおどり2009)」・・・これらの作品での彼女の姿を思い出してほしい。歌えて踊れて演技も出来る。そしてどこにいてもパッと目を惹くシャープななルックス。これに何をプラスせよというのか。問われてすぐ答えられる人はいないと思う。

足すものがなければ、引かねばならない。そう。彼女には苦手を作る必要があった。ただ、こればかりは本人の力だけではどうにもならない。単に実現不可能な目標を設定するなら簡単だ。だが、「不可能に見えて実は可能な目標」という奴は、クレバーな人ほど見えにくいものである。そんな高度で困難な課題は外からやってこなければならない。

気丈なお姫様? 威厳ある女王? ・・・そんなものは彼女にとって「不可能に見えて実は可能な目標」ではない。実際楽々とこなしていたし、それで結構な評価も得ていたように思う。
彼女の本当の力量はそんなものではなかったはずだ。
たとえばゼノビア姫なら、ラバーナと対決するのではなく、散りゆく桜の下で薄く微笑みながら佇む姿。たとえば「死の棘」(島尾敏雄)の予測不能に荒れ狂う妻。・・・ネタのはっきりした分かりやすいキャラではなく、どう演じてよいか分からない、客からも見通せない不透明な「非・キャラ」。そういった方向を突き詰めてゆけば、彼女は私たちの想像を超えた異次元の演技を見せたのではないか。

OSKの舞台は、そこまで彼女を追い込むことができなかった。逆に言えば、それほどに彼女のキャパは大きかった。

確かに非常に優れた娘役であった。ただ、どこかしら「もっと何か・・・」と思わせたまま卒業を迎えたように思う。その意味では第二幕を期待したい。

今後は演出に挑戦するとの噂がある。新たな領域ならば、これまでのように楽々とスマートに課題をこなしてゆくわけにはいくまい。尋常でない困難にもぶつかるはずである。その格闘の中から、今度こそ爆発的な進化が生じることを期待したい。

Break on through to the other side !


marimu_hiroshi at 17:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月24日

ファン道を極める

H:最近ふと気付いたのですが、何かのファンであるということは物凄く重要ですね。
M:歳をとると、物事を好きになる力が減退します。そして、何にも心ときめかなくなると、人間は金か権力か健康かに執着するのです。全部Kから始まりますな。
H:金と権力は分かる気がしますが、健康もそうなんですか。
M:健康法とかスポーツとかに凝る人がいるでしょう。しかも、他人に執拗に勧めるのです。ある意味で権力志向と同じです。
H:金も権力も健康も、何かをするための前提条件ですよね。
M:そう。何のファンにもなれないので、前提条件ばかり溜め込むわけです。準備体操ばっかりして、試合に出ない人みたいに。
H:試合に出られる我々は幸せだ!

H:最近考えているのは、ファンの在り方です。
M:ひたすら頑張って応援すればいいじゃないですか。
H:基本そうなんです。極端になると、「舞台なんかとても見れない。開演中は劇場の前でずっと土下座している」という人もいるぐらいです。
M:それも迷惑ですがね。
H:また、劇団員さんと握手してもらって、アトピーが治ったという人もいました。
M:いいんじゃないですか。それもファンの才能の一つです。
H:ならば、ツッコミはどうでしょうか。
M:会社や劇団員や演出家に対して意見を申し上げるということですか?
H:否定的なことを言うべきか否か。
M:別に悪くないでしょう。
H:では崇拝とどう折り合いをつけます?
M:ファンはアイドルと一体ではありません。両者の間には深くて暗い川があります。だから、崇拝と批判は両立します。土下座しながら突っ込むのです。ただ、土下座を忘れた人はファンではない。
H:あくまで下から目線でということですか。
M:アイドルに対してはね。我々は会社のファンではありません。
H:愛でつつ突っ込むのはファンの至上の喜びですな。

marimu_hiroshi at 22:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月06日

佐助がゆく〜豊臣家は大繁盛の巻

大阪夏の陣。堀を失った大阪城は圧倒的な数の東軍に包囲され、正に落城寸前。
幸村は城内で最後の出撃に備えていた。

幸村:(奈知姫を抱いて)佐助はおるか。
佐助:ここに。
幸村:手筈通り、抜け穴を通り、姫を兄上のところへお連れせよ。
佐助:承知。命に代えて。

侍女が5人、それぞれ赤子を抱えて駆け込んでくる。

侍女:お待ち下さい。この子らもお連れ下さい。
幸村:何の騒ぎじゃ。
侍女:みな秀頼様のお子なのです。
幸村:なんと!

続いて、小春(実花もも)、雫(穂香めぐみ)も赤子を抱えて登場。

幸村:まさかお前たちまで!
小春:間違いなく秀頼様の子です。
幸村:いつの間に!

才蔵:これだけではございません。城内外含めて、少なくとも200人、恐らくは500人前後の御子がいらっしゃると思われます。お相手も大年増から未成年、人妻、芸者、未亡人、女学生、アイドルとまことに広い守備範囲。
小春:偉丈夫で右大臣、おまけに金持ちと来れば、女はほうっておきません。
雫:モテモテってどんなこと?
才蔵:人呼んで「難波の種馬」とは秀頼様のことです。

幸村:・・・事情は分かった。行きがけの駄賃じゃ。まとめて面倒をみよう!
才蔵:しかし、信之様はこんなにたくさんの赤子を養えるのでしょうか。
幸村:なんか「長靴をはいた猫」のようなセリフだが、案ずるな。佐助、例の物を。

佐助が大砲を押しながら現れる。

幸村:豊臣の財宝であつらえた黄金の砲弾じゃ。兄上なら、これで上田に児童養護施設でも設立するであろう。・・・目標、真田信之本陣! 発射! ・・・兄上、持参金です。お受け取り下さい!

幸村:さあ、お前たちも早く抜け穴へ。

佐助と女たちは抜け穴に消えてゆく。

幸村:さて、後は陽動だけか。家康本陣にでも突っかけるか。
才蔵:せいぜい派手にやりましょう。
幸村:万一兄上がしくじっても、難波には500人からの御子がいらっしゃるわけだな。
才蔵:先々上方には豊臣家の血の混じらない人などいなくなりましょう。おまけに、実は徳川家の姫君にも何人か・・・。
幸村:恐るべし秀頼様。ならば豊臣は安泰じゃ。
才蔵:もう思い残すことはありません。
幸村:法螺を吹け! 鬨を上げよ! 狙うは家康の首一つ!

真田勢が続々集結し、主題歌。幕。




marimu_hiroshi at 19:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月03日

佐助がゆく〜大阪城は大混乱の巻

大阪城は軍議の真っ最中。籠城派も野戦派も一歩も引かぬ勢いであり、秀頼公(登堂結斗)は間に立っておろおろするばかり。と、そこに団扇太鼓を叩きながら幸村が颯爽と登場。紙吹雪をまき散らす才蔵と佐助を従えている。才蔵は少し恥ずかしそう。

秀頼:(幸村の手をとり)待っていたぞ、幸村!
幸村:秀頼様。ご安心下さい。これより幸村、命を賭けて豊臣家をお守り申し上げます。時に秀頼様、此度の作戦は?
秀頼:それよ、幸村。籠城か、それとも野戦か。
幸村:(すらりと刀を抜き、目の色を変えて)ぶったぎるんだ!
佐助:(お歴々が震え上がるのを見て、すっと席を立ち、幸村からうやうやしく刀を受け取ってさやに収める)
秀頼:・・・幸村、大事ないか。
幸村:(はっと我に帰って)もとより野戦でございます。援軍のあてのない籠城など必敗の策。
大野治長(香月蓮):これはしたり。大阪城は天下の名城。攻めるに窮した東軍から裏切りがでることは必定。
幸村:裏切りは東軍からだけとは限らぬ。才蔵、あれを。
才蔵:(懐から巻物を取り出して)西軍兵士アンケートの結果でございます。「あなたは東軍のスパイですか? 次の三つからお答え下さい。はい、いいえ、どちらでもない・分からない」
幸村:「はい」が0.5%というのもどうかと思いまするが、恐ろしいのは「どちらでもない・分からない」が30%に上ることです。これで先の見通しもなく籠城したら、どうなるかは見えております。
治長:そんなアンケートで何が分かる!
幸村:アンケートでここまで出る方が問題だ。そもそも兄上、なぜあなたがこの場に居られるのだ!
治長:(あわてて)私は大野治長である。真田信之ではない。
幸村:だが正に瓜二つ!
治長:(一同ざわつき始めるので慌てて)他人の空似だ! そうそう、それよ。そんなことより、野戦といっても20万の敵勢に正面からぶつかるのか。
幸村:兄上ならどうなさる。
治長:そうだな、まず瀬田の唐橋を落とし、強引に渡河してくる東軍を水際で・・・。
幸村:さすが兄上、オーソドックスな戦術です。ただ、そのぐらいは東軍も予測してるはず。
治長:頼むから兄上はやめてくれ。後生だ。
幸村:宇治・瀬田ラインに防衛戦を引くのは合理的です。ただ、その前に京都所司代板倉勝重を討ち、二条城を焼き払って、後顧の憂いを絶つ。そして瀬田の唐橋に、こう・・・一寸刻み五分刻みでグッチャグチャに切り裂いた板倉の死体をさらし、東軍を威圧する。
治長:お前、板倉に何か恨みでも・・・。
幸村:続いて湖南地方全域を焦土化した上で、大筒を鉄甲船に乗せ、琵琶湖の湖水を利して、街道沿いにひしめく東軍をヒットアンドアウェイで痛撃する。
治長:なんか勝てそうな気がしてきた。
淀君(朝香櫻子):お待ちなさい。戦は牢人たちにまかせておくのです。私たちは太閤殿下の築かれた大阪城を離れてはなりません。
幸村:(ふてくされた口調で)そのパターンで関ヶ原でも負けたんだよなあ。
秀頼:そうだ。名案があります。軍を二つに分けて、半分は籠城、半分は野戦でどうですか。
幸村:そんな作戦なら籠城の方がまし。
淀君:そんな作戦なら野戦の方がまし。

そこに息せき切って伝令が。
「東軍は既に瀬田川を渡り、二条城を経て、文の里・八尾南方面、都島・大日方面、弁天町・コスモスクエア方面に集結しつつあります」

幸村:しまった、アンケートをとっている場合ではなかった! 

marimu_hiroshi at 16:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月02日

佐助がゆく〜真田屋敷は大騒ぎの巻

九度山。真田屋敷。幸村を始めとした面々が和気藹々と食事中である。

真田幸村(悠浦あやと):今日の飯は結構豪華なんじゃないか。
真田利世(遙花ここ):はい。真田紐が結構売れましたので。
小春(実花もも):一人暮らしのおじいちゃんが一杯買ってくれたんですよ!
幸村:ほう。奇特な人がいるのだなあ。
雫(穂香めぐみ):色々話を聞いてあげたり、肩を揉んであげたり。
幸村:親切なのはいいことだ。
小春:その後、ちょっと屋根裏を見せてもらって、このままでは傾いて倒れてしまう、真田紐で補強しなくちゃって。
幸村:おいおい。
利世:橋本の方には一人暮らしのお年寄りが多いと聞いております。あの辺に事務所を構えて本格的に営業活動をすれば・・・。
雫:橋本は家も安いんですよ〜。
幸村:家が安い・・・いえやすい・・・いえやす・・・家康! おのれ〜!!

目の色を変えて立ち上がり、刀を抜き放つ幸村。

利世:(素早く)佐助、あれを!
猿飛佐助(城月れい):はっ!

佐助は押し入れからボロボロの縫いぐるみを引き出して、幸村にかざす。

佐助:(声色を変えて憎々しげに)幸村、儂を倒せるものなら倒してみよ。

幸村は奇声を上げて縫いぐるみに斬りつけ、滅茶苦茶に刺しまくる。一同は平然と食事を続けるが、霧隠才蔵(楊琳)だけは部屋の隅で腰を抜かしている。

やがて幸村は疲れ切って座り込み、利世は優しく声をかけて寝かせる。

小春:(小声で)幸村様もこれさえ無ければねえ。
雫:よっぽどお恨みなんでしょう。

才蔵は不安げにチラチラ幸村を見ながら戻ってきて佐助に声をかける。

才蔵:・・・あんなこと、何度もあったのか?
佐助:(重々しく)一番最初は上田で。あの時は七日七晩火が燃え盛り、上田は灰燼に帰した。後の人はそれを「炎の七日間」と呼んだという。
才蔵:・・・ま、今はよくコントロールできているということか。
佐助:そういうことだ。

玄関から小者の声。「たった今、大阪城から使者が見えました!」
つかつかと武者が入ってくる。一同ははっと緊張し、幸村も素早く起き上がる。

毛利勝永(華月奏):失礼します。私は毛利勝永。幸村殿。急ぎ大阪城に入城されたい。
幸村:ついに時が来たか。
勝永:はい、あの家康めが・・・。
幸村:いえ・・・やす・・・いえやす・・・家康!!

またも幸村が暴れ出し、大変な騒ぎに。
今日も真田屋敷は賑やかに暮れてゆく。


marimu_hiroshi at 08:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年11月01日

紅に燃ゆる〜真田幸村物語

日の本一の武者には2つの側面がある。
一つは万人に愛されるヒーロー。もう一つは仏に会えば仏を斬るサイコキラー。ヒーローでなければ誰もついてこないし、サイコキラーでなければ敵中突破して家康に迫れはしない。
思えば桜花幸村のヒーロー・サイコキラーの比は7:3であった。悠浦幸村は5:5だろう。真田の鎧の前で刀をぶんぶん振り回す姿には相当アブないものがあったし、(意図した訳ではなかろうが)しゃがれた叫び声にも狂気の影が差していた。一方、ヒーロー方面ではもう一押し欲しい。「おなごの楓は美しいですか」と問われての「おう、日の本一の美人じゃ」はもっとパッと花が咲いたように言えるはずだ。ルックスは申し分ないのだから、ますます精進して役に入り込んでいってもらいたい。

霧隠才蔵。やや作りすぎのキャラであるが、嫌みが感じられないのは楊君の演技力によるものだろう。これだけ達者な人には、将来もっと複雑な陰翳のある役をやらせたい。

猿飛佐助。はやみ先生が最も力を入れたのではないかと思われるユニークな設定。ただ、あれだけ才蔵がうるさいのならば、もっとクールな佐助でもよかった。特に「おいら」は勘弁してほしい。そんな古くさい一人称を用いなくても、凛凛しく美しい女忍者でよいではないか。そしてその秘めた想いの表現はお見事である。前述の「日の本一の美人じゃ」の場面には胸が詰まった。城月さんはトップを目指すべき人材である。

真田信之。香月君は、いつも役者っぽい小細工をせず、まっすぐに演じる。脇にいても華があるので、この人が出ていると舞台が明るく感じる。

糟糠の妻がぴったりの遙花さん、立ち姿のいい登堂君も印象に残った。世代交代の時期に来ているが、若手は懸命にやっている。どんどんいい作品をやらせてあげたい。

marimu_hiroshi at 15:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年06月07日

荻田先生に幸村の演出を頼んだら

霧が深い。舞台奥に大阪城が見える。もやもやとエコーをきかせた静かな音楽。

粗末な茶屋で家康(緋波亜紀)が休憩しており、周囲を旗本がさりげなく固めている。一方、会社帰りのサラリーマン(楊琳)も茶を飲んでおり、戦場とも日常ともつかぬ風景。

スッポンから幸村(悠浦あやと)が登場。物憂げな表情で、ゆっくりと茶屋に向かい、席をとる。

団子をかじり、茶を飲み干した幸村は、やおら槍を手に立ち上がり、家康に戦いを挑む。驚くサラリーマン。迎え撃つ旗本(舞美りら、城月れい、麗羅リコ)。長い布をたなびかせた精霊たちが幾人も戦場を駆け抜ける。

旗本を倒し、家康と対峙する幸村。家康はもう戦おうとせず、白紙でくるんだ脇差しを手に持ち、三方を尻の下にあてがって切腹しようとする。幸村は刀を水で清め、八双に構える。

雷鳴。暗転。

明るくなると家康はどこにもおらず、大阪城が燃えている。

どこからともなく謎の女(朝香櫻子)が現れる。サラリーマンは時計に目をやり、あわてて立ち上がる。入れ替わるように中国人奇術師(桐生麻耶)が大きな箱を押して登場し、幸村がその中に入る。

中国人奇術師が箱をグルグル回し、謎の女が静かに歩き回る中、淀君(牧名ことり)が朗々と歌う。

♪岩の物いふ世の中に。隠はあらじ殊になほ。
雲の上人の御剣の。光は何か闇からん。光は何か闇からん。

レーザーが煌めく中、箱が開くと、中から極楽鳥。幕。

*荻田作品は、この「ストーミーウェザー」しか見ていませんので、全然違うと言われるかもしれません。お許しを。

marimu_hiroshi at 09:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)