私ことシゲルは抑うつによって職場の休職を余儀なくされていたときに、このような時でなければ経験できず、そしてまた少しでも、暗く重い心の状態に前向きの変化をもたらそうと考えて、知的障害者の授産施設への長期間のボランティアを自ら志願しておこなったことがある。

ボランティアにいった場所は、千葉県旭市にあるロザリオ聖母園という社会福祉法人が経営している「みんなの家」という知的障害者のための授産施設であった。
いろいろな境遇を抱えた障害者が、それぞれの作業にそれなりに懸命に打ち込んでいる有り様は初めて知る世界であった。このように頑張って生きている人たちがたくさんいることを、直接の体験を通して知ることは、ありきたりの通常の生活の時間の流れの中にいる者にはまずないだろう。

ところで、彼らほど努力の報われない人たちはいないと思う。私もともに体験したのであったが、彼らは賢明に労働するが、何しろ作業単価が1円でしかないダイレクトメールの封筒づめや、同じく作業単価が3円でしかないジャガイモのダンボール箱詰めといった仕事しかないのである。彼らはせいぜい一月で平均の工賃が一万円前後にしかならない。それに2級の障害者で月およそ7万円、また、1級の障害者で月におよそ10万円の基礎障害年金をこの工賃に加えたものが彼らの生活費の全てなのである。

また、彼らの中には知的障害者のグループホームに住み、家族から離れて何とか自立しようとして頑張っていた人たちもいた。経済的に苦しい中でたいへんな頑張り屋さんもいるのである。

このような今の知的障害者の現状を、恥ずかしながらも、この時にはじめて知ったのであった。しかし、彼らはまだ恵まれているほうだ。このような施設にも入れずに、家に引きこもっている自立不可能な障害者がたくさんいるという重たい別の現実も存在しているからだ。
障害者自立支援
ところが今度、怒るべきことに、必死に生きようとしているロザリオの障害者も含めた全ての障害者の方々に対し、障害者自立支援法という重荷が課せられることとなった。
この法律によるとグループホームや共同作業所など施設の運営に必要なコストの一割を、入居者や通所者の一人一人が負担することとなるという。
グループホームから共同作業所に通う障害者の場合など、今の19倍に施設の利用料が一挙に膨れ上がってしまうことになる。
これでは障害者の自立どころか生存権すら危うくなってしまうだろう。国は障害者の自立支援に責任を持ってもっと財政的な支援をおこなうべきであり、そうすればこのようなことはおこりえないはずである。

かって、バブルの時代の乱脈経営により多額の不良債権を抱え、国民に対しては、今でも貸し渋りや貸しはがしをおこなっている大銀行に公的資金が30兆円も投入されていることを考えるとなんとも割り切れない事態である。

これが小泉首相のいう痛みをともなった”構造改革”なるもののほんの一面での出来事なのでしょうか。
障害者の自立を決定的に阻害するこの法案には断固反対である