国民の期待を背負って誕生した鳩山政権!
「アメリカいいなり政治」と「極端な財界・大企業中心主義」という二つの異常を特徴とし、長年にわたり国政に君臨し続けた自公政権が、昨年の8月におこなわれた総選挙で国民から退場の審判を受けてから早くも9ヶ月がたとうとしている。

そして、自公政権を退陣に追い込んだ国民の審判の背後には、後期高齢者医療制度や労働者派遣法などの暮らしに関わる問題や沖縄・普天間基地問題、「政治とカネ」の問題などをめぐり、「こんな政治を変えたい」という国民の切実な期待が込められていた。

事実、民主党の掲げた“国民の生活が第一”や“コンクリートから人へ”といったスローガンは自民党時代の壮大な予算のムダ遣いにメスを入れ、浮かせた財源を国民に還元しようとする同党の基本政策の柱となり、子ども手当てや高校授業料無償化などの個別の政策は有権者の共感を呼ぶところともなった。
また、これらは「政治を変えたい」という国民の期待に応え、部分的ながらも国民の要求を反映した前向きの個別政策でもあった。

鳩山政権の後退と裏切りの背後にあったもの!
だが、政権交代によって成立した鳩山政権は次第に国民の期待に背きはじめ、後期高齢者医療制度や労働者派遣法など国民が求める肝心要の問題では裏切りや後退を続けたが、これは「国際競争力」を錦の御旗に労働コストや社会保障コスト削減を求める財界・大企業の圧力に屈服したからに他ならなかった。

そして、鳩山政権が決定的な転落の道へ歩みはじめるターニングポイントがやってきたが、それは他ならぬ沖縄・普天間基地問題をめぐる変質であった。
普天間問題での「国外、最低で県外」という選挙公約を踏みにじって、普天間基地の辺野古「移設」という自公政権時代の結論へと逆戻りし、なお悪いことに米軍の訓練を徳之島や本土に分散・拡大するといった自公政権の時代にもないことまで米国と約束してしまった。しかも沖縄県民の頭ごなしにである。

こうして鳩山政権は沖縄に新鋭の基地を確保したいという米国の圧力に屈服してしまうが、その言い訳は「海兵隊=抑止力」という使い古された論理であった。
自公政治を変えたいという国民の審判の圧力と、自公時代から続く「対米従属」と「財界支配」という保守政治のレジームの側からの圧力との間に、板ばさみとなった鳩山政権は「ブレ」や「動揺」を繰り返しながらも、普天間問題での沖縄県民への裏切りと転落によって米国と財界の前に完全に屈服してしまったのである。

こうした鳩山政権の顛末は普天間基地の問題や暮らしの問題などで「政治を変えたい」という国民の期待を裏切り、また自ら掲げた公約を裏切るものともなり、鳩山内閣は自らその命運を閉じた。
これが鳩山首相退陣をめぐる真相であり、米国や財界に屈服して国民の期待を決定的に裏切ったことが、鳩山氏の政治生命を断ち切ってしまったのである。

菅新政権の政治的な本質はどこにあるか!(鳩山退陣の負の教訓)
さて、鳩山政権に代わってつくられたのが菅政権であるが、この政権は鳩山退陣からとても大事な教訓とメッセージをくみ取ったようである。

それは保守政治の元締めである米国と財界にのみ顔を向けることが、「長期・安定政権」をめざすために最も肝要なことであり、中曽根大元勲や小泉ライオン丸といった立派な先達がたどった道がそれであるということだ。
images50この国では「長期・安定政権」を作るには米国の“ポチ”とならなければならず、ときには米国の大統領の前でエルビス・プレスリーの物まねをすることで歓心を買うことが必要であり、くわえて財界の身勝手な要望をひたすら聞き入れることのできる従順な執事となることが必要なことを、菅直人という市民派リーダーは理解した。

すなわち米国や財界に顔を向けつつも、国民の期待にも応えようとしたところに前鳩山政権の「甘さ」や「ブレ」の原因があったのであり、それが命取りとなったという「教訓」である。
それゆえ「長期安定政権」を築きあげるためには旧自公政権時代にも増して、よりいっそう米国と財界に忠誠を誓い、従順に奉仕する道に踏み込もうとするところに菅政権の政治的な本質がある。

こうして、菅直人氏は正式に首相に就任する前にオバマ大統領と電話会談をおこない、普天間基地の「県内移設」の「日米合意」にしっかり取り組んでいきたいと誓約をおこなうことで米国への忠誠を示した。
また、大企業へのいっそうの減税と、その穴埋めに消費税の増税をおこなえという財界の身勝手な要求に敏感に反応した菅政権の閣僚達は、「消費税増税の論議を」「法人税の引き下げを」といった声をいっせいにあげはじめている。

そして、菅首相はその施政方針演説において、「強い経済」でいっそうの法人税の引き下げを、「強い財政」で消費税の引き上げを示唆したのであり、「強い社会保障」でいっそうの社会保障コストの削減を目指すことを表明した。

選挙のやり方まで小泉政権の「郵政選挙」に似てきたこと!
また、菅首相は選挙での小泉純一郎氏の経験を学び、自民党内に「抵抗勢力」という「敵」をつくり、その摩擦熱を利用したエネルギーで野党を国会から消し去ってしまった「郵政選挙」の教訓に学んだ。

それが「脱小沢」であり、国民から嫌われている小沢一郎という「敵」をつくり、人事その他で小沢氏の勢力をパージすることで、菅首相自らはタコとなり「脱小沢」のパフォーマンスから生み出される向かい風を利用し、選挙へと飛びたとうとしているのである。
菅直人の政権は旧政権への回帰であり、市民派の看板を掲げた「小泉政権」の再来ではなかろうか。
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