KSD事件の顛末と村上正邦氏が検察にはめられた経過について!
今はもう昔のことになりつつあるが、KSD事件という出来事があったことをご記憶のかたは多いだろう。
KSDとは理事長の古関忠男氏が創設した中小企業の経営者・役員とその家族を対象に福祉共催事業を行う財団法人であり、一時は共催会費などで年間280億円もの巨額を集める事業団体にまで成長していた。
ところが、2000年を境に理事長の古関氏の乱脈経営や政界工作などが表面化し、東京地検特捜部が古関氏を業務上横領や背任などの容疑で逮捕したのである。

images1181また、これと時を同じくして当時、自民党参議院議員会長だった村上正邦氏が01年2月にKSD事件で賄賂を受け取ったと報道され、3月には受託収賄の容疑で逮捕されている。
村上氏の容疑事実は古関氏から「ものつくり大学」構想についてKSDに有利な代表質問をしてほしいとの請託をうけ、その見返りとして現金5000万円を受け取ったというものであった。
だが、この際に検察側が請託の立証のポイントとした古関氏の供述調書なるものは80歳をすぎた古関氏を100日間拘留し、出してやるから検察が書いたシナリオに署名しろと迫った検察のやり方によって作成されたもので、その任意性にきわめて疑わしいものがあった。
事実、後の控訴審で当の古関氏が「検察から村上の逮捕のために協力してくれと頼まれ、弁護士からも協力したほうがよいと言われたので、ウソの供述をした。」と述べている。

こうして検察のシナリオにもとづいた起訴事実によって村上氏は懲役2年2ヶ月の実刑判決を言い渡され、08年には最高裁で村上氏の実刑が確定している。
だが、このKSD事件に絡む村上氏の逮捕と有罪判決の証拠は古関氏による前述の供述調書だけであり、冤罪事件の可能性がきわめて高いものであることは疑えない。
当時、村上氏は自民党の参議院幹事長であり、野党対策などで自民党内での発言力はきわめて高く「参議院のドン」と称されるほどの実力者であったが、首相就任前の小泉純一郎にとっても強い遺恨を抱く政敵でもあった。
こうしてKSD事件を奇貨として政敵を追い落とそうとの小泉の思惑が村上氏の逮捕と有罪判決につながったのである。

小泉政権のもとで「政敵」排除のために多用された「国策捜査」!
imagesCA8BJR3Xまた、鈴木宗男事件もご記憶の方も多いだろうが、この事件も初期のころにマスコミをにぎわしたムネオハウス事件や国後島ディーゼル発電施設事件といった“絵に書いたような贈賄事件”に関しては鈴木氏の回りからは何一つ出てこなかった。
また、最終的に鈴木氏が起訴されたのは斡旋収賄罪などの四つの罪であり、メディアが大々的に報道した事案はそのなかにひとつも含まれておらず、かろうじて立件した事件も無理筋のものが多く、領収書を発行して政治資金収支報告書に記載した地元業者からの政治献金を賄賂と断定してのものであった。
そもそも賄賂であれば領収書をだして政治資金収支報告書に記載ずることなどなく、おまけに鈴木氏の場合には献金を受けた年にそれを返還さえしているのである。

こうして懲役1年5か月の実刑を受けた鈴木氏は冤罪をさけび、自らの身の潔白を主張しながら収監されたのが昨年の12月である。
この事件も当時の小泉政権が「構造改革」を推し進めるために“抵抗勢力”を狙い撃ちする中で、多くの人間が小泉の都合に合わせて検察によって葬り去られていったという流れに位置づければ、もっとも合理的な解釈が可能となる。

小泉の謀略によって政治の世界から葬り去られた事例はこの他にも“秘書給与流用疑惑”で議員辞職を強いられた田中真紀子氏や、日歯連ヤミ献金事件での村岡兼造氏などがあり、特に後者では起訴は免れたものの小泉と総裁選を争った橋本元首相が派閥会長を辞任し、小泉の最大の敵であった自民党橋本派は完全にその力を失ったのである。
このように権力者の政治的な意図によって恣意的に行われる刑事事件の捜査は小泉政権前後から頻繁に行われるようになり、この捜査の手法は俗に「国策捜査」と呼ばれるようになった。

小沢一郎の「政治とカネ」の問題は小泉政権からの「国策捜査」多発の流れの中でおきていること!
さて、このような流れのなかでおこったのが小沢一郎をめぐる「政治とカネ」の問題であり、西松事件によって大久保公設第一秘書が逮捕されたのが総選挙を間近に控えた09年の3月であった。
小泉政権前後から「国策捜査」が頻発する流れの中で考えた場合、これも総選挙を控えたこの時期に、政権交代を阻止する目的で旧政権勢力と検察が野党第一党の党首の政治生命を葬ろうとくわだてた「国策捜査」であったと解釈するのがもっとも自然である。

そして、西松建設が実体のないダミー会社を使って違法な迂回献金をおこなったという疑惑がこの事件の核心であったが、法廷で西松建設の幹部がダミーとされた会社には実体があることを証言し、検察は訴因の変更にまで追い込まれて西松裁判そのものが消えかかっているのが現状である。

参考 平野貞夫 「小沢一郎完全無罪」講談社
「国策捜査」にかんするシンポジウムが07年に開かれています。
(出席者 鈴木宗男氏 村上正邦氏 佐藤優氏など)
http://www.news.janjan.jp/living/0712/0712147269/1.php