●TPP交渉参加への疑問その
巨大地震に加え、津波、原発事故、風評被害など甚大な被害を蒙っている被災地の農林水産業の復興にとって「関税ゼロ」を意味するTPP参加は大きな障害となる。
農水省の調べでも岩手、宮城、福島3県で営農再開が見込まれる農地は来年度でわずかに37%にすぎず、大きな不安を抱えた農林水産業者を前にTPP参加を検討することは被災地を無視することに他ならない。
●野田首相の答え
TPPへの参加判断に関わらず、農林水産業の再生は進めていく

●TPP交渉参加への疑問その
農水省の試算でもTPP参加で「関税ゼロ」になれば食糧自給率が40%から13%へと急落するが、これは昨年の3月に自給率を50%に引き上げるとした政府の「食糧・農業・農村基本計画」とどう両立するのか。
自給率50%は政府の見通しでも「関係者の最大限の努力とわが国の持てる資源のすべてを投入したときにはじめて可能となる大事業」でもあり、自給率50%と関税ゼロがどう両立できるのか明確にしてほしい。
●野田首相の答え
TPPへの参加判断にかかわらず、自給率向上との両立を実現する。

●TPP交渉参加への疑問その
政府はこの間、公的医療保険制度の自由化や混合診療の解禁などはTPPで具体的な検討項目に入っていないと言ってきた。
だが、米国の通商代表部の報告書に列挙された対日要求には「食の安全」や公共事業とならんで混合診療の全面解禁が列挙されており、これらの対日要求が今後もTPPの交渉対象とならない保証はあるのか。
●野田首相の答え
米国の対日要求については対応が求められ可能性は完全に否定できない。

●TPP交渉参加への疑問その
TPP参加で「世界経済の成長力をとりこむことができる」というが、そもそもTPPには最大の貿易相手国である中国や韓国、タイなどの成長著しいアジア諸国は参加していない。
唯一の可能性は米国への輸出拡大であるが、対米輸出の最大の障害は関税ではなく異常な円高・ドル安であり、TPP参加は対米輸出の拡大につながらない。
むしろ、TPPによってもたらされるものは米国からの一方的な輸入拡大であって、それは失業者を増やし、デフレをいっそう加速することにしかならない。安価な製品の大量輸入は現在以上の価格競争をもたらし、賃金カットや失業の増大につながるだけだ。
●野田首相の答え
対米輸出の拡大にもつながるという指摘もある。

オバマ政権の「使い走り」にすぎない野田首相にTPPに関する決定を委ねてよいか!
以上が、この間の国会でのTPPをめぐる論戦で浮き彫りになった野田首相の国会答弁の概要ですが、端的に言ってTPP反対党派や議員からの質問や疑問に対して、何らの具体的な根拠も示さずに答えにならない答えを繰り返しているだけでしかありません。
オバマ大統領は故郷ハワイでのAPEC会議の機会にTPPで大枠合意を取り付け、それを来年の大統領選挙の再選につなげたいと狙っています。
そして日本のTPP参加はそのために欠かすことのできない要素なのです。
野田首相が国民の批判や疑問を封じてまでもTPP参加を強行しようとしているのは、そのオバマ大統領に忠義を誓い、普天間問題などでギクシャクした米国政府に見捨てられたくないからです。
そのためにオバマ政権の「使い走り」となりその顔色をうかがいながら、「普天間とTPPで結果を出せ」との一言一句を忠実に実行しようとしているにすぎません。

TPPという将来の「国のかたち」を変えてしまいかねない大問題に関する決定をこのような指導者に委ねてしまって本当によいのでしょうか。

参照「しんぶん赤旗」