米国資本が韓国内で丸儲けするために関税をほぼ完全に撤廃させられたうえに、韓国の法や制度まで米国資本の利益と保護のために訴えることのできる米韓FTAの批准同意案をめぐり、11月22日の韓国国会で強行採決がおこなわれました。

この批准案の強行採決は米韓FTAに強く反対する野党陣営の不意をつく形で「奇襲作戦」によっておこなわれたといいます。
もともと22日には本会議は予定されていませんでしたが、韓国の与党・ハンナラ党が同日に議員総会を招集し、総会の最中に同党の院内代表のファン・ウヨ氏が国会議長に電話で本会議の召集を要求しました。
また、驚くべきことには議員総会に集まった与党議員らにも直前まで22日採決の方針が伝えられておらず、この日初めて採決の方針が伝えられた与党議員たちは議員総会終了後に一斉に本会議場へとなだれこんだのです。
そこへ国会議長が本会議の開会に先だち、国会の出入り口すべての封鎖を命令したので、取材記者も立ち入りができなくなってしまいました。
また、この動きを聞きつけた野党議員の多くも国会へと駆けつけましたが、開会には間に合わなかったといいます。

こうして本会議の開会が迫る中で野党・民主労働党の議員が議長席に催涙液を散布したのでした。
この出来事で議場は騒然となり与党・ハンナラ党の議員たちは一時退席しましたが、国会議長は本会議の開会を宣言したのです。
そして、即座に本会議を非公開にするとともに、国会中継をも打ち切ってしまいました。
本会議を非公開としたのはハンナラ党の前身の新韓国党が1966年に労働法改定案を強行採決して以来のことといいます。
こうして米韓FTA批准同意案は関連法案と合わせて採決が強行され、わずか8分で本会議は終了してしまいました。

この採決について、最大野党の民主党などは「議会によるクーデター」だと猛烈に批判しており、今後はいっさいの国会審議に応じない方針だといいます。
また、ソウル市中心部では22日の夜、強行採決に抗議する市民ら2500人余りが集まって「批准は無効」、「李明博(イミョンバク)政権は退陣を」と唱和しながらの示威行進を展開したといいます。

米韓FTA強行採決の場に催涙液(弾)が登場したことについて!
こうして「韓国版TPP」とよばれる米韓FTAは強行採決されてしまいましたが、日本の報道では国会の議場に催涙液が登場したことのみが取り上げられています。
だが、日本でも最大野党の自民党は野党としての存在感を出すためにだけに野田政権を攻撃しており、政策的には本質的な違いはなく本気で与党民主党に反対することはありません。
自民党の国会戦術はもっぱら駆け引きのみであり、体を張って悪政を阻止しようとする気持ちはさらさらないのです。
日本の国会の状況はこのようにひどいものですが、韓国の国会の様子もきわめて似ているといいます。
最大野党の民主党が駆け引きに終始し、体を張って批准同意案を阻止しようとしないなかで、少数野党の議員が強行採決をくいとめるために催涙液を放った気持ちは痛いほどわかるような気がします。

韓流ドラマやKARAなどの芸能人情報などは山ほど流れていますが、韓国の本当の内情はほとんど知られることがありません。
正確な情報が必要であり、TPP批准同意案の日本の国会での成立を阻止するためにも米韓FTAをめぐる韓国国民のたたかいをもっと学ぶべきでしょう。