年金は物価の変動に準じて支給額が増減する物価スライドを採用しており、物価が上がれば年金額も上がるが、物価が下がれば年金額も下がるという仕組みになっています。
さて、1999年(平成11年)から2001年(平成13年)にかけての物価下落(99年0.3%、00年0.7%、01年0.7%の合計1.7%)に対しては、不況を背景とした政治判断によりこの間の年金額が据え置かれました。
さらに02年以降の年金額も本来なら現状よりも1.7%低い年金額になるべきところ、実際には減額はおこなわれておらず、年金受給者は“かさ上げ”された年金をもらい続けています。

さて、この過去の物価下落分の年金過払いを口実に2.5%の年金引き下げを政府が検討しており、今回の引き下げを若い世代が年金制度を公平だと思えるように高齢者には我慢してもらうための措置だと合理化しています。
また、過去10年間に実際の物価水準よりも7兆円高い支給額があったとし、今後の支給を物価水準に合わせて減らすための措置と説明しています。
だが、現実の年金受給者が年金をもらいすぎていると実感することなどありえず、国民年金の場合、40年間欠かさずに保険料を払い続けても月額6万5700円しかもらえません。
また、実際の国民年金の支給額も平均で5万円台にしかならず、女性の場合には平均月額4万円台でしかありません。

さらに、消費者物価の計算もパソコンや薄型テレビなどの項目を含んでおり、年金を受給している高齢者が多く支払っている医療費や介護保険料などはこの計算には入っていません。
このように算定された消費者物価指数だけで機械的に年金の引き下げをおこなうことは高齢者の生活実態とかけ離れたものであり、国民の批判は免れないでしょう。

「年金債」や消費税引き上げは年金財源のため?(自公政権時の国民だましについて)
話は変わって、基礎年金(国民年金)の国庫負担分(2分の1)のうち不足分2.5兆円を賄うための国債発行が検討されています。
この国債は「年金債」と名づけられ、借金を将来の消費税増税(約1%分)で返済するアイデアだといいます。
公明党が2003年に発表した「年金100年安心プラン」には基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる財源として、所得税の定率減税廃止(2兆5千億円)と年金課税強化(2000億円)があがっていました。
そして、自公政権はこのうちの増税の公約だけはきっちりと実行して2兆8千億円を超える増税をおこないましたが、肝心の年金への国庫負担にはその4分の1ほどしか回しませんでした。

こうして自公政権は国民を欺いて増税だけを食い逃げしましたが、それを引き継いだ民主党政権は「年金債」で調達したお金を年金財源に回すというのです。
さらに同政権は基礎年金財源を口実に現行5%の消費税率を段階的に10%へと引き上げようとしており、これを基礎年金の財源にするといいます。
だが、自公政権の“だまし”を体験した国民は民主党政権の年金財源を口実とした増税にも国債発行にも強い胡散臭さを感じており、彼らの言い分をそのまま素直に受け入れることはできません。

そもそも消費税は高齢化社会を支えるための社会保障財源づくりを口実として導入されましたが、その後の社会保障は自己負担の引き上げと給付の切り下げの連続です。
そして、この間の消費税の税収は富裕層と大企業むけの減税分にほぼ等しく、消費税収はそのほとんどがそのために使われたとささやかれています。
増税勢力も今後はダマシの手口が通用しないことを自覚すべきでしょう。