光をめざして

社会や身の回りにおこったこと、その他もろもろの出来事について折にふれて感じたことを投稿します。

TPP

経済主権の確立のためにも安保と手を切る時が来ていること、およびTPP交渉参加に米国からの理不尽な“入場料”が要求されていること!

◎際限のない農産物市場開放や「構造改革」、TPPなど「米国いいなり」経済の転換が必要です。!
「締約国はその国際経済政策における違いをのぞくことに努め、また両国の間の経済的な協力を促進する」
これは日米安保条約第2条の条文ですが、このもとで農産物の限りない市場開放や、米国流の経営・経済モデルを野放図に持ち込む「構造改革」のあらゆる分野への押し付けなどがおこなわれてきました。
いま米国と財界の後押しですすめられているTPP参加交渉はこの総仕上げとなるもので、関税の撤廃による農業と地域経済の崩壊や食品安全基準や農薬残留基準の緩和、そして医療や郵便、保険など公的な性格を持つ事業も「民業圧迫」で外国企業の参入の障害になるとして改変が要求されています。

ここは安保条約をなくし、経済の面での「米国いいなり」も根本から断ち切ることが必要かと思います。こうしてこそ経済主権確立の確かな保障もつくられ、あらゆる面で自主的な発展の道が切り開かれます。
安保条約をなくすことは簡単で、条約第10条に基づいて一方が廃棄通告をすれば1年で失効となります。
安全保障はどうなるかって!それは数世紀にもわたって戦争や戦乱を繰り返してきた欧州が地域共同体(EU)をつくることで平和と安定の欧州に変わった先例に学べばよいのです。

◎早くもTPP協議段階から理不尽な要求が米国から突き付けられました!
TPP問題をめぐり政府は関税ゼロと非関税障壁の撤廃を前提に米国などと事前交渉をすすめていますが、ここにきて大変理不尽な要求が米国、それもオバマ大統領から直接に日本政府に突き付けられました。
それは日本がTPP交渉に参加する際の前提として持ち出された三つの条件です。
その中身はゝ軻の月例制限の緩和 簡易生命保険や共済の優遇措置の撤廃 7攫動車税の税金優遇の廃止であり、これらをTPPに入るための入場料として要求しています。
牛肉の月例制限緩和は狂牛病の原因物質プリオンの持ち込みにつながり、簡易保険や共済の優遇措置の撤廃も制度崩壊の引き金となりかねません。
さらに軽自動車税の優遇措置の廃止に至っては年額7200円の軽自動車税を一般の車と同じ年額2万9500円に値上げするものであり、ただちに国民の負担増につながります。

すでに事前協議の段階でこのような理不尽な要求が突き付けられています。仮にTPPに参加し、関税ゼロとすべての非関税障壁の廃止を意味する「丸裸」の状態を強要されたら、どのような理不尽な要求が突きつけられるのか想像できません。
総選挙が近いと言いますが、我が選挙区の有力候補者はこの問題に対してどのような立ち位置に立っているのでしょうか。見解を明らかにすべきです。
“アジアの成長を取り込む”などとアホなことは言わないでください。

「二枚舌作戦」でTPPをめぐる党内の攻防をかわした野田首相と「連合」などの「自分さえ良ければいい」姿勢について

今回のAPEC首脳会議でのTPP交渉への参加表明をめぐり、事前に民主党内では推進派と反対派に分かれての緊迫した議論が交わされました。
だが、それに区切りをつけたのがAPEC首脳会議出発を目前にした野田首相による「交渉参加へ向けて関係国と協議に入ることにした」との玉虫色の表明です。
文面上は「TPPへの参加」ではなく「協議に入る」ということであり、それが即TPPへの参加を意味しないというわけです。

ところが、これにより野田首相はAPEC首脳会議でオバマ大統領らTPP関係国首脳に参加の意思表示を伝える一方で、民主党内のTPP反対派にも「参加自体は先送りされた」との言い訳をする口実ができたのです。
いわば究極の二枚舌の使い分けであり、ゴマカシの手法にほかならず、これほどの重大問題をこんな“たぶらかしもどき”の手法で決着させられることに納得がいきません。

五十嵐仁先生のブログ「五十嵐仁の転成仁語」によれば、野田首相の二枚舌とそれにだまされて矛を収めてしまった民主党内の反対派の姿からは、管前政権時の内閣不信任案騒動の際の鳩山氏と菅氏の姿を思い出すといいます。
あの時も民主党内の造反の動きを抑えるために、菅氏はすぐに辞任するかのようなそぶりを見せて不信任案賛成を明言していた鳩山氏をたぶらかしました。
そして、菅氏の二枚舌を真に受けた鳩山氏は不信任案賛成を取り下げて矛を収めましたが、これで絶体絶命の窮地をしのいだ菅氏はその後ものらりくらりと言い逃れを続け、結局3ヵ月もの延命に成功したのです。
そして、だまされた鳩山氏はこの菅氏の二枚舌に激怒し、菅氏を「ペテン師」呼ばわりしましたが、すべては“後の祭り”でした。
五十嵐先生によれば、今回もこの時と同じような「たぶらかしの手法」が繰り返されたというのです。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2011-11-12
(五十嵐仁の転成仁語)

さて、今回の「たぶらし」も野田首相がハワイでオバマ大統領とあって参加を表明したことで直ぐに底が割れてしまいましたが、それでは直前まであれだけ強硬に反対していた山田正彦前農水省を筆頭とする民主党内のTPP反対派議員たちは今後どう対応するのでしょう。
このまま、だまされたフリを続けるのでしょうか。今後は民主党内のTPP反対派議員たちの本気度が試されることになりそうです。

一部農業者や「連合」などに見られる「自分さえ良ければいい」主義について!
さて、今回のTPP参加表明をめぐるメディア報道には「TPPに参加しても競争に勝てる」という農業者が頻繁に登場しますが、この人たちにとってはTPPもビジネスチャンスなのかもしれません。
だが、ごく一部にTPPによる関税の完全撤廃に対抗できる農業者がいたとしても、それはほんの一握りの人たちであり、99%以上の農業者は米国や豪州の安い農産物との価格競争には勝てません。
日本の農家の平均耕地面積は2ヘクタールにすぎず、米国の農家の同200ヘクタール、豪州の農家の同3000ヘクタールにはとても太刀打ちできないのです。
ゆえに自分のことだけではなく、地域や日本農業全体のことを考えればTPPが良いとはけっして言えないのです。

また、労働組合の「連合」もTPP参加に積極的であると聞きますが、これも誤った考え方です。TPPはデフレを長びかせ、グローバル企業にはメリットはあるものの、それは経営者と株主に限定されたものにすぎません。
「連合」傘下の労働組合には輸出大企業に属する組合が多いことを割り引いても、自分たちの雇用を守るために農業やその関連産業が犠牲になってもしかたがないと考えるならば、それは労働組合の存在意義さえ否定しかねません。
さて、この「連合」や先の一部の農業者の姿勢には共通したものを感じます。
それは「自分さえ良ければいい」という自己中心主義であり、このような姿勢はやがては廻り巡って自分たちの身に降りかかってこざるをえないでしょう。

今、デフレの脱却に本当に必要なのはTPPなどではなく、大幅な賃上げで家計を温めることであり、最低賃金や下請け業者の単価の抜本的な引き上げです。
また、グローバル化を支持する労働組合は日本の「連合」のみであり、これは自らの首を絞めることにつながっていくことでしょう。


TPPは21世紀の新しい“不平等条約”であること、および放射能汚染を割り引いてもまだ輸入食品のリスクは高いこと!

●投資家や企業が韓国の政策で損害を蒙ったら、米国政府が韓国政府を訴えることができるが、提訴できるのは米国のみであり、韓国側からの提訴は認められていない。
●米国企業が期待した利益を得られなかった場合には、韓国を訴えることができる。
例えば米国の保険会社が韓国の国民医療保険(公的制度)のせいで営業がうまくいかないときには提訴ができる。
●韓国では食用にできない牛肉の部位であっても米国の法律では加工用として認めているので輸入しなければならないなど、韓国の国内であっても国内法より米韓FTAの方が優先される。
これらは米韓FTA(自由貿易協定)に盛り込まれた“毒素条項”と呼ばれるものの一部であり、同FTAには“毒素条項”と呼ばれるものが10項目ほど盛り込まれているといいます。

米韓FTAという“不平等条約”の枠組みをTPPによって日本に広げたい米国の思惑!
さて、米韓FTAでは韓国の法と制度は米国の投資家と企業の利益の保護のために訴えられるのに、米国の法や制度にはまったく手をつけることができません。このため米韓FTAは史上例のない不公正で屈辱的なものだといわれています。
また、上記の各種条項がなぜ毒素条項とよばれるのか、その最大の理由は「片務的」というところにあります。
すなわち韓国は義務を負うが、米国は義務を負わない、あるいは韓国は米韓FTA優先だが米国は国内法優先であるなど、“不平等条約”そのものです。

ところで、米韓FTAはテストケースであり、米国は日本が参加しようとしている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)によって、この不平等条約の枠組みをアジア全体に広げようとしています。
その背景には米国内の長引く不況によって国民の不安が高まりオバマ不支持が過半数を超え、黄色信号が点ったという米国内のお家の事情があり、米国はTPPで輸出を2倍にし、200万人の雇用を増やすためにも、日本の大きな市場を必ずこの枠組みに取り込みたいのです。

さて、日本のマスメディアは米韓FTAをめぐり、肝心の約款の中身についてはいっさい口をつぐみながら「日本は取り残されるぞ!TPP参加を急げ」などと、国賓として破格の待遇を受ける李明博大統領とオバマ大統領の晩餐の様子を鳴り物入りの映像で伝えました。
だが、韓国の大統領が異例の待遇を受けるその背景には、このような米国側に一方的に有利となる不平等条約を彼が受け入れたという事実が隠されており、日本のマスメディアのTPPに関する報道にも似たような構図が秘められていることは想像に難くありません。

放射能汚染を割り引いてもまだ輸入食品のリスクが高い理由について!
ところで、一部に放射能汚染で「国産よりも輸入食品のほうが安全では」という声がありますが、TPPに参加することで食品の安全の面でも新しく大きなリスクを抱え込むことを忘れてはなりません。
それは米国の通商代表部による農産物・食品に関する対日要求を見ればすぐにわかります。
そこには食品添加物の認可のスピード化をはかること、米国農産物のためにポストハーベスト(収穫後の)農薬使用のルールを確立することなどの対日要求項目が並んでいます。
また、BSE(牛海綿状脳症)対策のための米国産牛肉の輸入規制の緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務の廃止、およびクローン家畜由来食品の表示の禁止などがTPP交渉の議論のなかから判明しており、自国民の健康と安全を守るために独自にルールを作る国家の基本的な権利が踏みにじられます。
自国の農業や食糧を守ることは食の安全のためにも、食糧自給率向上のためにも大切なことです。

TPP問題で国民の疑問を封じ、国会では答えにならない答えを繰り返す野田首相はオバマ政権の「使い走り」であること

●TPP交渉参加への疑問その
巨大地震に加え、津波、原発事故、風評被害など甚大な被害を蒙っている被災地の農林水産業の復興にとって「関税ゼロ」を意味するTPP参加は大きな障害となる。
農水省の調べでも岩手、宮城、福島3県で営農再開が見込まれる農地は来年度でわずかに37%にすぎず、大きな不安を抱えた農林水産業者を前にTPP参加を検討することは被災地を無視することに他ならない。
●野田首相の答え
TPPへの参加判断に関わらず、農林水産業の再生は進めていく

●TPP交渉参加への疑問その
農水省の試算でもTPP参加で「関税ゼロ」になれば食糧自給率が40%から13%へと急落するが、これは昨年の3月に自給率を50%に引き上げるとした政府の「食糧・農業・農村基本計画」とどう両立するのか。
自給率50%は政府の見通しでも「関係者の最大限の努力とわが国の持てる資源のすべてを投入したときにはじめて可能となる大事業」でもあり、自給率50%と関税ゼロがどう両立できるのか明確にしてほしい。
●野田首相の答え
TPPへの参加判断にかかわらず、自給率向上との両立を実現する。

●TPP交渉参加への疑問その
政府はこの間、公的医療保険制度の自由化や混合診療の解禁などはTPPで具体的な検討項目に入っていないと言ってきた。
だが、米国の通商代表部の報告書に列挙された対日要求には「食の安全」や公共事業とならんで混合診療の全面解禁が列挙されており、これらの対日要求が今後もTPPの交渉対象とならない保証はあるのか。
●野田首相の答え
米国の対日要求については対応が求められ可能性は完全に否定できない。

●TPP交渉参加への疑問その
TPP参加で「世界経済の成長力をとりこむことができる」というが、そもそもTPPには最大の貿易相手国である中国や韓国、タイなどの成長著しいアジア諸国は参加していない。
唯一の可能性は米国への輸出拡大であるが、対米輸出の最大の障害は関税ではなく異常な円高・ドル安であり、TPP参加は対米輸出の拡大につながらない。
むしろ、TPPによってもたらされるものは米国からの一方的な輸入拡大であって、それは失業者を増やし、デフレをいっそう加速することにしかならない。安価な製品の大量輸入は現在以上の価格競争をもたらし、賃金カットや失業の増大につながるだけだ。
●野田首相の答え
対米輸出の拡大にもつながるという指摘もある。

オバマ政権の「使い走り」にすぎない野田首相にTPPに関する決定を委ねてよいか!
以上が、この間の国会でのTPPをめぐる論戦で浮き彫りになった野田首相の国会答弁の概要ですが、端的に言ってTPP反対党派や議員からの質問や疑問に対して、何らの具体的な根拠も示さずに答えにならない答えを繰り返しているだけでしかありません。
オバマ大統領は故郷ハワイでのAPEC会議の機会にTPPで大枠合意を取り付け、それを来年の大統領選挙の再選につなげたいと狙っています。
そして日本のTPP参加はそのために欠かすことのできない要素なのです。
野田首相が国民の批判や疑問を封じてまでもTPP参加を強行しようとしているのは、そのオバマ大統領に忠義を誓い、普天間問題などでギクシャクした米国政府に見捨てられたくないからです。
そのためにオバマ政権の「使い走り」となりその顔色をうかがいながら、「普天間とTPPで結果を出せ」との一言一句を忠実に実行しようとしているにすぎません。

TPPという将来の「国のかたち」を変えてしまいかねない大問題に関する決定をこのような指導者に委ねてしまって本当によいのでしょうか。

参照「しんぶん赤旗」

「治外法権」条項をふくんだTPPによって日本の国家主権は形骸化されかねません(少なくてもTPPは乗り急ぐバスではない)

米国は08年のリーマンショックに端を発した深刻な経済危機からの活路を輸出拡大に求めており、オバマ政権は5年間で輸出を倍増する「戦略」を打ち出して、日本をその大きなターゲットにしています。
そして、オバマ政権がこの「戦略」の実行のためにおこなっているのが経常収支の赤字の縮小のための輸入の抑制であり、為替をめぐってのドル安、円高の容認、誘導です。
ちなみに円の対ドルルートは3年前と比べても20%〜30%も高くなり史上最高値を更新しています。

さて、今日の異常円高に加えて、米国が日本への大幅な輸出の拡大のための決め手として目論んでいるのがTPPであり、TPPによって日本の制度を米国企業の都合のいいように変えようというのです。
米国は日本への大幅な輸出の拡大のためには関税のみならず、金融、医療、保険、流通などあらゆる分野の「非関税障壁」の撤廃を目指しており、その最大の武器がISD(投資家対国家紛争仲裁)条項とよばれる投資家と国家間の紛争解決のための秘密裁判の制度です。
米国企業が日本の規制(労働、環境、安全基準)などのせいで「公正な競争が阻害された」とこの制度に訴えれば、「日本国民の福祉」などはいっさい問われないために日本政府に勝ち目はありません。

北米自由協定とよばれる米国、カナダ、メキシコの3国で結ばれた自由貿易協定にはすでにISD条項が盛り込まれており、その結果、国家主権が侵される事態がつぎつぎとひきおこされました。
カナダ政府がある神経性物質の燃料への混入を禁止していたことにたいし、米国のある燃料企業がこの規制で不利益を蒙ったとしてカナダ政府を訴えました。その結果、カナダ政府は敗訴し巨額な賠償金を払ったうえに、この規制を撤廃せざるをえなくなりました。
また、メキシコで地方自治体が米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮してその許可を取り消したのに対し、米国企業が提訴したところ、この企業は1670万ドルの賠償金を獲得に成功したといいます。
要するにISD条項とは各国が自国民の安全、健康、環境などを自分たちの基準で決められなくしてしまう「治外法権」規定にも等しいものなのです。

また、TPPによって工業製品の関税が撤廃されたとしても米国の工業製品に対する関税はすでに低く、乗用車では2.5%、電気・電子機器では1.7%にしかすぎません。工業製品の関税の撤廃など異常な円高で消し飛んでしまいます。
だが、その一方で関税が撤廃されれば価格競争力の高まった米国などの農産物が日本国内にノーガードで入り込み、日本の食物自給率が現在の40%から13%へと急落していきます。
そして、米国企業に不利な日本の国内法はISD条項などの「毒素条項」によって次々に破棄されていき、日本の経済・社会は取り返しのつかない大きな被害を受けます。

乗ってはならない「バス」のTPP、すくなくても乗り急ぐものではありません!
ところで、TPPはよく「バス」に例えられますが、このバスの運転手は米国であり、乗客もまばらで中国や韓国、タイなどは乗っていません。
そして、TPPがどんなものかよく知らされないまま、野田政権はこのバスの運転手にせかされて乗り込もうとしていますが、いったん乗り込んだら途中下車はできません。
また、このバスは乗り遅れるともう乗れないバスではなく、日本政府が乗車しない限りは発車できないバスでもあります。
これがTPPというバスの実態ですが、本来は乗ってはならないバスであり、少なくて絶対に乗り急ぐべきバスではありません。



TPPへの日本の加入は日本の宝である国民皆保険制度と地域医療の崩壊をもたらします。

国民すべてが何らかの医療保険にはいって病気やケガをした場合に医療給付を受けられる制度のことを国民皆保険制度といいます。
日本の場合、1955年(昭和30年)ごろまでは農業や自営業者、零細企業の従業員などを中心として国民の3分の1に当たる約3000万人が無保険者でした。
これが社会問題になり、58年には国民健康保険法が制定され、61年には全国の市町村で国民健康保険事業が始まったことで「誰もが」、「いつでも」、「どこでも」医療保険を受けられる国民皆保険制度が始まりました。
今では、この「国民皆保険制度」を水や空気のように当たり前にように私たちは感じていますが、米国などは先進国でありながらも国民の6人に1人が医療保険に加入できず、まともな医療を受けられない国もあるのです。
健康保険証1枚あればいつでも、どこでも、誰でもが医療機関にかかれる国民皆保険制度は日本が世界に誇れる宝といってよいと思います。

「非関税障壁」と看做される国民皆保険制度、および混合診療解禁のもたらすもの!
さて、「自由貿易の促進」を名目に野田内閣はTPP交渉への参加を急いで決定しようとしていますが、TPPにはいると、すべての関税の撤廃が求められると同時に「非関税障壁」の撤廃が求められることはあまり知られていません。
関税があると値段が高くなって品物が売れませんが、これが日本に品物を売り込みたい人にとっては「障壁」つまり邪魔とみなされます。
そして、商売の邪魔になるものとして、この「関税障壁」以外に「非関税障壁」と呼ばれるものがあるのです。
例えば、米国の保険会社が「健康保険」という商品を日本に売り込みたい場合、日本には国民皆保険制度があって会社員とその家族は「社会保険」に、自営業や農業者は「国民健康保険」に加入しています。
それゆえ、これ以上健康保険など必要ないという人がほとんどです。
だから、これは米国の保険会社にとって商売の邪魔となり、国民皆保険制度が「非関税障壁」と看做される理由になります。
むしろ、TPPの狙いは農業分野よりも35兆円を超える日本の医療市場であり、医療保険の開放がその真の狙いであるといってよいでしょう。
そして、その具体的な第一歩が混合診療の解禁です。
これは保険診療と自由診療の併用を認めることであり、皆保険枠と自由診療枠の二本立て医療となることを意味しています。
これまでは、すぐれた治療法や薬が開発され、その有用性が認められれば保険診療の対象となってきましたが、混合診療が解禁になればそれはなくなります。
そんなことをしたら、保険会社が保険を組めなくなり、「非関税障壁」と指摘されるからです。

さて、医学の進歩は早く、新しい治療法や新薬はどんどん開発されていくでしょうが、それにともない混合診療枠が拡大していき、高度な医療を受けられるのは高い民間の医療保険に入れる金持ちだけとなり、庶民には保険の効く「古くてあまり効かない薬」だけが残されることになっていくでしょう。
そして、もうけ第一の資本主義の論理が医療界に入り込み、医師などのいわゆる「医療資源」は利益が出て、高い報酬が約束される分野に流れ込んでいきます。
その結果として、もうけの薄い農山村や救急医療などでは現在以上の医師不足がおこるでしょう。
行き着くところは地域医療の崩壊であり、国民皆保険制度の崩壊です。
医療分野の問題点から考えてもTPPへの加入は認められるものではありません。

追記
もし、混合診療が25年前に導入されていたら?

25年前は今では一般的におこなわれているMRIやCTもなく、尿道結石を超音波で破壊する医療も保険の対象ではありませんでした。
また、心臓の冠動脈が詰まると、今はカテーテルで血栓を除去し、患者は次の日には退院していますが、この頃は開胸手術しかありませんでした。
さて、これらの治療法は今ではすべてが保険適用となっていますが、もし25年前に混合診療が導入されていたら、これらはすべて保険の効かない治療となっていたでしょう。
そして、お金のない庶民はMRIやCT、心臓カテーテルなどの治療方法の恩恵にあずかれず、所得によって受けられる医療の格差は大きなものになっていたに違いありません。
これからの医学の進歩を考えると混合診療の導入による医療格差の増大は想像以上に大きなものなっていくことが想定されます。




TPPは農業の問題にとどまらず日本の国の“カタチ”をも覆しかねない重大問題であること

政府首脳によるTPP推進論の“底の浅さ”について!
かって小泉内閣がすすめた「国民対話」は、後に参加者や質問者の偽装が発覚して税金の無駄使いとの厳しい批判を浴びた。
だが、ここにきて菅内閣がTPP(環太平洋連携協定)のPRのために始めた公開討論会「開国フォーラム」も税金の無駄使いとの批判が出そうだ。

TPPの問題は政府与党内部でも意見が分かれており、そもそもそのような問題で税金を使って世論を一方的に誘導すること自体に問題があるが、フォーラムの内容自体についても何か胡散臭さを感ずる。TPPの旗振り役の玄葉国家戦略担当大臣が語る日本のTPP参加の意義を簡単に要約すれば次のようになるからだ。

「日本の人口の減少はすすむ一方だから、国内でモノがだんだん売れなくなる。
だが、その半面でアジアの個人消費は10年後に日本の4.5倍に達し、米国を追い抜く。このアジアの成長市場に日本の品物をたくさん売り込むためにも関税撤廃などの約束事をTPPであらかじめに決めておく。すると輸出が増えて日本の企業がガッポリ儲かって国内の雇用も増える。また、企業がガッポリ儲かれば税金もたくさん入ってくるから、入った税金で農産物の輸入が増えて立ち行かなくなった農家を補償し、社会保障も充実させる。…‥
ゆえにTPP参加は「開国」の恩恵を分配するシステムであり、これへの参加で日本の未来はバラ色である」

ところで現在、TPPに参加しているのは米、豪、ペルー、チリ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、ニュージーランド、ブルネイの9カ国にすぎず「アジアの成長市場を取り組む」といっても肝心の中国や韓国は入っていない。
今後この両国とどのような交渉を進めていくのかのハッキリした見通しなど持っているわけでもない。

また、多国籍企業化した日本企業は安い労働力を求めて海外にその生産拠点を次々に移しており、仮にTPPで輸出が増えたとしても日本国内の雇用がいまさら飛躍的に増えることなどありえない。
そして、「国際競争力」を名目に財界やマスコミなどが法人税の引き下げを従来から主張しており、今後この流れが続く限りは税収が飛躍的に増えることなど考えにくく、企業の内部留保が激増する中で、働くものの給料が下がり続ける現状では国民の生活に「開国」の恩恵が広く及ぶことなど期待できないだろう。

また、TPPで関税が撤廃されても米国は輸出を増やすために「円高・ドル安」へと意図的に誘導することはミエミエであり、関税撤廃で無防備となったところにドル安でいっそう安くなった米国の農産物がどっと押し寄せるだろう。
そして、その半面で日本からの輸出は思惑通りには増えず、安い米国品の流入でデフレがさらにすすむだけとなるだろう。

TPPによる低賃金労働力の大量流入と国民皆保険制度の崩壊!
ところで大手民間企業の労働組合を中心とする「連合」はTPPへの日本の参加に賛成しているのだが、この政府の「上手い話」を真に受けての賛成だとすればこれほど間の抜けた話はない。
国と国との貿易は物品に限らず、現在ではサービス貿易が大きな比重を占めており、TPPのもとではサービス貿易の完全自由化は避けられない。
そうなると人や資本の自由な移動が不可欠となり、国民生活に広範な範囲を与える。

特にTPPによって入管手続きが撤廃され、労働力が自由に国境を超えて行き来できるようになれば、ベトナム人などの低賃金労働力の大量流入がおこる。
ベトナムは低賃金労働の国であり、一ヶ月の平均賃金が1万5千円に満たないと言われているが、そうなると周辺国と均衡するまで日本国内の賃金水準が下がり続けることとなり、国内の雇用は圧迫され、大量失業の時代の到来も避けられない。
これでも「連合」はTPPへの日本の参加に賛成するとでも言うのだろうか。

また、日本医師会は「TPPへの参加によって日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊に繋がりかねない」との懸念を表明している。
TPPは外資への日本の医療市場の開放を要求しており、外国人医師や外資の参入を受け入れるとなると日本の公的医療保険では診療報酬が決まっており、営利を目的とする企業や高額報酬を目的とする人には魅力がない。よって病院は必然的に高額の自由診療を目指すことになる。
そうなるとお金のない人は高額の自由診療を受けることができなくなり、高額の報酬を期待できる主に都市を中心とした自由診療の病院に医師などの人材も集中する。
すると公的医療保険で診療する地方の公立病院などは医師がいなくなり、地域医療は立ち行かなくなる。最終的にはこれらの問題をとおして国民皆保険制度が崩壊しかねない。

地域経済などにも重大な影響を与えるTPPの脅威!
さらにTPPのもとでは「政府調達」の解放という名目で国の公共事業のみならず、市町村レベルでの公共事業や物品の納入にも外国資本が自由に参入することが求められるという。
たとえば銚子市役所で市道の整備をおこなう際にも、地元や国内の業者ばかりではなく、外国業者にも入札の機会を均等に保障するために銚子市のホームページに入札の公告を英語でおこなわなければならなくなる。
そうなると米国はおろか、バングラデシュあたりの業者が地元業者の5分の1や10分の1の価格で工事を落札することとなりかねず、地元業者は完全に仕事を奪われることとなる。
こうして農業の崩壊とともに地域経済の崩壊にも拍車がかかりかねない。

imagesCARLT2Q8さて、これらはTPPによってもたらされる災厄のごく一部であり、TPPは多くの分野でほとんどの情報が開示されてはいない。
しかも、菅首相をはじめ政府首脳は「詳しい情報は参加表明してみないとわからない」とまともに質問にも答えられない体たらくである。
TPP交渉の秘密主義は参加国のニュージーランドなどでも問題になっており、情報開示は急務であろう。


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西岡三郎
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