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2007年11月30日

デイヴィッド・リチャーズ Q&A 「スーパーアグリやトロ・ロッソとは待遇が違う」

Q & A with David Richards

デイヴィッド・リチャーズと彼のプロドライブチームは現時点で、2008年F1の新参チームとなるべく計画の最終段階に差しかかっているはずだった。

しかし参戦が認められ、マシン供給契約についてマクラーレンと合意したにもかかわらず、リチャーズはF1におけるカスタマー・マシンの合法性に関する不確実性が原因で、その取組みをあきらめざるを得なくなった。

リチャーズにとっては苛立たしい時期であるが、彼はいずれF1に参戦するという努力を完全に思いとどまったわけではない。今週号の "Autosport" 誌はプロドライブの状況を分析しており、リチャーズはこれまでの事情とチームの将来について詳細に語った。

デイヴィッド・リチャーズ:全体のシナリオのなかで最も失望している点は、FIAがほぼ2年前にチャンピオンシップにカスタマー・マシンを認めることで解決策を提示して以来、事情が全く変わっていないということだ。

現実には、F1には問題がある。この重要な基本的問題を避けることはできない。F1の持つ者と持たざる者との間にはとても大きな格差がある。グリッドの後方には主力チームのパフォーマンスをかなり下回るチームがいるが、資金が足りないので生き残るためにあちこちかぎまわって定期的にオーナーが変わっている。

これはF1全体として健全なことではない。トラックでの見所を増やすことはできないし、実際に他のチームの価値をむしばんでいる。常に破産の危機にあり、生き残るために必死になっているようなチームがいれば、トップチームのためにもならない。

わたしは常々、小規模なチームが競争力のあるマシンを使えるようになり、もっと賢明な資金配分をして彼らが一定のレベルの成績をあげられるようにする、バランスのとれたアプローチをとる方が、F1ははるかに強くなると思っている。主力チームがマシンをまるごと小規模チームに販売するという解決策こそ、進むべき道である。

確かのほかの解決策もあるだろう。あらゆるチームが異論を述べているが、現在のシステムはうまく機能していない。グリッド全体に競争力のあるマシンが並んでいないし、グリッド後方のチームは収益を上げていない。これは問題だ。これを解決するにはどうすればよいと思う?

FIAの解決策は賢明かつ論理的だ。これが正しい解決策ではないと言う純粋主義者がいるし、彼らの意見も尊重する。しかし彼らは代替案を提出していない。他の方法でコストを削減することもできるが、それは長い時間がかかるしこれまでも成功していない。

我々にとってF1参戦の唯一の論理的方法は、コスト削減に基づいている。当然のことだが、規約が変更される前は、プロドライブはF1参戦に全く興味がなかった。

実現の可能性はなかった。わたしは非常に明確な基準を持っていた。第一に、競争力がない限りF1に参戦するつもりはなかった。最初から表彰台に乗れると期待するのではないが、最初の10周以内に周回遅れにされずに中段争いをしたかった。そしてマシンには競争力のあるドライバーを乗せ、まともなパフォーマンスをしてもらいたかった。

第二に、収益が上がらなくてはならなかった。大きなスポンサーがつくだろうとか、壁にぶつからずにやっていけるなどど、期待や夢だけでこんなことを始めることはできない。

今後5年間、財政的な運営方法について明確な展望がない限り、多くのスタッフを雇用したり契約を交わしたりすることはできない。それは無責任なやり方だ。

私見であるが、2008年用にFIAが用意した規約は、新チームに参戦の機会を与え、既存チームのいくつかの問題を解決するものだと思う。独立性を少し犠牲にしてもよいのなら、他チームのパートナーになることができる。これはF1ではあまり一般的ではない。

Q:2009年には可能になると思いますか?
デイヴィッド・リチャーズ:混乱があるようなのではっきりさせよう。全く別のふたつの問題がある。それはFIAの技術規約と、バーニー・エクレストンが管理している商業協定だ。

現時点では、いわゆるカスタマー・マシンで2008年ワールドチャンピオンシップに参戦することができるのだ。とめることはできない。規約でカスタマー・マシンの出走が認められているのだから、議論の余地はない。カスタマー・マシンを走らせることができるかどうかFIAに聞いてみればよい。それを妨げることはできないのだ。

しかし次の問題は1年間に限定されている。我々が2008年に参戦するためにはコンコルド協定に加わらなくてはならない。しかし商業的に、バーニーとチームは、カスタマー・マシン参戦は望ましくないという結論に達しつつあるようだ。彼らはそれぞれのチームをマニュファクチャラーにしたがっている。コンコルド協定に加盟したければそれに同意しなくてはならない。

プロドライブとしては、来年から参戦できた。マシンを購入できるのだ。その契約を交わしたことは秘密ではないし、レースに参戦できる。ただし商業権保有者から配当金を受け取ることができないし、1年間のみの参戦となる。我々がコンコルド協定の条項に同意するまでは収入は期待できない。

これでは明らかに利益が上がらない。5年という長期的計画が必要だし、機能する協定が必要だ。現在の提案では、スーパーアグリとトロ・ロッソは2年間の分配金が認められており、その後は完全なコンストラクターの立場にならなくてはならないはずだ。

500人のスタッフを雇用し、莫大な資本投資とインフラを持ち、独立性を維持したいと思っているチームにとって、マクラーレンなどから競争力のあるマシンを購入して参戦るプロドライブのようなチームは大きな脅威となるだろう。分配金が我々とマクラーレンの間で共有されるという事実は関係ない。競争の上で脅威になるのだ。

Q:しかしコンコルド協定は12チームすべてに平等ではないでしょう...
デイヴィッド・リチャーズ:それはまた別の問題だが、確かに欠陥だ。全チームは参戦するために一定の金額を受け取るべきだと思う。もちろんパフォーマンスによるバイアスはあってしかるべきだろう。成功したチームが多くの報酬を受け取るべきだ。個人的には、常にページの最下段から落ちかけているチームがいるのは健全ではないと思う。F1にとって健全な環境にはならない。

Q:クローズドショップ制<訳注:使用者が雇用する労働者は労働組合員から雇用しなければならないとする制度>ですね?
デイヴィッド・リチャーズ:こういった問題はF1が問題に直面しているときではなく比較的健全なときに取り組むほうがよい。1社か2社のマニュファクチャラーが撤退の意思表示をしただけで十分だ、そうなるとこういった問題に取り組まざるを得なくなるだろう。

したがって、まずするべきことは先手を打つことだ。FIAの提案する解決策は非常に賢明で直接的なものだ。これに取り組むのは一部のチームだけでいい。トロ・ロッソとスーパーアグリをはじめいくつかのチームは、F1の新しい運営方法を受け入れれば、このチャンスから大きな利益を得ることができるだろう。

Q:プロドライブはこの根本的な転換の犠牲者でしょうか? 締め出されたと感じていますか?
デイヴィッド・リチャーズ:もちろんだ。これからもそうなるだろう。しかし、モータースポーツにおける最良のパートナーが誰なのかを考えなくてはならない。モータースポーツをビジネスにしているから参戦している会社なのか。あるいは将来環境問題に集中するためにモータースポーツを忘れ去ってしまうような自動車メーカーなのか。

Q:しかし表面的にはマニュファクチャラーは魅力的です...
デイヴィッド・リチャーズ:そのふたつのバランスをとる必要がある。モータースポーツのどのカテゴリーにおいても、自動車メーカーにあまりに依存することはできない。彼らは短期的ではあるが正当なマーケティング理由により参戦しているのだ。

Q:参戦に障壁があると感じる理由は?
デイヴィッド・リチャーズ:とつぜんその脅威に気づいたからだ。運営コストを劇的に削減し、既存のチームとパートナーシップを組むという我々のビジネスモデルを採用しなければ、トラックでも財政的にも最終的に競争力を失うだろう。だから我々は彼らの脅威なのだ。これが実際に起こることに彼らが気づくのにあまりに時間がかかりすぎたので驚いているくらいだ。

Q:次のステップは何ですか?
デイヴィッド・リチャーズ:新しいコンコルド協定がどうなるかを待たなくてはならない。我々が参戦できることを前提とした場合、F1はプロドライブにとってふさわしい場所だと思っている。今では状況は劇的に変わっており、誰もが現状を認識している。参戦できないなら仕方ないが、とにかく新しいコンコルド協定の内容を知る必要がある。

たとえば、もしコンストラクターでなければならないと規定しているのなら、我々はコンストラクターの定義を理解する必要がある。将来、共通の部品はいくつまで認められるのかなどをね。なぜならそれを達成するためにどんなリソースが必要かを知らなくてはならない。そのような可能性も除外できない。可能性があればそれを検討するだろう。しかし、まず資格を得て、決断を下す前に新しい状況を検討する必要がある。

Q:FIAとはどのような対話をしているのですか?
デイヴィッド・リチャーズ:毎週状況が変わっている。規約は規約であるとするFIAの立場は変わらない。商業面での可能性は重要であるが、我々の計画を発表して大勢のスタッフを雇ったあとで、状況が変わるのは無責任だろう。

6ヶ月前に全スタッフを雇用し計画を発表できていたはずだった。しかし今は座して待つのみだ。収益が上がらないし、シーズン半ばでスタッフを路頭に迷わせることになっただろう。我々もF1もこのようなことをする必要はない。

我々は実利的だし、規約や状況が変われば全員が話し合いの席につき新しい状況を見るまでは傍観姿勢をとると言ってきた。

我々の野心は全く変わっていない。目標も全く変わっていない。新しい状況に変われば、決定を下す。

Q:では2009年はどうなるのでしょう?
デイヴィッド・リチャーズ:わからない。この件を公平な目で見ている人なら、18ヶ月前に認められた参戦基準は、状況が変わったのでもはや有効ではないと言うだろう。

当時、状況が変わればそうなるだろうと聞かされていた。彼らは「あなたの立場はわかるが、FIAとFOAとチームの三者が加盟する新しい協定がどうなるか待ちましょう」と言うだろう。来シーズンの開幕までにはコンコルド協定が決まり、新しい協定の条項を検討する時間が与えられるはずだ。プロドライブは参戦する用意ができている。

Q:では2008年はまちがいなく無理なのですね?
デイヴィッド・リチャーズ:単独では無理だ。参戦はあり得ない。18ヶ月前は、まともな人間なら早々にコンコルド協定が決まり、自分たちの立場を知ることができたはずだと思っていた。でもそうならなかった。

Q:マクラーレンと契約しますか?
デイヴィッド・リチャーズ:規約が許すのなら、現実的な選択肢としてマクラーレンと提携したい。

F1の純粋論者は、カスタマー・マシンの概念を疑問視しているが、おもしろいことにロン・デニスもそのひとりだ。彼の意見を尊重するが、彼も規約が許すのであれば、規約を活用すると言っている。その見方は正しいと思う。

Q:未だに他チームやマックス、バーニーとは話し合っているのですか?
デイヴィッド・リチャーズ:もちろんだ。重要人物たちとは常に連絡をとっている。しかし重要な点は、新しいコンコルド協定が検討され全参戦チームが承認するまでは、将来の計画の基礎はないということだ。

Q:ウィリアムズと法的措置の警告に関する最新の状況は?
デイヴィッド・リチャーズ:我々にとって重要だったのは9月13日だった。この日、我々をはじめマクラーレンを含むさまざまなチームがウィリアムズから書簡を受け取った。その書簡には、プロドライブが2008年ワールドチャンピオンシップに非コンストラクターとして参戦することが認められるのであれば法的措置をとると書いてあった。

その時点で、我々は確実な判断がほしかったので、FIAの最高審理組織である国際控訴裁判所(ICA)に照会した。しかしウィリアムズがICAに司法権はないと判断し、この件を民事法廷あるいは調停など他の方法で解決しようとしたので、ICAからは我々が必要とする確定的な判断は得られないことが明らかになった。我々は未だに中途半端な状態にある。あの書簡は依然として有効だと思うので、来年参戦したら、彼らは阻止しようとするだろう。控訴裁判所にできることは、この件に関するFIAの立場を承認することだけだ。

Q:新しいコンコルド協定の成立については楽観視していますか?
デイヴィッド・リチャーズ:当初意図されていたようなの非コンストラクター・チームのアイデアは間違いなく不利になる。それは我々が参戦する唯一の根拠だった。前回の話し合いでは、例の2チームに特別免除が与えられ、新しいチームの参戦を認めないというものだった。

Q:でもプロドライブの参戦については2006年から全員が知っていましたね?
デイヴィッド・リチャーズ:我々は手も足も出ない。誠意を持って行動してきたし、自分たちの計画に関しては非常にオープンかつ透明にしてきた。我々はするべきことをすべてしたし、マクラーレンやスポンサーと同意に達した。しかし現状では実行に移せない。

FIAは正しい行動を取っている。全体の状況は変わってしまったが、彼らの規約は変わっていない。このことは誰でもわかると思う。

フランクがチームのビジネスモデルを変えない限り、彼が気持ちを変えるわけがない。このような状況を最大限に活用する方法については自分なりの考えがある。

マクラーレンとともに達した同意は、独立性の面ではオープンかつ透明で公正だった。完全な自治だ。マクラーレンの見方は、自分たちのリソースを使って我々に勝てないのなら、マクラーレンはそもそも参戦するべきではないだろうというものだった。これはまさにその通りだった。ドライバーの選択は完全に自由だった。

F1の全盛期はいつだったのだろう? 個人的には、F1の最高の時代のひとつは全チームが(フォード・コスワースの)DFV(エンジン)を使っていたときだと思う。これは20年近く続き、素晴らしい時代だった。マシンの革新や開発は止まらなかった。偉大なドライバーに注目が集まるのが妨害されることもなかったし、F1が技術的に進歩したモーターレーシングのかたちであるというイメージが抑制されることもなかった。

我々は来年の参戦権を持っており、その状況についてFIAと話し合っているが、すべては新しいコンコルド協定の本質と我々がそれに応じることができるかどうかにかかっている。

-Source: autosport.com
-Mobile: Amazonモバイル


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