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2008年08月26日

KERS(運動エネルギー回生システム)に関する初歩的な質問

Kinetic Energy for Formula One

F1の運動エネルギー
革新的な燃料生成システムが自動車レーシングにエコ時代をもたらす

F1レーシングは、燃費の分野で最も進歩している自動車産業とは同調できないのか? おそらくそうかもしれないが、長くは続かないだろう。FIAは、2009年シーズンから競争の激しいレースカーにハイブリッド駆動システムの導入を予定している。F1は、チームに運動エネルギー回生システム(KERS)の設置を要求している。これは、無駄になっている減速車両の運動エネルギーを急速に回転するフライホイールを利用して保存し、マシンの駆動系に戻すものである。FIAは、2009年シーズンのエネルギー回収量を、1周あたり400kJと規定しているので、ドライバーは6.67秒間に80馬力を余分に得ることができる。我々は、Xtrac社のテクニカル・ディレクター、エイドリアン・ムーアに、同社がFlybrid社Torotorak社と協力して開発したF1用KERSシステムについて質問した。

Q:5歳の子供にもわかるようにKERSを説明してください。OK、とても賢い5歳の子供にしましょう。
A:車が減速すると、車を減速させるために使われるエネルギーはブレーキを通じて熱として発散しますが、これを捨てないで保存して、車を加速するときに使うのです。エネルギーはバッテリー、あるいはフライホイールに保存することができます。

Q:御社のKERSシステムがF1レーシングに最適な理由は?
A:Flybrid社のKERSシステムには我が社がCVT(トランスミッション)を供給しているのですが、かなりコンパクトかつ非常に軽量で、非常に素早く反応するのです。

Q:F1で電気ハイブリッド・システムを使わない理由は?
A:F1でも電気システムを使うことはできますし、一部のチームは使うでしょう。しかし、機械的なフライホイールのシステムに比べ、かなり重くなると思います。

Q:KERSの短時間の馬力向上によって、F1レーサーのトラック上の戦略が変わるでしょうか?
A:はい。いろいろな意味で変わるでしょうね。例えば、マシンのトップスピードが増加したり、スタートから最初のコーナーまでの時間が減ったり、ラップタイムが短縮されたりするでしょう。

Q:KERSはどのようなかたちで乗用車に採用されると思いますか?
A:費用効果と、使用する燃料の抑制や二酸化炭素排出の低減の簡単な方法として。ドライバーは必ずしも車に搭載されたこのシステムを認識する必要はありません。電子装置で制御されるので、裏方として機能するでしょう。

Q:現在の乗用車モデルにKERSが搭載されるとしたら、どのモデルだと思いますか? そしてその理由は?
A:我が社は、ジャガー・ランド-ローバーのコンソーシアムの一員として、乗用車向けの技術を開発しています。ですから、彼らの車のひとつが理想的と言っておきましょう。

KERSシステム用のコンパクト・フライホイールとCVT左から、KERSシステム用のコンパクト・フライホイールとCVT(無段変速装置)を持つFlybrid社のジョン・ヒルトン、Xtrac社のエイドリアン・ムーア、Torotrak社のディック・エルシー。

エイドリアン・ムーアは、1984年奨学金授与学生としてロールスロイスに入社し、機械工学の優等学位を得てハットフィールド・ポリテクニックを卒業した。卒業後もロールスロイスに留まり、1992年まで先進エンジアリングの分野でデザイナーとして働いた。1992年、エイドリアンはXtrac社に入社し、各種のトランスミッション・プロジェクトで設計エンジニアとして働いた。そしてフェラーリ設計開発センターに移籍し、1997年フェラーリF301Bの各種パーツおよびシステムを設計した。その後マクラーレン・インターナショナルに設計エンジニアとして移り、サスペンション・システムのほぼ全体と関わったが、その中にはチャンピオンシップ優勝マシンMP4/13とMP4/14も含まれていた。彼は1999年初めにXtracにチーフ・エンジニアとして戻り、同社の技術責任者となった。2002年1月には新ポストであるテクニカル・ディレクターに任命された。

-Source: Popular Science
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