2009年11月03日

ヤス・マリーナのパドック・ライフ

Paddock Life: Yas Marina edition

○ シーズン中はレースのたびに、わたしは数人の同僚とともに夕方腰を下ろして話をしたが、特に楽しい時間を過ごしているときは、その週末が「最高のグランプリ!」かどうかを議論した。

レースがどれほど面白かったとか、GPが驚くようなニュースやゴシップの温床だったとかという競争ではない。むしろ、イベントの雰囲気、つまり施設やホテルが特によかったか、夜が楽しかったか、傑出したパーティがあったか、その日を明るくするようなおかしい話題があったか、などに依存する。それはニュルブルクリンクかもしれないし、モナコかもしれない。どのGPでも「最高」になる可能性があるのだ。

ヤス・マリーナ・サーキットしたがって、土曜日夜わたしがキングズ・オブ・レオン<訳注:アメリカのロックバンド>のステージから約10メートルはなれて汗まみれで立っていると、同僚のひとりからテキストメッセージを受け取った。「キング・オブ・レオンを見ているのかい? そうなら最高のGPだよな!」

そしてアブダビ初のレースを経験したあとは、このシーズン最終戦に注がれた努力に反論するのは難しかった。そう、トラックはドライバーにとって偉大なるチャレンジのひとつにはなりそうにないが、パドックで設備、背景、会場を批判するような人はいなかった。

ヤス・ホテルや、マシンがマリーナ周囲を走る様子は、まさに壮観だった。昼から夜へのレースというコンセプトは素晴らしく機能し、テレビで見ると施設全体が見事に見えた。

しかし、それ以上にファンは週末本当に素晴らしい時間を過ごすことができた。多くの会場よりもマシンに近づくことができた以外にも、主催者は確実に娯楽を提供した。

毎晩トラックでのアクションが終わると音楽が始まった。完成間近のフェラーリ・ワールドの端で壮大なコンサートが開催されたのだ。四夜で、ビヨンセ、ジャミロクワイ、キングズ・オブ・レオン、エアロスミスなどのコンサートがあった。これは週末の素晴らしい余興となり、ちょっとしたアイデアがあれば、主催者がいかにグランプリを大成功させることができるかを実証した。

そして来年は、さらによくなる気配がある。ルノーの新しいスポンサー、腕時計メーカーのTWスティールは、F1はトラック外でももっと楽しくあるべきだと感じており、来年はパドックとファンにスペクタクルを提供するという壮大な野望を抱いている。

だから、今から2010年のヤス・マリーナを予約するべきだろう...

○ 今年のイベントが大成功なら、来年は是非アブダビGPを訪れるべきである。なぜならヤス・マリーナ・サーキットに隣接する見事なテーマパーク、フェラーリ・ワールドが来年オープンするからだ。

フェラーリ・ワールドメディアのラッキーな数人は、テレビでレースを見ていると嫌でも目に入る巨大な赤い構造物の内部に入ることを許された。

巨大なフェラーリのロゴ(65m X 49mの世界最大の跳ね馬)の下には、自動車ファンにとって最高のテーマパークが約束されている。

シミュレータ、水路を走る乗り物、ドライビング体験などがあるが、一番の見ものは世界最速の屋外ジェットコースターだろう。

その日のホストは、そのジェットコースターは停止状態から4.5秒で時速200kmに達し、その間に4.5Gがかかると説明してくれた! そしてその後52mの高さまで上昇する。

来年のレースでは水曜日にこれを体験してみたいものだ。

○ アブダビGPの最も驚くべきことのひとつは、大物やセレブに会っても感動しないことだった。

モナコGPはF1シーズンの中でセレブに会える確率が非常に高いが、アブダビは週末を通じてモナコを上回った。

コンサートの出演者のほか、ギャヴィン・アンド・ステイシー<訳注:BBCのコメディ番組>のスター、ジェイムズ・コードンが来ていた。ウェイラーズはラッパーのティンバランド(彼の本名はモズレーである!)と一緒にいた。レッドブル・レーシングにはイングランドのクリケット選手フレディ・フリントフがF1熱に浮かされており、チーム自体も今までにないほど幹部が姿を見せていた。

ロン・デニス、ボリス・ベッカー新しいFIA会長ジャン・トッドも現地入りした。ロン・デニスはシーズン開幕戦のオーストラリアGP以来初めてF1レースを訪れ、フェラーリではルカ・ディ・モンテツェモロ会長とピエロ・ラルディ・フェラーリが観戦していた。

土曜日の面白い出来事のひとつは、ディ・モンテツェモロが、スタンドで観戦していたファンからサインを求められたときのことだった。ペンとパンフレットを渡された会長に、ふたりの男性が「ルカ、愛しているよ...」と大声で叫んだのだ。

メルセデス-ベンツはマクラーレンとブラウンという将来の計画を検討するなか、多くの取締役がレースに来ていた。ペーター・ザウバーも、チームの最後になるかもしれないレースを観戦した。モーターレーシングの関係者であれば、先週のアブダビこそ行くべき場所であることは間違いなかった。

○ ワールドチャンピオンシップはブラジルで決定していたので、アブダビの週末は最近のレースほど緊張感はなかった。

しかし、ジェンソン・バトンや数人のドライバーはややリラックスできたので、熱狂的だった数週間のあとでは、このような雰囲気を誰もが歓迎していたと思う。

シンガポール、日本、ブラジル、アブダビという一連のフライアウェイ・レースにより、エネルギー・レベルはかなり低下していた。スタッフの多くは、2010年に集中する前のわずかな休養を楽しみに週末を過ごしていた。

土曜夜、10年間F1に参戦したBMWがお別れパーティを開催したが、全チームの代表者らが出席したことが、彼らがチームおよびマニュファクチャラーとしていかに尊敬されていたかを物語っていた。午前0時にはお開きにするという希望はすぐに見捨てられ、パーティは決勝日の早朝まで続いた。

フェラーリでは、ドメニカリ体制では物事がリラックスしてフレンドリーになったことを証明するように、日曜午前に英国メディアに対しささやかな授賞式を開催した。わたしが「ハンサムな記者賞」、「優しい記者賞」、「1年で最もおかしかった場面賞」を受賞できなくても意外ではなかった。「最大腓筋賞」がなかったのが残念だ。

またシーズンの終わりは、人生における優先度、特に家族を考える時期でもある。そのため、レース後に愛の告白があった。

ファトナ、結婚してくれるかい?レース終了直後、ブラウンGPのシェフ、デイヴ・フリーマンはガールフレンドのファトナ・ラーチにプロポーズするタイミングだと感じた。彼女は実際レースには来ておらずテレビの生放送を見ていた。ブラウンのピットボード係も兼任しているフリーマンは、最もおおっぴらな方法でメッセージを送った。

彼は、ピットの中で「ファトナ、結婚してくれるかい?」と書かれたピットボードを頭上に掲げ、カメラクルーに向けたのだ。答えは「イエス」だった。

その後のレース後記者会見で、セバスチャン・ヴェッテルは、冬の間に結婚式を挙げるブラウンGPのメンバーはフリーマンだけではないと思っていた

-Source: autosport.com
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