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2009年11月15日

タイヤ by マイク・ローレンス

Tyres

ブリヂストンの撤退には十分な注目が集まっていない。トヨタが去り、おそらくザウバーが戻ってくるが、ブリヂストンの代わりはいない。なぜなら誰もデータを持っていないからだ。なぜならFIAがテストを禁止しているので、誰もデータを入手できなのだ。

データ不足が何をもたらすのかを思い出すには、6台しか出走しなかった2005年アメリカGPを振り返ればよい。あれはモータースポーツ史上最も悲惨な日のひとつだった。スピードウェイに来ていた何万人ものファンが損をした。チケット代だけでなく、旅費や宿泊費も無駄になり、純粋な失望を味わった。失望に値段をつけることはできない。

FIAは、F1の安全性記録を自慢するのが好きで、アイルトン・セナ以降の時代が言及される。しかし他のドライバーのキャリアも同じように終わっている。ラルフ・シューマッハはインディアナポリスの金曜フリー走行でタイヤ・トラブルによる恐ろしいクラッシュを生き延びたが、同じドライバーに戻ることはなかった。いくら安全が保証されていても、人間の脳は頭蓋骨の中でグシャグシャになったら耐えられないのだ。

タイヤの不具合がラルフ・シューマッハのキャリアを終わらせた。彼は誰かの弟というだけではなくグランプリで優勝している。華やかなラルフは特別だったが、このクラッシュ以降は変わってしまった。

インディアナポリスではふたつのことが大惨事につながった。タイヤ交換を禁じたFIAの裁定と、タイヤ磨耗を大きくしたスピードウェイの再舗装である。実際には3つ目の原因があった。それはチームの頑固さと協力拒否だった。彼らは北米市場の重要性について不満タラタラであるが、いざというときには自己の利益を優先した。トッド(別名我らの偉大かつ輝かしい指導者)が頑固だったことを思い出す人もあるだろう。

ミシュランは2001年からインディアナポリス用のタイヤを供給しており、何の問題もなかった。ミシュランは立派な歴史を有しているが、再舗装したスピードウェイでテストすることができず、FIAはテストを要求しなかった。FIAは、F1タイヤがどれほど余裕がないものなのか把握することができなかった。多くのサーキットでは、新しいタイヤセットが予選で2周目を走れないこともあるが、それほど余裕がないのである。

明らかにFIAはそのことを知らなかったが、我々底辺層のカウチポテト族は知っている。テレビで予選を見ている我々は、いつもタイヤ磨耗について聞かされているのだ。マーティン(・ブランドル)とテッド(・クラヴィッツ)はタイヤ磨耗とタイヤの振る舞いについて伝えている。我らプロレタリア階級は情報を知っている。我々は、インディアナポリスはミシュランの失敗ではないことを知っている。あれはFIAの失敗だったのだ。しかし非難されたのはミシュランだった。

ミシュランがテストを要請していたら、あのような問題が発生しただろうか? しかしタイヤ交換なしという短命の規約があった。あの規約がどうして導入されたのかわからない。FIAが新参者ブリヂストンの不利になるようにハンデをつけるわけがない。そんなことを考えるべきではない。

タイヤは交換が必要にならない限り、ほとんど考えることのないもののひとつである。しかも最近ではめったに交換しなくてもよくなっている。走行1マイルあたりのタイヤのコストは非常に安い。わたしの乏しい予算のなかで、タイヤが大きな問題になったときのことを覚えているが、それは再生タイヤだった。今はタイヤが磨耗すれば不愉快に感じるだろう。実際、最近それが起こったのだ、4万5,000マイル(7万2,420km)走ったあとに。

タイヤ業界の大手は、ブリヂストンとミシュランの2社である。両者は市場の約30%ずつを占めており、他のタイヤメーカーは比較的小規模である。

経済不況のため、販売される自動車は減少し、新車には新タイヤが5個ついてくる。業界大手でさえ低迷しているので、小規模なメーカーは苦悩していることだろう。これは自動車産業を通じて同じである。見出しになるのは高級ブランドであり、そのブランドに対するパーツ・サプライヤーは見出しにならないが、誰かがドアロックやシートを作っているのだ。

タイヤメーカーは、キャタピラ・トラクターの無限軌道なども製造している。自動車から遠く離れた多くの産業におけるコスト削減により需要が減っている。トラクターに無限軌道が必要でも、工事がないのですぐに交換する必要がないのだ。

ブリヂストンは、ドライバーの言い訳に使われる丸くて黒い物のメーカーであるが、素晴らしい仕事をしている。彼らのF1タイヤは驚くほど一貫しており、ひとつたりともタイヤに構造的欠陥はなかった。他のドライバーのフロント・ウィングにタイヤを削られることがあってもそれは別問題である。それは「ベン・ハー」に出てくる黒服の悪役である。

FIAはブリヂストンに対し、チームはタイヤ料金を支払うと伝えたが、ブリヂストンは撤退を望み、18ヶ月前に告知して適切な行動をとった。ブリヂストンが大金をかけてきたので、誰も個々のタイヤの本当のコストを信じないという枝葉の問題もある。

韓国がグランプリを開催する予定になっているので、韓国のタイヤメーカーが挑戦するかもしれないと気づいた。10年前、韓国のタイヤはジョークだった。わたしはかつて東ドイツ製のタイヤに好意を示していたが、駐車するとキーという音をたてた。韓国のタイヤは、標準品として草の根の英国クラブレーシング・クラスに輸出されている。一部は安価であると同時に適格である。

韓国のメーカーは大きな野心を持っており、それを日本人から学んだ。彼らの野心がいかに大きくとも、そして資金がいかに多くとも、彼らにはデータがないし、FIAが認めていないのでデータを取得することもできない。

タイヤがなくてはマシンは走れないので、タイヤこそ我らの会長が最初に解決するべき仕事である。

-Source: Pitapss
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