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2010年06月16日

ジェンソン・バトン: F1、恋人、未来の息子、趣味の時計を語る

Jenson Button the F1 champion

英国人ワールドチャピオンを見つけるのは難しい。すると突然ふたりも誕生した... 4,000万ポンド(54億1,819万円*)の男、ジェンソン・バトンが、自信喪失、未来の息子にF1から離れるように警告する理由、ルイス・ハミルトンとの競争について語る。

ジェンソン・バトンジェンソン・バトンは「息子を持つようなことがあれば、そして息子がF1での僕の足跡を追いたいのなら、F1の否定的な面を指摘することが僕の責任だね」と語る。

これは、かなりの説得力があるかもしれない。バトンは粋なグランプリ・ヒーローの典型である。彼は世界で最も魅力的で年俸の高いスポーツの現ワールドチャンピオンだ。彼は4,000万ポンドの財産を持ち、さらにそれは年俸だけでも毎年600万ポンド(8億1,272万円*)を追加している。彼はばかばかしいほどに豪華な宮殿をモナコとガーンジー島に所有しており、ごく最近まで、ランジェリー・モデルの道端ジェシカという魅力的なガールフレンドがいた。

トルコGPの彼は、昨年秋に王冠を奪ったルイス・ハミルトンとホイール・トゥ・ホイールの対決をし、スリリングなレースを戦い、ドライバーズ・チャンピオンシップで現在完璧な位置につけている。

彼は「もちろん、息子は肯定的な面が何かわかっているだろう」と続ける。「スピード、魅力、財産に気づいているはずだ。しかし息子が考慮していないのは、犠牲だ。チャンピオンになることを真剣に考えているのなら、20年の人生をすべて捧げる必要があるんだ」

「レース週末を考えてみよう。どんなささいなミスも僕を苦しめる。予選でグリッド5番になれば、順位とは直接関係なかったとしても0.05秒速く走れないかと考えるだろう。夜に考え、朝起きて最初に考えることは、わずかな時間のことだ。こういった細かいことを異常なほどくよくよ考える。これを乗り越える必要がある。僕はほんとうにこれに苦しんでいる」

しかし、いざそのときになると、彼は息子にF1のキャリアを追求しないよう説得したりしないはずだ。彼はあきらめたように見える。

「ああ、しないよ。できないと思う。僕は今チャンピオンだ。それがどういうものか知っている。いつも勝ちたいと思っている。勝つたびに、いつか息子に伝えることができる素晴らしいレースだと思っている。これは僕にとって銀行にある何千万ポンドよりも大きな意味がある」
ジェンソン・バトン
バトンは学生として輝かしいキャリアを持っていたが、F1に数年間在籍しただけで、グラマラスな象徴(フェイム・アカデミーのガールフレンド、高価なクルーザー、フェラーリ)で、トラック上の能力を損なっている目立ちたがりのプレイポーイというレッテルを貼られた。114回出走して1度も優勝がなく、彼は決まって最高のドライバーと戦う粘り強さがないと批判された。これが彼の継続的な自己批判を説明するかもしれない。キャリア半ばでの失望は、ドライバーとしてはまだまだ、人間としても成長が必要であることを彼に示した。しかし自信が彼を動かした。

「過去6ヶ月間のF1の映画をつくるならハリウッド的エンディングをつけ足す必要はないだろうね。そういう映画をつくるなら、僕が人生を逆回転で送る『ジェンソン・バトン 数奇な人生』でなければならない。僕の役はジョニー・デップに演じてもらいたいけど、ぴったりではないかもね」

ポール・ウォーカー「『ワイルド・スピード』のポール・ウォーカーが一番近いかな。幸い僕は自信に不足したことはないからね。これが巨大なエゴを持っているわけではないことを祈るよ。その境界線は細い。ベストになりたいと思うのはOKだけど、自分がベストだと思うべきではないと思う。さらに、何かを達成することは継続的なものだ」

2006年のブダペストでF1初優勝を手にしても失望の3年間が続き、昨年1戦を残してブラジルでタイトルを獲得した。当時でも、専門家は彼の成功は、彼の専門技術よりもむしろブラウンGPのマシンのパフォーマンスのおかげだと反論した。

2009年11月、彼がブラウンGPを離れてルイス・ハミルトンのいるマクラーレンに移籍すると、さらに批判が高まった。F1の伝説的ドライバー、ニキ・ラウダやジャッキー・スチュワートがバトンの能力と判断を疑問視し、エディ・アーバインはさらに断固として「彼はマクラーレンに移籍することで虎の穴に入ってしまった。移籍したのは狂っている。彼は殺されるだろう」と述べた。

ブックメーカーも同じ意見であり、バトンのシーズン序盤のオッズは7-1、確実な優勝候補ハミルトンは5-2だった。バトンは自分のよく知っている最高の方法でこれに応えた。そう、4戦で10ポイント差をつけてトップに立ったのだ。

ジェンソン・バトン、ルイス・ハミルトン

彼は「僕にとっては復讐ではない。人々が間違っていることを証明することでもない。今シーズン僕が優勝して表彰台に立ち『みんなに僕ができることを教えやった。みんな本当に馬鹿だったと感じているだろう』なんて思わなかったよ。30歳になって、すべてが正しい方向を示しているように感じている。でも僕に関しては変わらないこともある。僕は尊大だという印象を与えないようにいつも気をつけているんだ」

そのことについてはわたしも知っている。わたしは昨年彼と会っている。2009年F1シーズンの5戦目、彼が4勝してチャンピオンシップ首位に立ったときだった。彼は最終的に10月18日サンパウロでチャンピオンシップの王冠を手にした。セレブに何度インタビューしても、相手がこちらの顔を覚えることはない。わたしがバトンに再び紹介されると、彼は、モンテカルロ港から離れつつある豪華なクルーザー "Riva Rivarama" 号でわたしに会ったことをすぐに思い出した。彼は、船酔いに襲われたわたしを気遣うために舵輪から離れなければならなかったことを指摘する。

彼は「陸地で過ごしていたことを祈るよ」とからかう。「船の上では死にそうに見えていたよ」

ジェンソン・バトン、ルイス・ハミルトン、F1トルコGP

今日のバトンは一時的に仕事を離れ、スイスの静かな町にあるラ・ショー・ドゥ・フォンを訪れ、彼のスポンサーのひとつTAGホイヤーの腕時計博物館を見学している。彼はチャコール・グレイのヒューゴ・ボスのスーツをぴしっと着こなし、カスタムデザインされた無精ひげに穏やかな微笑を浮かべて話している。

リラックスした雰囲気のためか、F1チャンピオンになるために必要な資質について温厚な反省を聞くことができる。必要条件は? もちろんずぶとい神経。しかし、人間を非常に生き辛くする一心不乱も必要だ。

彼は「他人を信用するのは難しいことがわかった」と言う。「F1では特にそうだ。このスポーツでは人に依存してはいけない。いかによいチームであっても、親密な友情を作り上げるのは難しい。孤独を感じているほどだと言っているわけではない。でもF1について理解してもらえないことのひとつは、いかに激しく、いかに消耗的かということだ」

ジェンソン・バトン

「例えば、じっと座って映画を全部見終わるのは難しい。一度に数分以上じっと座っているのが苦痛なんだ。人によっては僕を理想的なボーイフレンドと見なすかもしれないが、自分ではそうではないと思う。これはストレスの多い仕事だ。嘘をつかないが、本当のことを伝え、うまく行かないときは励ます方法を知っている人を味方につける必要がある」

2005年、バトンはフェイム・アカデミーのスター、ルイーズ・グリフィスと挙式予定の3ヶ月前に別れた。彼女は、自分は子供がほしかったが彼はほしがらなかったと示唆したが、彼はこれを否定している。先月、我々のインタビューの直前、彼は日本に住む道端と別れた。友人によると、長距離恋愛の難しさを理由に挙げた。バトンは、自分は必ずしも「感情を分かち合うこと」ができないことを承知していると言う。

「僕はあまりに長い時間レーシングのことを考えている。単純なことに対する忍耐力がないんだ。トラックを離れるとリラックスできない。アクションがすごく好きなんだ」

ジェンソン・バトン、道端ジェシカジェンソン・バトン、ルイーズ・グリフィス

バトンは腕時計に執着している。TAGホイヤーは彼の最初のレース賞品だった。彼はアイルトン・セナのお気に入りの腕時計の絵や、1971年の映画「栄光のル・マン」でスティーブ・マックイーンがつけたシックな「モナコ」に目を留めると、興奮を隠すことができない。

TAGホイヤー・カレラ1887「腕時計は僕のなかの少年を引き出す。前回ここにきたときは、新しいTAGホイヤー・カレラ1887のプロトタイプを持ち帰るという誘惑に抵抗できなかった。家に持ち帰ってから、中身がないことに気がついたよ! 基本的に外殻だけだったんだ。でもとてもクールだったので、はめてしまうんだ。今はプレゼントでもらったものがある。2,500ポンド(33万8,637円*)で売っている。信じられないほど安いよね」

あなたは今コーヒーをふいただろうか。わたしもまさにそうした。しかしバトンは大金持ちであり、得意分野についてはよく知っている。

「腕時計に3万ポンド(406万円*)使うこともあるが、これは僕の財産を見せびらかしているのではない。僕はあまり無駄遣いをしないが、腕時計は最大の贅沢なんだ。今は30個は持っているね。カートのイベントで黒いTAGをもらった9歳以来、集めているんだ」

ジェンソン・バトンカートの栄光からワールドチャンピオンシップ優勝までのストーリーは、トップに至るまでのかなり孤独な道のりに聞こえる。

「僕は本当に内気な子供だった。誰とでも仲良くしたかったけど、レーシングのおかげで僕は孤立していた。違っていると見られたくなかったので、早いうちにカートのことは内緒にすることに決めた。親友でさえ僕がカートをしているのを知らなかったよ」

「その後1991年、英国カデット・カーティング・チャンピオンシップ34戦で全勝した。僕の学校は大きな祝賀会を開くことに決めた。そのときでも、僕は自分だけの秘密にしたかった。僕は僕だけの小さな世界の中にいた。学校では、間抜けな奴にもブーなんていわなかった。レーシングのヘルメットをかぶると、僕は完全に変身した。冷静でリラックスする代わりに、完全にのめり込んだ。ハンドルを握ると、無謀になったことはなかったが、大胆不敵になった」

10代の彼はカートでは事実上無敵で、18歳で自動車に昇格し、英国フォーミュラ・フォードチャンピオンシップで9勝して、タイトル優勝を果たした。翌年彼はF3に昇格した彼は勝ち続けるための闘争本能を持っているのだろうか?

「僕のスタイルは、アイルトン・セナよりはアラン・プロストに似ている。彼はとてもスムーズなドライバーだが、必要なときは計算してリスクを冒す。昨シーズンのバーレーンで、僕は最初の周回をハミルトンとセバスチャン・ヴェッテルより前で終える必要があった。ターン1に向かうとき僕はふたりの後ろだったが、ふたりとも抜いたよ。これは僕は必要なときには攻撃的にもなれることを示している」

マーティン・ホイットマーシュ、ジェンソン・バトン

「1位争いをしていて、チャンピオンシップがかかっていたなら、ターン1に向かうときに無理はしないだろう。冷静であるべきときと、攻撃的であるべきときを理解するのが大切なんだ。これはチームと仕事をするときも同じだ。チームに間違っていると叫んだり金切り声を上げたりすることはできない。感情を抑えなければならない」

ではこの一心不乱の献身には終わりがあるのだろうか?

ジェンソン・バトン「1度ワールドタイトルを手にしても、十分だとは感じていない。ひとつのタイトルは始まりに過ぎない。父親になることをじっくり考えるようになったら、F1以降の人生を考えるだろう。しかし僕がレーシングをしている限り、そのようなことにはならない。F1で成功するためには、いろいろな意味でとても自分勝手になる必要があるし、長時間家を離れなければならない。僕はそういう父親にはなりたくない。子供を持つのなら、子供の成長を見守りたい。僕の父がしてくれたように、子供たちの野心を応援したいと思っている」

バトンの父親ジョンは、元ラリークロス・チャンピオンで、ジェンソンのキャリアを支えるために時間と財産を犠牲にした。

「よくお金が足りなくなり、父はときどきガソリン代を借りなければならなかった(サマセット州フルームから300マイル離れたスコットランドのレースに息子を連れて行くときなど)。レーシングは高価にもなり得るスポーツだが、僕らは他に選択肢がなかったので、安上がりにすませていた」 そしてジェンソンが2008年のホンダのマシンが基準に達していないと気づいたとき、彼は絶望して父親に電話をかけた。

そう言うと、彼は今年チャンピオンシップ防衛のチャンスについて考え始める。彼はじっくりと真剣に考えている。

彼はゆがんだ笑みを浮かべてこう語る。「可能性は低いようだね。統計からすると、F1ワールドチャンピオンシップで優勝したドライバーが、翌年も優勝できる可能性はたったの30%だ。さらに、今シーズンは今までにないほど競争が激しい。もし僕が優勝するのなら、僕はオッズを覆すことになる。僕はそれが得意なことを思い出してもらいたいね」

「僕が何かを学んだとしたら、それは可能性が低いほど優勝の味は甘いということだ。今の僕はこれまで以上にF1に夢中だ。マシンに乗ってヘルメットのバイザーをおろすたびに、満面の笑みを浮かべているんだ」

-Source: MailOnline
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*日本時間2010年06月16日02:19 の為替レート: 1ポンド=135.454800円


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