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2010年11月01日

レッドブル、馬鹿正直な作戦で最速マシンを生かせない可能性も

Red Bull have fastest cars but their naive strategy may prove fatal

チームがアプローチを変えてひとりのドライバーを優遇しなければ、ドライバーズ・チャンピオンシップをフェラーリのフェルナンド・アロンソに譲る恐れがある

ミルトン・キーンズは、ウサギとカメに関するイソップ寓話の現代版解釈を試そうとしている。いや、レッドブルには二羽のウサギがいて、相対的に言えば、今年のF1シーズンには22匹のカメがいた。しかし寓話の基本的原則はそのまま残り、レッドブルは圧倒的に優位だったこの面白いシーズンで、あまりに何度も昼寝をしたので、優勝を逃すかもしれない。

マーク・ウェバーとセバスチャン・ヴェッテルが乗るレッドブルは別格である。17戦中14回ポール・ポジションを獲得し、そのうち8回はフロントローを独占した。優勝に関してはふたりとも貪欲である。彼らの7回の優勝に対抗できるチームはいない。しかしそれだけでは十分ではない。

ウェバーは、F1的意味において長いキャリアで最高のシーズンを過ごしている。ヴェッテルは、見る目のある人々から、将来のチャンピオンであるだけでなく、何度もタイトルを獲得する偉大なドライバーのひとりとして引退すると見られている。そして彼らの後ろにはF1の傑出したデザイナー、エイドリアン・ニューウィがいる。しかしそれだけでは十分ではない。

チームは7日サンパウロで開催される最後から2戦目のブラジルGPに向けて準備を進めている。ウェバーは、ワールドチャンピオンシップ順位で2位に、ヴェッテルは4位につけている。「競走は速い者が勝つとは限らない」という聖書の教えは正しいようだ。前回の韓国GPは、レッドブルには今シーズン最悪のレースだった。トルコよりもひどかった。最終的に彼らのマシンは、レッドブルの地元ミルトン・キーンズを悪名高い町にしたコンクリート製の牛のように動かなくなってしまった。ウェバーのマシンは泥に、ヴェッテルのマシンは煙に包まれた。

ミルトン・キーンズのコンクリート製の牛、Milton Keynes Concrete Cow

では彼らには信頼性問題があったのか? そう、ほとんどなかった。確かにマシンに問題はあった。ヴェッテルはバーレーン(スパークプラグ)、オーストラリア(ホイール)、スペイン(右フロントブレーキ)でトラブルがあり、霊岩ではエンジンがブローした。

しかし韓国での2台リタイヤは、2008年シーズンの開幕戦以来少なくとも1台は完走するという記録を50戦で終わらせてしまった。

9回ポール・ポジションを獲得しながら3回しか優勝していないヴェッテルは、今シーズン、性急な行動が目立った。イスタンブールでは2位走行中のヴェッテルが1位のウェバーと接触し、スパではジェンソン・バトンにクラッシュした。彼はトルコではリタイヤし、ベルギーではなんとか15位でフィニッシュした。したがって、彼が最近の数戦で最速に見えても、チームメイトに14ポイント、チャンピオンシップ首位のフェルナンド・アロンソには25ポイント負けているのだ。

レッドブルのペアのうち、ウェバーの方が安定している。しかし彼はヴァレンシアでヘイキ・コバライネンに追突し、韓国ではコントロールを失ってスピンし、壁にぶつかった。また彼は順位をゆるぎないものにしようとしているが、過去3ヶ月間レースに優勝していない。

一方、アロンソはシーズン半ばの停滞から覚醒し、過去4戦中3回、過去7戦中4回優勝した。彼のボディランゲージには非情さが加わりつつある。他のドライバーから抜きん出ている彼は、2005年と2006年ルノーで達成したように、ブラジルでタイトルを獲得することができる。

彼は、おそらくルイス・ハミルトンを除いてF1最高のドライバーである。そして背後には最大のチームがついている。また重要なことにバックネット、あるいは後部銃手としてフェリペ・マッサがいる。

ここにレッドブルのジレンマがある。彼らは昨シーズンの後半、最速のマシンを持っていたが、ドライバーズ・チャンピオンシップでは2位と4位、コンストラクターズでは2位に終わった。今回は優勝しないわけにはいかないのだ。

ワールドチャンピオンのバトンは現実的にタイトル争いから脱落しているため、マクラーレンは、ドライバーに対する平等主義的アプローチを再検討して、メインのドライバーを優遇しなければならない。ウェバーが最後の2戦で優勝し、ヴェッテルが2位、アロンソが3位になれば、ウェバーがチャンピオンになる。ヴェッテルが最後の2戦で優勝しても、アロンソがタイトルを獲得する可能性がある。

韓国GPの後、明るく雄弁なレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ひとりのドライバーを優遇するのはまだ時期尚早だと述べた。「我々の戦略は変わらない。このチャンピオンシップはアブダビの最終周回が終わるまでは終了しない。我々はそのときまで全力で戦う」

これは立派な態度であるが、馬鹿正直である。レッドブルが今後数日以内に(最愛のヴェッテルを格下げするような)戦略に切り替えない限り、チャンピオンシップをアロンソに譲り、ミルトン・キーンズは再び悪名を馳せるだろう。

-Source: guardian co.uk
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Q:レッドブルのファクトリーはイングランドのミルトン・キーンズにあります。ここで有名なコンクリート製のものは?
セバスチャン・ヴェッテル:環状交差点と言うところだったよ! でも動物だよね。牛?
正解 <訳注:Milton Keynes Concrete Cow>

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