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2012年04月02日

F1チーム代表の役割

The principal reasons behind the successes in Formula One

ペーター・ザウバー

これからの1年間を監督するべき人物が、シーズン前のトレーニング中に自宅にいることを選ぶスポーツを想像してほしい。シーズンが始まっても監督が、一部の試合にしか参加しないスポーツを想像してほしい。また監督が主要な投資家であり、大黒柱であり、最終的にチーム・オーナーであるスポーツを想像してほしい。

F1のチーム代表の役割は複雑かつ変化に富んでいる。マクラーレン-メルセデスのチーム代表は、フォース・インディアのチーム代表と同じ仕事をしているわけではない。また、ふたりともフェラーリの責任者と同じ職務を果たしているわけでもない。

今年、バルセロナで開催された2回目のF1シーズン前テストでは、ザウバーチームは、チーム代表ペーター・ザウバーが欠席したまま4日間のプログラムを終えた。チームの若きメキシコ人ドライバー、セルジオ・ペレスは、上司の不在について質問されると、肩をすくめ、そのような関与は不可欠ではないと答えた。

ペーター・ザウバー(68歳)は、自身の名を冠したチームを1993年に設立し、まずメルセデス、次いでぺトロナス、そしてBMWとの契約を結んだ。2009年末にBMWがF1から撤退して以来、ザウバーの名前はもっぱらチーム設立者の個人資金のおかげでF1に残っている。したがって、スイス人であるザウバーはチームにとって重要であるが、パドックにおける彼の存在感はますます目立たなくなりつつある。

モニシャ・カルテンボーン

ザウバーのCEOモニシャ・カルテンボーンは「わたしたちのチームにおいて、ペーター・ザウバーは設立者です。チームは特に2010年以降、かなり厄介な期間を乗り越えてきました」と語った。

「だから、設立者である彼が安定性と継続性を表わしていることが、わたしたちにとって重要だったと思います。このことは過去2年間重要でした」

「この2年間で彼が少し身を引き始めたことに誰もが気づいています。彼はすべてのレースに参加することを楽しみにしているわけではありません。もちろん何かを変えたいかどうかは彼次第ですが、チームの状況を考えると、わたしたちにとって彼の存在は重要です」

1960年代後半、両親の家の地下室で最初のマシンをつくったザウバーが、モータースポーツと長期にわたる関係があることは否定できない。しかし、ケータハムのチーム代表であるトニー・フェルナンデスは、そうではない。

トニー・フェルナンデス

マレーシア人実業家であるフェルナンデスは、航空業界における輝かしい経歴があるが、モーター・レーシングとの関係は、2009年彼がBMWのF1撤退を受けロータス・レーシングを設立したときにさかのぼる。

昨年彼は「わたしは戦略的な人間であり、それだけだ。わたしには資質がないので、誰がどのようにドライブするかを決めたりしない。しかしブランド認知や、適切なチームのまとめや、チームの士気向上に付加価値をつけることができる」と語った。

フェルナンデスの投資ポートフォリオ(エア・アジア、チューン・ホテル、クイーンズ・パーク・レンジャーズなど)のため、彼がレースに参加することはますます珍しくなりつつある。彼の不在のため、ケータハムの元CCOリアド・アスマットがCEOのポストに就任し、さらなる責任を担っている。

チーム代表の仕事を委託されているアスマットが言うように、彼の上司は「あらゆるルールを破っている」が、それでも彼らの取り決めは「かなりうまく機能しているように見える」。ザウバーと同様フェルナンデスも「名目上の指導者」になりつつある。

ケータハムのドライバー、ヴィタリー・ペトロフは「僕らは全員、トニーが全レースに来ないからといって、彼が興味を失っているわけではないことを知っている」と語った。

「彼が忙しいことは全員知っている。だからレース週末に彼がよそに行かなければならないのなら、僕らはそれを理解する。でも彼はいつも情熱を持っていて、メッセージを送ってきたり、電話をしてきたりして、みんなを後押ししている。ちょっとやり過ぎのこともあるくらいだよ!」

昨年、ペトロフはルノーでフランス人エリック・ブイユの下で働いていた。そして、より正統的な方法にもメリットがあると認めている。

「レース週末にチーム代表がそこにいるというのは重要だ。なぜなら、何かがうまくいかないとき、彼に不満を言うことができるし、彼がこちらに来て良い悪いを教えてくれるからだ」

エリック・ブイユ、キミ・ライコネン、ジェラール・ロペス: エンストン
エリック・ブイユ、キミ・ライコネン、ジェラール・ロペス

ブイユはチーム代表であるが、ザウバーやフェルナンデス、フォース・インディアのヴィジェイ・マルヤのようなチーム・オーナーではない。チーム・オーナーはルクセンブルグ人実業家のジェラール・ロペスであり、彼はルノー(現ロータス)の組織は、あるべき姿だと感じている。

ロペスは「我々が知る限り、エリックはあるべきチーム代表としてチームを管理している。そして幸か不幸か、わたしには別の仕事があるので、F1に自分が望むほど多くの時間を割くことができない」と語った。

「彼は役割を果たし、チーム代表として行動している。我々はそう理解している」

チーム代表としてのブイユの役割とは、より伝統的な意味であり、作戦、マシンのセットアップ、デザインの変更、ドライバーの養成などの監督である。

マーティン・ホイットマーシュ、クリスチャン・ホーナー: 2011年F1韓国GP
マーティン・ホイットマーシュ、クリスチャン・ホーナー

F1で最も有名な2チーム、マクラーレンとフェラーリ、そしてコンストラクターズ・チャンピオンのレッドブル・レーシングも、ほぼこのような取り決めである。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「昔ながらの組織」と呼ぶ。

ホーナーは「最近ではF1チーム内には多くの部門があり、日常的にその責任を負う。株主に報告し、毎日チームを管理する」と語った。

「だから、一瞬たりとも静かな時などない。それがこの仕事の一部であり、役職の難問だ。毎日車で出勤するとき、その日は何が起きるのか予想もつかない」

ステファノ・ドメニカリ、ルカ・ディ・モンテツェモロ
ステファノ・ドメニカリ、ルカ・ディ・モンテツェモロ

フェラーリでは、ステファノ・ドメニカリがF1チームの代表であるが、彼は全チーム代表のなかで最も権力が弱いとされる。フェラーリの会長ルカ・ディ・モンテツェモロは、大きな決断の大半を下していることで有名である。ドメニカリは、技術面ではほとんど関与していないことを認めており、チーム契約やスポンサー契約を交渉するのはモンテツェモロであると見られている。

ドメニカリは「チームは、組織、スポンサーシップ、商業活動、運営などの面で、多くのことを進めなければならない。我々はより大きなグループの一員なので、本当の企業のようなものだ」と語った。

では、財布を別にすれば、チーム代表は不必要なのだろうか? おそらく一部チームでは不必要かもしれないが、一部チームでは必要不可欠である。

マクラーレンのチーム代表マーティン・ホイットマーシュは、その役目をかなり謙遜して説明する。彼は微笑みながら「我々のチームでは、チーム代表は全レースに参加するのを楽しめる」と語った。

「レースチームがチーム代表の全レース参加を喜ぶかどうか、わたしにはわからない… しかしわたしは、楽しいので参加しているよ」

チーム運営に関して、自身のポストの重要性をどう思うかと質問すると、彼の微笑みが大きくなる。

「我々は現場で仕事をしていると思いたいが、部下はほとんどの場合、我々に調子を合わせているだけなのかもしれないね」

2012年F1マレーシアGP
左上から ジェラール・ロペス、モニシャ・カルテンボーン、リアド・アスマット
左下から マーティン・ホイットマーシュ、ステファノ・ドメニカリ、クリスチャン・ホーナー
ジェラール・ロペス、モニシャ・カルテンボーン、リアド・アスマット、マーティン・ホイットマーシュ、ステファノ・ドメニカリ、クリスチャン・ホーナー、2012年F1マレーシアGP

-Source: The National
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