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2012年10月11日

カビ臭いサンドイッチとラブホテルとファンなし、再びF1韓国GP

Mouldy sandwiches, love hotels and no fans – here we are again for the Korean Grand Prix

レッドブルRB6(マーク・ウェバーのマシン)、2010年F1韓国GP

最初の仕事は冷蔵庫のチェックである。これが今週末に開催される世界最大のスポーツイベントのひとつの基準になるだろう。昨年は、トレイに載っていた反り返ったカビ臭いサンドイッチが、そのまま1年間放置されていたのだ。

F1のバーニー・エクレストン社長は、木浦(もっぽ)で韓国GPを開催する契約を結んだ時は精神的にまともだったかもしれないが、当時の彼は「アダムとイブのラブホテル」に泊まる必要も、カビ臭いサンドイッチを捨てる必要もなかった。

今日、列車や飛行機はゴーストタウンに向かうF1関係者でいっぱいになるだろう。木浦にようこそ。そしてF1の関係者はほぼ全員、木浦で歓迎される。

完璧に快適な都市に住み、忠実で勤勉な木浦の善良な市民を中傷しているわけではないが、ここはグランプリの開催地としてふさわしくない。

初の韓国GP開催から3年経って、F1はやっと用意周到になった。だからこそ、ソウルでのイベント活動などがないドライバーとチーム関係者は、ほとんど東京に滞在し、カレンダーの次の目的までに移動せざるを得なくなる瞬間を引き延ばしている。彼らは待ち構えているものを知っているのだ。

昨シーズン、サーキットのゲートは2010年の初の韓国GP開催以来、初めて開錠されたように見えた。

あるチームがホスピタリティ・ユニットのキッチンにある冷蔵庫をチェックしたところ、1年前の食べ残しのサンドイッチが入っていた。しおれた花束がまだ花瓶に残っており、あちこちにクモの巣と埃があった。

このサーキットは12ヶ月間ストップモーション状態にあった。グランプリを気に掛けることも望むこともしない都市の郊外にある、巨大かつ高価な愚行である。

しかし、それでも人々が宿泊する多くのラブホテルのひとつ、アダムとイブのモーテルのシーツは折り返される。「ウェルカム・パック」が歯ブラシとコンドームと潤滑クリームであり、部屋の最大の目玉がワイドスクリーンのテレビ、しかも盛りだくさんのアダルトビデオ付だったと言えば十分だろう。

F1の最悪のロケーション投票などないが、暴動で荒廃したバーレーンや、犯罪の多いブラジルを抑えて木浦は有力候補になるだろう。少なくともサンパウロでは食事はおいしく、ナイトライフは楽しく、ファンは世界のどこよりも熱心だ。木浦にも食べ物はあるし、ファンもどこかにいるに違いないし、ラブホテルもある。

ジェンソン・バトン(マクラーレン)、2011年F1韓国GP

韓国GPは、ミルトン・キーンズやミュンヘンで観戦されるスポーツ・イベントであるが、木浦には謎が残っている。

韓国はスポーツ・イベントの開催方法を知っている国である。1988年の夏季オリンピックを首都ソウルで開催して成功させ、2002年サッカー・ワールドカップも共同開催した。

ソウルは、1,000万人が暮らす活気にあふれたスリリングな都市であり、グランプリにとって素晴らしい会場になっただろう。だが、木浦はグランプリを押しつけられた人口24万5,000人のわびしい港町である。

F1のビジネスプランの不条理を示すのろしがあったとしたら、それは黄海に面した沼地にある霊岩サーキットから上がっているだろう。

木浦だけではない。しばしばF1の興行主と評されるエクレストンは、扱いに困る白い象でサーカスをいっぱいにしようとしているように見える。トルコGPが現れて消えた。中国は大きいが上海は無関心のように見える。バーレーンは内乱で分裂している。マレーシアは存続しているが、地元の観客はほとんど来ない。そして木浦。そう、木浦。

モータースポーツの頂点では、野心が常識を圧倒しているように見える。同様に、F1を管理する投資家グルーグは現金をかき集める願望があるようだ。

F1の投資対効果検討書は、グランプリのコストを負担する覚悟がある政府にますます依存しつつあるが、これはバーレーン、アブダビ、中国、マレーシアにとっては問題にはならない。

しかしオーストラリアには打撃を与えている。メルボルンの納税者は、政府が高額のレース開催料と、レース開催の構造原価を支払うことに愛想をつかしつつある。今年の赤字は3,500万ポンド(43億8,086万円*)になるだろう。

フランスは、2008年、コストのせいで中断されたグランプリの復活を目指して救済措置をとった。スペインはバレンシアを失い、ドイツのニュルブルクリンクは財政難に見舞われている。

エクレストンの任務は、F1を広範囲に拡大することである。あるいは、レース開催料だけで平均1,900万ポンド(23億7,818万円*)に達する料金の支払いを約束してくれる権力者あるいは投資家からカネをとることである。サーキットはトラック広告や企業接待の権利はなく、手元に入るのは入場料だけである。

その結果、チケット料金が値上がりし、観客数が低下する。ただし、シルバーストンのような筋金入りのサーキットの例外がある。シルバーストンは、悪天候にもかかわらず、7月のイギリスGPで12万人の観客が入った。

これほど観客が入っても、シルバーストンは今年のレースで約400万ポンド(5億67万円*)の赤字になる可能性が高い。

もうひとつの結果は、チーム関係者が観客数を超えるグランプリである。たとえば、バーレーン、アブダビ、マレーシアなど。そして木浦。

ソウルから約4時間の港町である木浦は簡単な標的である。我慢強い西洋人観光客でなければ、ここにはたどり着けないし、地元住民は、街を侵略しようとするスポーツについて、関心も知識もない。

サーキットは初年度のグランプリで4,000万ポンド(50億670万円*)、昨年は3,300万ポンド(41億3,053万円*)の損失をだし、今週末は1,700万ポンド(21億2,784万円*)を失うはずである。

少なくとも数字は正しい方向に向かっている。大手スポンサー2社が撤退し、組織委員会の最初の責任者は解雇され、訴訟に巻き込まれている。

今日、木浦のF1サーカスの準備を進める数百人のチームスタッフは気がめいることだろう。

韓国GPの数時間後、日曜夜の飛行機と列車のシートが満席と聞いても、意外ではない。

-Source: The Times

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*日本時間2012年10月11日02:49 の為替レート: 1ポンド=125.167644円





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