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2014年02月16日

マクラーレン、英国のボブスレーとスケルトン・チームに協力: ソチ冬季五輪

Formula One on ICE: How McLaren's bobsleigh and skeleton is helping Team GB go for gold at the Winter Olympics

エリザベス・ヤーノルド(英国)、スケルトン

ボブスレー、英国チーム

氷上のF1

マクラーレンとフェラーリのエンジニアは、自チームのドライバーにポール・ポジションを獲得させるために、F1レーストラックで戦うことに慣れている。

しかしレーシングのサラブレッドであるこの2チームは、冬季オリンピックのボブスレーとスケルトンでも競っている。彼らは、母国である英国とイタリアを代表する選手のために最先端の機材を製造したのだ。

マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ社は、そりの空力学的効率と構造的完全性を改善するため、F1界で利用されているのと同じ技術を適用しており、英国チームはオリンピックで競争的優位に立つだろう。

マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ社(サリー州ウォーイング)のパフォーマンス・ディレクターのキャロライン・ハーグローヴ博士は、"MailOnline" に、そりの製造は、革新的な新設計をするよりも、わずかな利益を得るよう設計・製造することが重要だと語った。

使用される材質とそりの部品を規定するルールが冬季オリンピック委員会によって厳しく管理されているので、わずかな改良でもトップ・シークレットなのだ。

ハーグローヴ博士は「基本的に、具体的な部品の形状や設計を根本的に変えるのではなく、そりの機能と順応性を高めるようにした」と述べた。

同社は、カナダの五輪から機材の設計に関わっており、大量のデータを収集するとともに、選手が簡単に使えるよう彼らのインプットを設計に取り入れた。

今年の英国チームには、FIBTスケルトン・ワールドカップで首位のエリザベス・ヤーノルド(25歳、愛称リジー)が加わっているので、そりの性能発揮に期待がかかっている。

F1と異なり、スケルトンのそりとボブスレーは、下り坂で加速するために重くする必要があるが、選手が操作できる程度には軽くする必要がある。最適パフォーマンスにつながるスイートスポットはあるが、これも厳しい規約に従わなくてはならない。

同社のスポークスマンは「フェラーリはイタリアのチームのためにボブスレーを製造した。おかげで、マクラーレンの技術者は英国チームのために装備を製造する動機が高まった」と述べた。

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完璧なそりを設計するため、マクラーレンの専門家はまず、強みと弱み(基本的にはどうすれば速くなるか)を理解するため、一連のセンサーをテスト用そりに取りつけ、大量のデータを収集した。

操縦が直接スピードに影響を与えるので、エンジニアは操縦性のデータを分析し、氷とそりの密着性を損なう望ましくない振動を調べた。

それから、ボブスレーとスケルトンの設計を選手に合わせ、パフォーマンスを強化するために微調整した。

そのプロセスには、材質から空力学まで、設計のあらゆる側面の評価が含まれており、シミュレータを使用して、速いタイムにつながる変更を特定した。

ハーグローヴ博士は「ボブスレーに関しては、選手がよりよりラインをとり、タイムが速くなるよう、速度とそりの操作性を最適化したかった」と説明した。

「そのためにコンピュータ・モデルを作成し、多くのデータを入力した。そして、F1でやっているのと同じように開発サイクルを回し、わずかな改善を見つけ、テスト用の部品を作った」

エンジニア・チームは、そりのドラッグを抑制し、主にカーボンファイバーとスチールでてきている空力学的ボディに磨きをかけるため、風洞と計算流体力学ツールを利用した。

マクラーレンの風洞

ボブスレー、解説図

ボブスレー、英国チーム

ボブスレー、英国チーム

エリザベス・ヤーノルド
エリザベス・ヤーノルド(英国)、スケルトン

エリザベス・ヤーノルド(英国)、スケルトン

マクラーレンはそりの部品を製造して組み立て、これまで古い機材を使っていたこの競技に、F1の技術と細部へのこだわりを持ち込んだ。

ハーグローヴ博士は「スケルトンで、完全に調節可能なアプローチを使っているのは我々だけだ。それまでは、男性も女性も同じサイズのそりしかなかったので、理想的ではなかった」と語った。

「英国のそりのあらゆる部品は、他国のそりとは違い調節可能だ。細部にこだわっている。製造品質も本当に重要だ」

英国チームの新しいそりは手作りであるが、マクラーレンは以前のそりを「かなりひどい」と評した。

ハーグローヴ博士は「チームは中古のそりを買っていたので、いろいろな人が改良を加えていた。よい改良もあり、まずい改良もあった。時間が経つうちに効果が低下していた。よいそりを作れば、それだけでかなりよくなっただろう」と述べた。

「設計はルールによってとても厳しく管理されているので、全チームが同じ部品を使っている。これは、F1でFIAがしているのと同じだ。FIAは、どこで効果を得るのかを厳しく指示している」

そりを速くする重要な方法は、コーナーの曲がり方を改善することである。コーナーでは1秒の何分の1かの差がつく。

マクラーレンは、そりの技術的改良を最大限にする方法を解明するため選手のトレーニングに協力した。

ハーグローヴ博士は「開発サイクルを始めたときは、重要な詳細を変更すると選手のフィードバックを聞くことに多くの時間を費やした。変更によってコントロールがわずかに変わっても、選手が順応方法を学習すればタイムが速くなる。シミュレータを使って選手にそれを見せることができる」と述べた。

英国ではよくあるように、選手がコースの近くにいない場合、バーチャルな環境でトレーニングできるよう、同社はシミュレーションを使用している。

データを収集するため、コースのビデオを使い、選手はそりのパフォーマンスのさまざまな変更段階に関わっている。

ハーグローヴ博士は、この種目は氷上のF1に少し似ていると述べた。「しかし結果はF1よりも選手に大きく依存する。オリンピックでは選手が中心なので、できるだけ選手の力になりたい」

博士は、英国チームはスケルトンでは「間違いなく」金メダルを獲得する能力があり、ボブスレーも「十分可能性がある」と考えている。

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ボブスレーの競技結果(現地時間)は、
男子2人乗り 2月17日、女子2人乗り 2月19日、男子4人乗り 2月23日
ボブスレー、ソチ五輪コースの解説図

-Source: MailOnline

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