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2018年11月09日

ウィリアムズFW15C 伝説的マシンの高度な技術を探る:F1技術解説

Exploring the technological wizardry behind Williams' legendary FW15C

アラン・プロスト(ウィリアムズFW15C)

25年前の1993年、アラン・プロストが4度目のワールドチャンピオンシップで優勝し、その年に引退した。彼がこの最後の成功を達成し、同じ年デイモン・ヒルがグランプリ初優勝を果たしたそのマシンは、技術的に卓越したウィリアムズFW15Cだった(エンジンはルノー)。

このマシンは、究極のエレクトロニクス支援マシンだったが、1994年にその大半の技術が禁止された。その技術とは、アクティブ車高調整、トラクション・コントロール、ABS(アンチロック・ブレーキシステム)、コーナー間で調整できるセットアップや、コックピット・ボタンのスイッチでストレートでのドラッグを低下させるためにリア・ディフューザーを失速させる能力などである。ドライバーはさらに、手動と自動のギアシフトを選ぶことができた。電子的「デバイス」に関しては、知識は1993年以来大きく進歩しているが、FW15Cは史上最も先進的なF1マシンだと見なすことができる。

ウィリアムズFW15Cは、1992年ナイジェル・マンセルをワールドチャンピオンにしたFW14Bの進化形だった。FW14Bは既存マシンにアクティブ車高調整を適用したものだったが、FW15はパトリック・ヘッドとエイドリアン・ニューウィの技術的指導の下、最初から新技術を搭載するよう設計されていた。アクティブ車高システムを機能させるために必要なソフトウェアの大半を書いて開発したのは、2017年3月からウィリアムズのチーフ・テクニカル・オフィサーを就任したパディ・ロウだった。

2017年03月17日
パディ・ロウのF1キャリア
ウィリアムズFW15CのABSシステムを示す図: 1.システムを活性化する4つのMoog製電磁弁 2.センサー 3.油圧コネクター 4.ブレーキ液シリンダー
ウィリアムズFW15CのABSシステムを示す図: 1.システムを活性化する4つのMoog製電磁弁 2.センサー 3.油圧コネクター 4.ブレーキ液シリンダー

各ホイールに取り付けられたアクチュエータを伸ばしたり縮めたりするために(測定されたマシンの荷重に反応してコンピュータによって決定された)油圧を使用することで、マシンのプラットフォームを常に空力学的に最も効率的な位置に維持することができる。したがって、このいわゆるアクティブ・サスペンションは、従来のマシンのピッチやロールの沈みを回避することが出来る。この能力は、通常のサスペンションのマシンに比べると1周当たり丸1秒の短縮に相当する。ウィリアムズは、APと提携してこの技術を十分に活用した最初のチームだった。

電子デジタルコントロールで、1983年以降F1で断続的に試されていたアクティブ車高調整のフル・ポテンシャルを実現することが可能になった。これと、Moog製のプロポーショナル・サーボ・コントロール・バルブとを組み合わせることで、このシステムはとうとう必要な応答忠実度と反応時間を得ることになった。



このマシンは、通常のスプリングのマシンよりも、かなり狭い車高と傾斜角を維持することができるので、ダウンフォースは幅広い体勢に対して一貫性を持つ必要がなくなり、空力学的な表面をかなり「尖らせる」ことができるようになった。そのため、特に、フロント・ウィングとディフューザーをかなり攻撃的に設計することができた。

1993年、F1マシンの輪距が(2.0mから)1.8mに短縮し、フロント・ウィングのエンドプレートの地面からの高さの下限を規定する規約変更が遅くに発表されたにもかかわらず、FW15Cの揚力と抗力(ドラッグ)の比率が14Bよりも12%改善した。これらの変更は、幅の狭くなったリア・タイヤと相まって、FW15Cを14Bよりも遅くすると見られていたが、実際はほぼすべてのトラックで顕著に速かった。

両マシンは排気吹付けディフューザーを搭載していたが、1993年マシンの攻撃的な設計と、ルノー・スポールのエンジン・マッピングの開発とともに、この特徴の効率を大きく増加させた。さらに、RS5エンジンのおかげで、ルノーは3.5リットルの67度V10に新しいコンロッドを取り付け、吸気口と燃焼室を改良して、1992年のエンジンに比べて30bhpが追加された(その結果780bhpになった)。このベルナール・デュドの傑作は、マクラーレンやベネトンのフォードV8やフェラーリV12よりも軽量で燃費がよく、これまでのところF1最高のエンジンであり続けている。

アラン・プロスト(ウィリアムズFW15C)

FW14Bからの改良点には、(小柄なドライバーではマシンから最大限を引き出すのが難しいほどのダウンフォース・レベルに達し始めていたので)パワーステアリングも含まれていた。1993年のウィリアムズのドライバーは、ナイジェル・マンセルからアラン・プロストに変わったので、これは重要な特徴だった。

また、ダウンフォースの増加によって向上したブレーキング・ポテンシャルをドライバーが活用するため、電動ブレーキング・アシストもあった。ドライバーは、ハンドルの背後にあるパドルを使って半自動でギアを変えることもできれば、適切な時にギアを自動で上下させるときは自動モードを使うこともできる。ドライバーがパドルに触るやいなや、手動モードに戻る。

FW14Bでは、ドライバーはつまみによってフロントの車高を調整して、マシンの迎角を選ぶこともできた。理想的な傾斜角度は、コーナーのスピードによって変動するので、ドライバーは両立することができた。しかしFW15Cでは、この特徴はソフトウェアによって自動化されたので、マシンは継続的にセットアップを変更し続けることができた。

ウィリアムズ2台、アラン・プロスト(2)とデイモン・ヒル(0):1993年F1サンマリノGPスタート
ウィリアムズ2台、アラン・プロスト(2)とデイモン・ヒル(0):1993年F1サンマリノGPスタート

もうひとつの巧妙な特徴は、マシンのリアを下げるボタンだった。リアを下げることでディフューザーを失速させ、マシンのドラッグを大きく低下させたのだ。この機能はソフトウェアによって組み込まれ、ボタンを押すとエンジンに300rpmが追加された。事実上の「オーバーテイク」ボタンだった。フランスGPからはアンチロック・ブレーキが導入された。

1994年、FIAはアクティブ車高調整、それに付随するほとんどの「自動」電子技術を禁止し、新しいF1時代が始まった。そのため、スピードを制限し、ドライバーに支配権を渡すという規約の妨害がなければ、F1がどこに向かうかを示す究極のショーケースとして存在しているのだ。

デイモン・ヒル(ウィリアムズFW15C)

-Source: The Official Formula 1 Website

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