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2019年10月11日

メルセデスW10の秘密を360度全方位から探る - 日本GP:F1技術解説

Explore the secrets of this year’s Mercedes in 360 degrees

メルセデスW10:2019年F1マシン

メルセデスは今週末の日本で、1999年から2004年にかけてフェラーリが達成した記録と並ぶ6年連続コンストラクターズ・チャンピオンシップ優勝を果たすことになるかもしれない。今年のシルバーアローをこれまで見たことのない角度からじっくり観察するには、今が最適だろう…

2014年から毎年優勝している現ワールドチャンピオンは、2019年は空力学的規約が変更されたにもかかわらず、長い歴史のあるロングホイール/低傾斜角コンセプトをW10に引き継いだ。

しかし重点は、高速でのフロント・ダウンフォースよりも、フロントとリアでバランスの取れたダウンフォース配分に移り、低速でのパフォーマンスに注力した。これによって、空力学的効率はやや低下したが、カレンダー中のフルスピード・サーキットへの適合性が向上した。

大幅な規約変更があると、最初のモデルの風洞での改善率は非常に急勾配になる傾向がある。そのため、メルセデスは、1月テストの最初の週で使うマシンのスペックを、11月末までに風洞に持ち込むことをに決めた。これによって、マシンの用意ができ、空力学的チームは、テストの2週目に搭載することができる、より洗練されたパッケージを開発する数週間の余裕ができた。

マシンは、外縁で奥行きをすべて使ったフロント・ウィングで、新規約の要求に応えた。これは、外側にあまり負荷をかけず、フロント・ホイール周囲のアウトウォッシュを増やしたライバルのフェラーリとは対照的だった。

マシンは定期的にアップデートされ、バルセロナとホッケンハイムで大幅に変更された。オーストリアGPで明らかになったように、当初のラジエーターのサイズは過酷な条件にはアンダースペックだったため、ホッケンハイムのアップデートでは強化された冷却パッケージが組み込まれた。

このパッケージで、メルセデスとルイス・ハミルトンはハンガリーGPで優勝した。3Dでディテールを見ることができるのは、このスペックのモデルである。

メルセデスW10

1. ノーズ
メルセデスは、発表会から第1戦までの間にW10のノーズを進化させ、ノーズ下の大きな「ケープ」状ガイドベーンが出会う、先端のすぐ上に先細りになったセクションを導入した。これは、ベーンに向かう空気を増やし、より大きなダウンフォースを生成するために重要な要素であるアンダーフロアに向かう気流を加速する。

2. フロント・ウィング
2019年のフロント・ウィングは、先行マシンに接近して走行できるよう、広く、高く、シンプルになった。これによって、設計アイデアがふたつに分かれた。ひとつは、メルセデスに代表されるように、ウィングから直接生成されるダウンフォースを最大限にするために、外側端のエレメントの奥行きをフル活用するというもの。もうひとつのアプローチは、フェラーリのように、タイヤ周囲の気流アウトウォッシュを強化するために、外側端の奥行きを減らすというもの。

メルセデスW10

3. サイドポッド
正面から見たサイドポッド前面の伝統的なアンダーカットはかなり穏やかである。その代わり、サイドポッドが最初はかなり急激に下向きのカーブを描くようラジエーターが並べられており、その後方にアンダーカットがある。これらの曲線が合流することで、気圧を操作してマシン側面に沿った気流が加速される。リア・ホイールとディフューザーの間から出てくる気流の速度が上がれば、ディフューザーを追加する気流速度に影響を与えるので、アンダーボディのダウンフォースが増加する。サイドポッドはその後、ラジエーターの吸気口がやや大きくなるよう少し形状が変更された。上から見るとやや外向きの角度になっており、冷却能力を増加するためにより多くの空気を捕捉するようになった。

メルセデスW10

4. バージボード
2019年はバージボードの寸法と位置が厳格化され、力が弱まり、空力学的破壊力が弱まったが、各チームのエアロダイナミシストのビジョンを体現している。メルセデスは特に複雑な配置にしており、いつものようにフロント・ウィングと連携して機能する。ガイドベーン上部にあるブーメラン・スタイルの渦流生成器は、定期的に微調整や変更が行われている。局所的な揚力を生成するために、これらは、ボディ側面に沿って導かれる下方の気流を妨害しないよう、フロント・サスペンションの上部から来る気流を鋭く外側に曲げることで、気圧を操作する。

メルセデスW10

5. 傾斜角/ホイールベース
マシンは、過去2年間タイトル優勝したマシンと同じ非常に長いホイールベースを維持している。フェラーリもホイールベースを延長したが、それでもフェラーリよりもかなり長く、見た目にも低い傾斜角(地面に対するマシンの角度)を採用している。その低い角度を補うために最大限のフロア面積を利用しているが、低ドラッグと低重心のメリットも維持している。

6. エンジンカバー/パワーユニット
シャークフィンのついた銀色のエンジンカバーの下には、メルセデス製パワーユニット M10 EQ Power+ がある。シルバーアローはシーズン前に、空力学的・効率的メリットおよび内燃効率向上のためにパワーユニットの冷却構造を変更した。彼らは行き過ぎたのだろうか? 確かに彼らは特定のレースで冷却問題に苦しみ、変更をせざるを得なかった。今やフェラーリのパワーユニットが出力の点ではナンバー1だと言えるかもしれないが、メルセデスの方が信頼性が高いことが証明されている。

メルセデスW10

7. フロント・サスペンション
メルセデスのフロント・サスペンションは、風変わりなダブルブラケット・ソリューションが特徴である。この構造によって、ステアリング・ロックが多用されるときにマシンのノーズはサスペンションに対して低下することになる。これによって、タイヤの負荷増大を素早くするフロント配分が変化するだけでなく、フロント・ウィングとノーズ下側によるグラウンド・エフェクトが増加する。

メルセデスW10

8. リア・サスペンション
メルセデスW10の設計理念の中核部分は、特に低速でのリアのダウンフォース増加だった。ただしこれはドラッグ増加も意味する。長いホイールベースにもかかわらず、これまでの弱みを修正して、W10が低速コーナーで最も速いマシンである主な理由がこれである。ダウンフォース増加をもたらしたボディワーク変更を助けるために、リア・サスペンションの構造が大きく変更された。重要な違いは、下部ウィッシュボーンを形成する前方支柱と後方支柱が、ふたつのポイントでホイール・アップライトと接続するよう、分離されたことである。(ホイールのトラッキングを制御するために使用される)トラックロッドは後方支柱と結合しているが、トラックロッド/後方支柱は、前方支柱の単一ユニットから分離されている。

メルセデスW10

9. ディフューザー
ディフューザーの緩やかな上向きカーブにより、生じた真空部分を埋めるために空気が急激に入ってくるので、アンダーフロア全体を通過する空気を加速するように圧力が変化する。メルセデスは傾斜角が低いマシンなので、ディフューザーの仕事は多くなり、ディフューザー出口とディフューザー周囲のエクステリアとの間の圧力変化を最大限にするための重要な部分となる。そのため、サイドポッド形状が複雑に加工され、バージボードの開発が行われる。これらはすべて基本的にディフューザーの機能、特に気流の失速を防ぐことが重要となる低速での機能を強化するものである。W10はライバルマシンに比べ、低速コーナーでのパフォーマンスに優れており、ドライバーはリアが地面に固定されているようだと述べている。

メルセデスW10

10. フロア
低傾斜角コンセプトのため、W10のフロアは(レッドブルのような)高傾斜角のマシンに比べ、そのままでは大きな仕事をしないので、メルセデスの空力学チームは、フロアに流れる気流を(ノーズがケープ状のベーンに空気を供給して)活性化させ、サイドポッドとそれに伴うバージボードを変更することで、フロアから空気を取り出すようにしなくてはならなかった。フロアが生成するダウンフォースが大きくなればなるほど、フロアを密封し、マシンをトラックに押し付ける陰圧を維持するために必要なフロア外縁の渦流の力が大きくなる。密封スカートとして機能するアンダーフロアの渦流は、リア・タイヤ前のスロットによって生成する。

メルセデスW10

11. リア・ウィング
2019年のリア・ウィングは、高く、広く、シンプルになり、DRSの開口部が大きく(それゆえ強力に)なった。リア・ウィングで抵抗が最も大きい部分は外側の先端で、その隅から大きな抵抗を生じる渦流が発生する。マシンの場所によっては、渦流はエアロダイナミシストの味方であり、気流を加速するために意図的に導入される。しかし、リア・ウィングの先端など他の場所では、ダウンフォースを追加することなくドラッグが増えるので、敵となる。W10のリア・ウィング・エンドプレートは、階段状の6つの小さい渦流生成器が特徴で、ウィングの先端に向かって上向きにカーブを描いている。おそらく、これらの小さい渦流は、ウィングの隅から生じてドラッグを生成する、より大きな渦流を破壊する効果があるのだろう。

メルセデスW10 技術解説

-Source: The Official Formula 1 Website


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