マックス・フェルスタッペン今季初優勝、メルセデスは今回もタイヤ・トラブル:F1 70周年記念GP ブランドルのコラム
F1 column - Martin Brundle: 2020 70th Anniversary Grand Prix

70周年記念GPでのタイヤと緊張感
スカイF1の専門家が、日曜日のグランプリに矛盾を感じた理由、マックス・フェルスタッペンとレッドブルの優勝への称賛、F1のトラック外での激しい「コピー」論争の解釈について語る。
グランプリ会場を後にするたび、今回も何とか無事にレースがひとつ終わった、と心の中でチェックをつけている。シルバーストンでの70周年記念レースは、今季は欧州と中東だけで開催予定とされる15〜16戦のシーズン第5戦目だった。
個人的には、日曜日のレースには矛盾を感じている。
シルバーストンのひどく長い高速ターンで軟らかいピレリのコンパウンドがもたらした危機と不確実性を見ることができてよかったが、同時に、数周以内つまり40マイル(64km)以内にタイヤにブリスターが発生し、レースの決定的要因になったことは、控えめに言っても満足できない。
1991年バルセロナでのセナ対マンセルのサイド・バイ・サイドとは全く違っていたし、1979年ディジョンでのヴィルヌーヴ対アルヌーとは似ても似つかなかった。今回、ドライバーはタイヤをダメにするのを恐れて、限界までマシンを攻めることができなかったからだ。
しかし、ライバルよりも問題をうまく乗り越えるのは、ドライバーとチームにとってチャレンジングだが、マックス・フェルスタッペンとレッドブルはまさにそうした。
基本的に、レースに使える3種類のタイヤ・コンパウンドのうち、長距離をレースできるものはひとつしかなかった。これは、意図的にアクションを盛り上げ、同じ会場で7日後に開催されるドライ・レースが、「コピペ」になるのを防ぐためだった。
Q2で(遅いが耐久性のある)ハード・コンパウンドを装着し、メルセデスとは違うことをしようとして、スタート用のタイヤを決めたことは、レッドブルにとってギャンブルだった。9番タイムのフェルスタッペンは(11番とは)0.25秒未満の差で、トップ10を決めるQ3に進出することができた。
舞台は整った。レースが始まって間もなく、フェルスタッペンはメルセデスを視野に捉え、彼らのタイヤが傷むのを目にした。そして彼はメルセデスにプレッシャーをかけたかったが、これがレースの結果にとって極めて重要だった。
2020年08月09日
F1 70周年記念GP決勝
12周目
フェルスタッペン、ハミルトンの1秒以内に入ってかなり経つ。
フェルスタッペン、タイヤの温度が高すぎるのでメルセデスにあまり近づくなと言われて、
「メルセデスに追いつく唯一のチャンスだ」
「おばあちゃんみたいに座っていられないよ!」
ハミルトン「タイヤが終わった」
13周目
2位ハミルトン、3位フェルスタッペン
14周目
1位ボタス、ピットイン、ハードに交換、6位でコースに
15周目
ハミルトン、ピットイン、ハードに交換、6位でコースに
フェルスタッペン、トップに
23周目
メルセデスの2台のタイヤ、ブリスターができている。
1位フェルスタッペン、2位ボタス、3位ハミルトン
27周目
フェルスタッペン、ピットイン、ミディアムに交換
2位でコースに
フェルスタッペン、ボタスを抜いてトップに
33周目
フェルスタッペンとボタス、同時に2回目のピットイン、どちらもハードに。2位、3位でコースに
トップのハミルトン「タイヤがおかしい」、確かにブリスターが見える
メルセデス「ブリスター以外問題ないので、(タイヤを)持たせるだけ走らせよう」
36周目
ハミルトン「タイヤは大丈夫?」
メルセデス「ブリスター以外は問題ない」
メルセデスのタイヤ・トラブル、マックス・フェルスタッペン
メルセデスは明らかに、より攻撃的なサスペンション・ジオメトリを採用しており、レッドブルよりも大きなダウンフォースがある。なぜなら、最初にフロント・タイヤ、そして四輪すべてにブリスターが発生したからだ。彼らのデュアル・アクシス・ステアリング(DAS)システムの利用が、シルバーストンの最初のレースでのタイヤ・ブロー、そして2回目のレースでのブリスターに関連しているかどうか、我々にはわからない。
だが、ヴァルテリ・ボタスにとっては腹立たしかったことだろう。フェルスタッペンをカバーするために32周目にピットインしたが、そのおかげでチームは彼のタイヤを調べ、ルイス・ハミルトンに10周長く走らせることができ、ハミルトンはボタスを抜いて2位になった。パルク・フェルメでインタビューしたときの彼は不機嫌だった。
ハミルトンとボタスがいかに優しく走ろうとも、彼らはタイヤを傷つけてしまった。レッドブルはあらゆる方法でフェルスタッペンにメルセデスのカバーをさせ、フェルスタッペンは30ポイント差でチャンピオンシップ2位に浮上した。これは、レース前のハミルトンとボタスの点差と同じである。

フェルスタッペンは、開幕戦での機械的故障がなければ、そして1週間前のシルバーストンで、終盤のピットストップで最速ラップタイムを狙わないで優勝していれば、チャンピオンシップの1位あるいはそれに近いところにいただろうと考えざるを得ない。
暑い8月のレースでバルセロナに向かうので、これは興味をそそる考えだ。でも、もちろん多くの「たられば」が含まれている。
2020年08月10日
F1ランキング
マーティン・ブランドルのF1コラム
F1 70周年記念GP
part 1 | part 2 | part 3
2日間アクセスランキング |
10日間アクセスランキング |
30日間アクセスランキング |