7日目は民主主義はもういらない、あなたのための全体主義、国民クイズの時間です

国民クイズ (上巻) (Ohta comics)
国民クイズ (上巻) (Ohta comics)

国民クイズ (下巻) (Ohta comics)
国民クイズ (下巻) (Ohta comics)

今ではないどこかの日本。全体主義国家となったこの国は、国家が運営する超難関クイズ番組で優勝した人間のみ望んだ願いが叶えられる"国民クイズ体制"によって運営される国家となっていた。

毎日放映され4時間の合法的な革命と呼ばれる化物番組の総合司会を務めるのが主人公K井K一。出場者たちの絢爛豪華魑魅魍魎な欲望を一手に引き受けさばく姿は国民クイズの象徴のよう。

しかしその華やかな姿とは裏腹に、その日の番組が終わった瞬間に番号で呼ばれ、手錠によって拘束され、薄汚い牢獄に戻される。国民クイズに参加し、最後まで勝ち残れなかった人間は、財産を没収され半社会的な欲望を抱いた罰として財産没収の上長く苦しい強制労働に課せられる。囚人番号KK27331号、別名K井K一は過去国民クイズに参加しそして敗れ去った人間だった。

国民が抱える欲望は果てしない。温泉街の町興しのためにエッフェル塔が欲しいだの、 自分の作ったワインを流通させるためにワインの輸入を全面禁止にして欲しいだの、自殺した自分の夫を追い込んだ借金取りを殺して欲しいだの、優勝した国民の欲望は、善悪の区別なく他国の主権すらも無視して、強力な経済力と軍事力をバックにすべて必ず実行される。 そしてそれらはすべてエンターテイメントとしてテレビを通じて国民に提供され、満たされぬ国民はより大きな欲望を抱いていく。

そんな世界の中で、現体制を維持し世界に国民クイズ体制を広げようと目論むもの、
現体制を打倒し民主主義国家を再興させようと目論むもの、日本自体を破壊し狂った世界を戻そうと目論むもの。妄想、欲望、願望が入り乱れて沸騰し、臨界点を迎えた時…

ハイテンションのシナリオを、加藤伸吉の極彩色が飾る、ものすごい圧力のマンガ。 思わず吹き出してしまうほど極端にカリカチュアされた描写が、欲望と熱狂の世界にすごくあっていて読み終わった時に謎の充実感がある。
 
加藤伸吉は他にもいくつか描いていてどれも全然違っているのにものすごく加藤伸吉の味があって良い。

バカとゴッホ(1) (モーニングKC)
バカとゴッホ(1) (モーニングKC)
 
惑星スタコラ(1)
惑星スタコラ(1)

どれも5巻以内なのでおすすめ。 バカとゴッホは何回読んでも泣けるなぁ