パーマネント野ばら (新潮文庫)
9日目。
最近とみにテレビで見かける西原理恵子。そエッセイマンガの多くはその破天荒なキャラクターのとおりぶっ飛んだ内容のものが多いのだけど、その一方で抒情的でちょっと寂しくなるような不思議な感触のマンガも描いていて、今回紹介するのもそのひとつ。
うらびれた地方の漁村にある中年女性向けのヘアサロンのパーマネント野ばら。主人公「なおこ」は離婚して子どもを抱えたまま実家である野ばらに帰ってくる。おしゃれとは程遠いヘアーサロンではおばさんたちがあけっぴろげな恋の話、セックスの話でゲラゲラと笑っている。男どもにはろくな人間がいない。ヒモかアル中か暴力をふるうか。そんな世界の中でとにかく笑っている人たち。
なおこはそんな地で「恋人」のカシマと密会をしながら、一方で絶えず優しい微笑みを崩さないカシマに、どこか手の届かない存在のような不安感を感じながら日々を過ごす。
まともじゃないのは自分なのか世界なのか、確と信じていたものがなくなった時に自分に残されているものはなんなのか。
そんなことを考えた。
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