スキマスキ (IKKI COMICS)
スキマスキ (IKKI COMICS)


巨大なビルとビルの間の人も通れないような路地や、少しだけ開いたドアの隙間とか、そんなスキマのを見るとのぞかずにはいられない変な男。スキマを見ると自分だけが知る空間を見つけたような高揚感や、みてはいけないものを見ているようなちょっとした罪悪感を感じながら目を離すことができなくなる。
そんな男の部屋から見える向かいの家の部屋にすみ、少しだけカーテンが開いてスキマから一瞬だけ見え隠れする女性が気になって仕方がないが、それ以上進展することもなく、それどころかいつも隙間の間からみているだけで、きちんと顔すら見たことがない。
そんなある日、大学で彼女のことを見かけてー
というようなお話。

設定だけだとおまわりさんこちらですという感じだけど、この隙間が気になって目が離せないという主人公の感覚はすごいわかる。

小学校のころ、家の周りの塀にのぼっていろんな家の裏を探検したときの、知らない家の塀の裏がらとか窓の向こうとか、みちゃいけないことはわかっているからもちろん直視はしないけど、できるだけ視界のはしに入れてすこしでも向こう側にある自分の知らない世界のことを覗こうとしていたことを思い出す。

なんかこう書くとただエロいこと探してたアホの子みたいだけど、エロの有無関係なく、そこにいるのがタンクトップ一丁のハゲたおっさんだろうと同じように気になっていたので、多分自分の知らない誰かが生きてそこに生活しているということが不思議で仕方なかったんだとおもう。

そしていい齢したいまだって、塀とか壁とかカーテンとか、なんでもいいけど敷居によって分けられた自分の知らないあっち側が気になるってのはあんまり変わっていない。

IKKIで連載していたものの、打ち切りなのか本人の希望かはわからないけど、話も半ばというところで突然終わってしまったのがとてももったいなくて、もっと読んでいたかった。

そんなわけで完成度は消して高いというわけではないけど、自分にとっては思い入れがあって、このマンガをきっかけに宇仁田ゆみというマンガ家のファンになった作品だったので紹介した。