I KILL GIANTS (IKKI COMIX)
I KILL GIANTS (IKKI COMIX)

20日目はこの前出たばかりだけど面白かったので紹介。

日本ではなくアメリカのマンガの翻訳したもの。でも画の人は日本人なのかな。http://niimurablog.blogspot.jp/ ブログをみると日本語のマンガも描いているみたいだけど、このマンガは向こうで出たものの翻訳版。

どこにでもある小さな町で、いつも本を読み世界に不幸と厄災をばらまく「巨人」を殺すと公言するちょっとイタイ少女バーバラが主人公。授業中だろうが先生を無視して本を読み続け、巨神殺しの伝説の戦鎚コペルスキーを肌見放さずもっている小さなポシェットに封印しているとい放つ彼女はすっかり鼻つまみ者。まあ現実の世界なので巨人なんかいないのだけど、しかし彼女から見る世界は普通とは違っていて、彼女にはこの世界の上にかさなる、ホタルのような小さな妖精や、夜の空を飛び回る竜や、さまざまな生き物が住む別の世界が見えている。

彼女は自分の家の二階に上がることができない。そこに良くないものがあると感じ、恐怖している。そしてそんな家に一人ではなく自分のことを世話してくれる年の離れた姉がいることに安心している。しかし一方で別の世界が見えている彼女にとってクラスメイトも、自分の弟も、姉のことだって自分とは違うと感じ、一人孤独を感じている。

そんな彼女だが、転向してきた少女ソフィアや、スクールカウンセラーのモル先生といった手を差し伸べてくれるような人もいる。そんな人達に対してすこしづつ心をひらいていくが、それでもなおバーバラの巨人を殺すという意思は変わらない。彼女の語る巨人とは何なのか。なぜ空想の巨人殺しにこだわるのか。

そんな彼女の空想の世界や、自分の家の二階に潜む恐怖、空想だったはずの巨人に立ち向かうバーバラの姿を、ダイナミックに繊細に見せてくれる。

海外のマンガを翻訳したものなので、セリフが横書きなので閉じが左綴じで日本の一般的なマンガとは逆で、当然コマとコマ内の進行も右上から左下ではなく、左上から右下と逆になっているので、そういうルールを意識しないと一瞬どこを読んでいいのかわからなくなることもあるかも。絵自体はさっぱりとして見づらいものではないので読んでいればすぐ気にならなくなる。

最後にふっと悲しいような明るいような読後感が気持ちよかった。

1巻完結