
青い車 (CUE COMICS)
今まで読んで一番面白かったマンガ、自分のオールタイム・ベストとして上げるときにいつも選んでいる一冊。あくまで「自分にとって」のインパクトの話なので全員がそうだとは思わないけど、中学の終わりか高校の頃だったかにこれを読んで、ぶん殴られたような衝撃を受けて、こんなマンガをもっとたくさん読みたい、いろんなマンガを読もうと思った決定的な一冊だった。
今まで自分が読んできてたどんなマンガとも違った、静かなどこにでもある風景があって、こういうマンガが存在していいのか、ということを強く感じたのを憶えている。現実とは明らかに断絶した世界にあったはずのものが、突如自分の地続き、すぐそばに存在しているように感じられるようになった瞬間だった。
表題の「青い車」は、生まれついての障害によって人生に対してどこか一拍おいたようなシニカルに見える態度をとる青年リチオと、交通事故でなくなったリチオの彼女の妹が、彼女の思い出とともになくなった彼女に花を手向けにゆく話。
よしもとよしともは遅筆で有名で、実際一つ一つのコマ、その中のキャラクターの視線にすら推敲に推敲を重ねて作っていると聞いたことがある。そんな風にして生み出された作品だからこそ、何度読んでも色褪せない、高い強度のマンガになっているんだろう。
この先もきっと何度も読み返すことになると思う、そんなマンガ。
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