買収ファンド、投資資金4兆円超す
 企業買収ファンドが日本企業向け投資として予定している資金額が4兆785億円に達することが、明らかになった。産業再編を見込んで欧米大型ファンドが相次ぎ参入したうえ、カネ余りで資金流入が増加していることも買収資金を膨張させている。買収ファンドの日本での累積投資額(借り入れを含む)1兆9595億円の倍以上の待機資金があるわけで、2007年も活発なM&A(合併・買収)が続きそうだ。
 投資予定額の増加は、日本経済新聞社の「買収ファンド調査」(回答43社)で判明した。2年前調査の3.4倍に増えた。低金利のなか高い運用利回りを見込んで年金資金や大学基金など世界の機関投資家が資金を拠出。金融機関も高利率の買収ファンド向け融資に積極的になっている。 (07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C0200A%2002012007&g=MH&d=20070103

___


昨年は、M&Aの件数が2764件と過去最高で、M&Aが企業の日常的な戦略として定着した。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50487317.html

今年はどうなるだろうか。

年末年始の各種経済紙によると、概して以下のとおりの予想がなされている。

___

まず、「通常の買収」については、引き続き増加する(1-2年のうちには、3000件、5年後には5000件の大台に乗る)。

また、「敵対的買収」については、昨年行われた王子製紙による北越製紙に対する敵対的買収は評価に値するものの、今後それほど増えるとは思われない。

もっとも、上記報道のとおり、「ファンド」の活動が活発化する。

したがって、スティールが明星に仕掛けたように、「ホワイトナイト期待型の敵対的買収」が増加する。

また、80年代の米国のように、「LBO」や「MBO」は大幅に増加する。

ただし、「ファンド」の淘汰は進む。

さらに、今年5月に施行される「三角合併」、それに伴う「外国企業による日本企業の買収(アウトーイン)」については、前提として外国企業は日本の株式市場に上場していなければ認知されず、買収後の継続開示も負担になることから、それほど活用されない。

また、「日本企業による外国企業の買収(インーアウト)」については、既に昨年の5月から活用可能だが、日本企業は敵対的買収に対する恐怖感が強く、外国株主が増えることを警戒していることから、それほど活用されない。

___


特に目新しい指摘はないが、いずれにしても競争力を高めるという「目的」を達成するため、M&Aが有力な「手段」であることは、否定できない。

「いいM&A」が増加することを期待したい。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50396617.html

これについて、3日の日経新聞の社説にコメントがあったので、紹介する。

___

社説 開放なくして成長なし(2) 外資アレルギー克服し、経営改革を(1/3)
 日本にとって新たな成長の呼び水として期待されるのが、日本企業との合併などを含む海外からの直接投資の拡大だ。直接投資は資金だけでなく、優れた人材や技術、経営手法をもたらす効果がある。外資アレルギーを克服して世界の投資を受け入れれば、日本経済を一段と強じんにできる。「M&A(企業の合併・買収)開国」は持続的成長のために欠かせない条件である。

相乗効果生むM&A 
 これまで日本に流入する海外マネーは株式などへの短期投資ばかりが目立ち、M&Aや事業拠点の新設といった長期的な視点からの直接投資は少なかった。しかし過去に成功例がないわけではない。
 例えば独自動車部品大手のボッシュが1999年に50%強の株式を取得したゼクセル(当時、現ボッシュ)。ドイツから来た社長のもとで聖域なきリストラを進めつつ、親会社の販売網を活用して、独ダイムラークライスラーなど欧州車メーカーへの部品納入にこぎつけた。
 同社の取引先は国内メーカーにほぼ限られていたが、顧客基盤の多様化で新たな成長の道が開けた。「ボッシュ・グループに入り、細々と進めてきたグローバル化が一気に加速した」と齊藤俊雄専務はいう。優れた技術や製品を持ちながら、体力不足で世界に出ていけない企業にとって、外資との連携は成長への有力な足がかりになる。
 昨年末に半導体の大型投資を決めたエルピーダメモリも外資効果の受益者だ。2003年に米インテルがエルピーダへの出資を決め、それが呼び水となって他の投資家も巻き込んだ大型増資に成功した。「資金調達が命」の半導体事業。インテルの出資表明が信用補完となり、エルピーダは復活へ一歩を踏み出した。
 外からのM&Aは「強引なリストラで利益をひねり出すだけ」という見方も多いが、実態は違う。一橋大学の深尾京司教授の調査によると、国内企業同士のM&Aより外資による日本企業の出資・買収のほうが、その後の生産性向上が大きいという。「外資と日本企業が異質な強みを持ち寄り、より大きな相乗効果が生まれる」(同教授)からだ。個別企業の生産性が上がれば、マクロ経済にも好影響が及ぶ。
 M&Aで日本に進出した外資が次の段階で事業拡大投資に踏み切るケースもある。「更地に工場を新設するグリーンフィールド(緑地)投資に比べ、既存企業とのM&Aは雇用増や設備投資につながらない」という一部経済界の批判は一面的である。M&Aを起点にした投資の連鎖は十分に期待できる。
 昨年は投資ファンドが何かと話題になった。インサイダー取引などの不正は許されないが、「ファンドはすべて悪者」という見方もバランスを欠く。米系ファンドのスティール・パートナーズが仕掛けた明星食品への公開買い付けは、日清食品が白馬の騎士として登場し、日清と明星の経営統合につながった。ファンドが成熟産業の再編を促す構図は、村上ファンドの介在で実現した関西の私鉄統合も同じである。
 昨年はやった経営陣による企業買収(MBO)も資金の出し手としてファンドの役割が大きかった。MBOは会社を一度、非上場化し、リストラを加速する効果がある。米国では巨大ファンドの組成が相次ぎ、日本も投資対象とみられるが、怖がるばかりが能ではない。経営者は「ファンドを利用して改革を進める」ぐらいのしたたかさが必要だろう。

フリードマンの逆説 
 M&A開国をめざす上で、今年5月に解禁される三角合併の意義は大きい。だが、税制面で使い勝手の悪さが残りそうなのは極めて残念だ。「日本は閉鎖的」というイメージが増幅すれば大きな損失である。
 昨年死去した自由主義経済の泰斗、M・フリードマン氏は「明治の日本が成功したのは関税自主権がなかったから」という逆説を唱えた。高関税による保護主義がとれなかったがゆえに、比較優位の高い繊維産業などへの資本集積が進み、経済の近代化が加速したという見方だ。
 戦後の資本自由化でも多くの企業が危機感をバネに飛躍した。豊田英二・トヨタ自動車工業社長(当時)は70年の年頭の辞で「総力を結集して自由化に対処し、国際競争で勝利を収める覚悟」と述べている。陰に陽に保護され続けた農業や金融業が、国際競争力を持ち得なかったのとは対照的である。
 人口減少に抗して日本の潜在成長力を引き上げるためにM&A開国は欠かせない要素だ。外資の優れた経営資源を導入したり、外との競争を通じて自らを鍛え上げる作業が今ほど必要なときはない。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070102MS3M0200102012007.html

___


一読後はワンクリック!人気Blogランキング