日興、みずほに出資拡大を要請へ
 証券大手の日興コーディアルグループは、みずほフィナンシャルグループ(FG)に出資比率の引き上げを要請する方向で検討に入った。現在、みずほコーポレート銀行は日興株の4.8%を保有しているが、みずほが要請に応じれば日興の筆頭株主となる。日興は不正会計問題で顧客離れが続いており、出資拡大を受け入れることで経営基盤を安定させるのが狙い。
 みずほコーポは、9月末時点で4.9%を保有する米シティグループに次ぐ2位株主。関係者によると、日興はみずほコーポに対し、数%程度の追加出資の要請を検討しているもよう。みずほは日興株の上場維持と、今回の不正会計に会社組織の関与がなかったことを証明することを条件に、要請受け入れを前向きに検討するとみられる。

[1月6日/日本経済新聞 朝刊]

http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hot.cfm?id=d2c0504705&date=20070105

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「やはり」という報道が入ってきた。

メガバンクによる日興への追加出資。

この件、たしかに日興の不正会計は責められるべき点は多いだろう。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50455323.html

しかし、金融庁の態度を疑問視する声も多い。

まず、証取委の金融庁への勧告の時期。

疑惑自体は、昨年初めよりあり、論点もそれほど難しくないにもかかわらず、勧告は昨年末。

なぜ?

週刊ダイヤモンド新春合併号によると、破綻した足利銀行の再生が関係しているという。

現在、足利銀行のスポンサーには、三大証券連合が名乗りを上げている。

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足利銀受け皿、3陣営競う
 一時国有化中の足利銀行の株式売却先の公募が2日、始まった。足利銀の受け皿となるには3000億―4000億円必要とされるため、複数の企業やファンドが集まって参加する見通し。すでに関東の地銀連合・日興シティグループ証券、栃木銀行・大和証券グループ、野村証券・三井物産の3陣営が意欲を示す。選考条件に合わせるため、受け皿決定まで各陣営の組み替えが起こる可能性もある。

 関東周辺の地銀連合には横浜、千葉、群馬、常陽、東邦、静岡、山梨中央、八十二の8行が参加を検討している。共同で持ち株会社を設立する見通し。1行当たりの出資額は100億円前後とみられる。 (07:01)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061103AT2C0202I02112006.html
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もっとも、金融庁は、餅は餅屋ということで、日興・地銀連合にしたい意向がある。

しかし、おかしな時期に日興を追い詰めると、同連合が解体してしまい、処理が思い通り進まない。

そこで、入札があった翌日の昨年12月16日に勧告したようだ。

次に、日興に対する処分の程度。

過去最大の課徴金(5億円)。

監理ポスト入り(あの粉飾王国「カネボウ」と同じ状態)。

不正の程度の割には処分が妙に厳しいとの評価がもっぱらだ。

そして、金融担当大臣の妙な発言。

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日興首脳の進退に発展も・不正会計
 山本有二金融担当相は22日の閣議後の記者会見で、日興コーディアルグループの不正会計問題について「健全な証券取引でないことは間違いない」との考え方を改めて強調した。そのうえで経営陣や責任者について「辞任や解任がありうる」と指摘。原因解明を進めたうえで、責任の明確化を投資家や当局に示すべきだとの考えをにじませた。
 この問題をめぐって日興は18日、2005年3月期決算で不正な会計処理をしたことを認め、1月15日までに財務諸表を自主的に訂正することを発表。同時に担当役員の辞任、金子昌資会長(67)、有村純一社長(57)らの報酬削減といった処分も打ち出し、事態の収拾を図ろうとした。ただ、証券取引等監視委員会と問題について見解の食い違いが表面化。説明責任を問う声が高まっており、不正会計問題は経営トップの進退に発展する可能性が出てきた。(12:39)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061222AT2C2200422122006.html
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一国の大臣が一民間企業の社長に辞任や解任を促すなど、通常は考えられない。

それも悪意に満ち溢れた粉飾でもないにもかかわらず・・・。

以上の点を鑑みると、「そもそも金融庁はメガバンクと日興を統合させたいのでは?」という穿った見方をしたくなる。

このような時期にこのような処分を下せば、日興の株価が下がるのは明らかだ。

それは、メガバンクに買いやすい環境を与えたともいえる。

そのメガバンク。

大和証券と提携している三井住友以外、すなわち、東京三菱とみずほは、証券事業が強いとは決していえない。

銀行に再編に伴って誕生した「中小証券の寄せ集め」と化している。

大手の証券が欲しいわけだ。

しかし、野村はわが道を貫いていることから、日興がターゲットになるのは当然。

もっとも、日興と三菱はかつて提携関係にあったものの、一旦「破談」となっている(その後、日興はシティグループと提携)。

日興はどちらかというとみずほ寄りだ(実際、引受業務を提携している)。

そのような中、今回の報道。

「やはり」という感じだ。

金融庁:「みずほさん、日興助けてやりなさい」

みずほ:「そうですね(笑)(買いやすいですし・・・)」

そんな会話があったかなかったか知らないが、「みずほが日興を買収」ではなく、「日興がみずほに出資要請」というのも銀行のプライドを考えたんじゃないかと穿った見方をしてしまう。

以上はあくまでも推測であるが、これが事実であれば「実によくできた話」だ。

「足利銀行の再生と巨大金融グループの誕生」。

金融庁、よく出来ました(笑)。

もっとも、日興とみずほの提携関係によっては、状況は変わってくる。

大和と三井住友のような「弱い」関係になるのか、日興が完全にみずほグループの傘下となる「強い」関係になるのか・・・。

それにしても、みすず監査法人(旧中央青山監査法人)の責任はどうなっているのだろうか。

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日興に課徴金5億円命令、監査の責任が焦点に
 金融庁は5日、日興コーディアルグループに対し、2005年3月期の決算書類にウソを記載したなどとして過去最大となる5億円の課徴金を国に納めるよう命令を出した。すでに証券取引等監視委員会が処分勧告済みで、日興も近く支払いに応じる構え。今後は日興の信用力の回復策とともに、不正な開示にお墨付きを与えた旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)の責任を当局がどう問うかに焦点が移る。
 証券取引法は不正な開示をした企業や個人への制裁として課徴金制度を設けている。監視委は05年11月に日興が500億円の社債を発行した際にウソの決算書類を説明資料に添付したとして、昨年末に処分を勧告。日興が異議を申し立てなかったため、3月6日までにお金を納めるよう金融庁が命令を出した。
[1月6日/日本経済新聞 朝刊]

(1/6 7:00)

http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hot.cfm?id=d1c0500905&date=20070105
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監査法人は昨年叩いたから、今年はいいだろう・・・では済まされない。

日本は、会社を取り巻くファイナンシャルゲートキーパーの責任があますぎるというのは以前から指摘しているが、

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50174036.html

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50341410.html

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50407308.html

会社がこれだけの制裁を受けているにもかかわらず、「先生」が何もナシでは済まされない。


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