昨年の経済界における流行語大賞(笑)「MBO&LBO」。

今年も急増するだろう。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50488561.html

そのMBOについて、一橋大学大学院の服部客員教授が、証券アナリストジャーナル12月号において苦言を呈していたので、紹介する。

要約すると以下のとおりである。
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1981年から2005年までの世界のLBOやMOBは、

MBO全体の大多数、すなわち、件数ベースで87%、金額ベースで93%がLBO。

しかし、LBO全体に占めるMBOの比率は、案件ベースで71%、金額ベースで38%にすぎない。

つまり、MBOのほとんどすべてはLBOであり、逆にLBOの一部がMBOで、MBOという形態をとらないLBOも多数存在する。

したがって、MBOとは(そもそも経営陣だけで買収資金のすべてを工面できるケースは稀であるから)マネージメント「が」(単独で)会社を買収する案件、というよりは、マネージメント「も」一緒になって、買収ファンドなどと共にエクイティを出資し、NRLを調達して会社を買収する案件ということ。

そもそもLBOは、80年代に米国の買収ファンドがフィナンシャルエンジニアリングを駆使して利鞘を稼ぐために会社を買収する手段として発達したもの。

しかし、買収ファンドが会社を買収し、短期間に転売して巨額の利益を手にすると、何かと世間の目が厳しく、時には「会社を食いのものにしている」といった批判にさらされる。

そこで、買収ファンドは、対象会社の経営陣に声を掛けて彼らもファンドとほぼ同一条件で買収に参加することを勧め始めた。

これをMBOと呼んだ。

買収ファンドは、年率20%以上の目標利回りで資金を運用しているわけであるから、ファンドが儲かると判断して実行するLBO案件に参加できれば経営陣もかなりの確率で大儲けができる。

いったん幾つかのそういった案件が実行され、実際に大金持ちになって幸せな引退生活に入る経営陣を見ると、今度はいろいろな会社の経営陣が自ら買収ファンドにうちの会社もLBO(MBO)してくれと列を成した。

こうしてMBO=LBOの図式が完成していった。

(そして、LBOにおける買収価格設定の重要性を強調し、安定した企業で、株価がPERを基に形成される可能性の高い会社ほど買った瞬間に大きな含み益を発生させると指摘し、2社について実証研究を行っている)

すなわち、MBO(=LBO)は、リスクを取って多額の金儲けを狙った財務的な活動。

それ自体悪いことではないが、現在の日本の資本市場は、LBOの実態を十分理解しないまま、買収者および買収に参加して一緒に大儲けをし得る経営陣の、金儲け以外の目的説明を真に受け、新聞報道もこれを追認している。

事実をありのままに堂々と説明する必要があることは明らか。

今後もLBO/MBOはますます増加していくだろ。

ただ、資本市場を欺く説明に終始することなく、株主の代表として買付け者に対して公開買付価格をぎりぎりまで上乗せさせる努力をすべき経営陣が、本来の役割を果たした上でのLBOの増加であってもらいたい。
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たしかに、MBOについては、「すべての参加者にとって利益となる仕組み」ともいえる。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50115171.html

しかし、物事には「本音と建前」がある。

すべてを開示する必要があるのであろうか。

また、金儲けよりも、内部統制や四半期開示等の規制強化に伴って、株式市場から退場したいニーズが相当数あるのが事実だ。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50468434.html

もちろん、証券取引法や取引所の規則に基づく開示は必要である。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50437821.html

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50451498.html

すなわち、対象会社の少数株主には、買付者と同様の情報を開示すべきだろう。

気持ちは分かるが、正直同意し難い指摘だ。

もっとも、経営陣は「株主の代表として買付け者に対して公開買付価格をぎりぎりまで上乗せさせる努力をすべき」であって、この点については以前にも触れたとおり、

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50454061.html

MBOの課題として認識されている(ま、現実には難しいだろうが・・)。

レックスのMBOではないが、プロセスを軽視したMBOは、必ず少数株主、そして裁判所から「やられる」。

http://blog.livedoor.jp/marubiz/archives/50425612.html

最近はファンドに案件がなく、理由なきMBO提案を多数しているようだが、そういうMBOは、今年当たり「やられる」と思われる。


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