恋ふ森野郎の研究日誌

こうもり博物館とその周辺で起きる活動報告です。

出産せず

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集団で子育てをしている洞窟とは別の場所で、子育てをしていないメスが集まり始めました。
その内訳を見てみると、出産はしたが、何らかの理由で子供が早々に死んでしまったなど、子育て途中での終了と、そもそも出産しなかった個体とが観察されました。去年生まれたばかりで、もう今年から出産が始まる種なのですが、例年だと一年生母コウモリも、もう少したくさんいても良いはずなのが、今年はちょっと少ない気がします。
そして子育て途中での死別や放棄と思われる個体は、意外や年齢の古いものが複数見つかりました。もう子育ては手慣れたもののはずのこちらが多いというのも気になります。やはり、今年はなにかアクシデントがあったのでしょうか。もう少し周辺の環境がどうなっているか、よく見てみる必要がありそうです。

迎えに行く

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そろそろ空を飛ぶ練習を始めたこどもコウモリは、まずは滑空の練習です。はばたいていても段々下がっていく高度に、やがて地面に落ちてしまいます。そうして着地してから、壁を這い上がって、再び飛び始めるを繰り返して、あっちへ行ったりこっちへ来たりを繰り返していました。
やがて夜も半ばを過ぎ、母親コウモリが自分の子供を探していると、元いたねぐらから、随分離れた壁にとまっているわが子を発見し、そこへ行くと、お腹をすかせた子供コウモリは母の胸に急いで吸い付きます。
もう僅かですが飛べるようになっても、まだもう少しの間は、母乳に頼って生きていくしかないのです。
それでも、こうして順調に育っている今年生まれた子供の数も多く確認できているので、今年の繁殖シーズンの成績はまずまずだったように感じます。

その頃オスたちは

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色々なコウモリのメスたちが子育てをおこなっている今頃、種によってはオスにも集団を作るものがいます。夏が近づくころから毎年同じメンバーが集まってきたものが、ほぼ全て集まり終えました。メンバーの入れ替えは少なく、成熟した集団のように考えられますが、今年も新たな個体が加わりました。
これが来月以降になると、今年生まれた若い個体の新加入もあるのですが、今はまだそんな姿は見られませんので、幼獣は母親と一緒にいて、離れていない時期なのでしょう。
コウモリによって行動様式も異なるので、季節ごとにそれぞれの観察ポイントがあります。

子育て真っ最中

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大きく肌が露出して、発達した乳腺が白い胸をさらしています。
どうやら今は授乳している最中のようです。という事は、この周辺の何キロか、あるいは十数キロ以内には、出産子育てをしている場所があるという事になります。
広い意味で言えばコウモリの繁殖地と考えることができる、夏にしかわからない観察結果でした。

まだ哺育中

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ずいぶん体が大きく育って、もう出産洞内では自由に飛べるまで育った子供ですが、母親が帰ってくると、まだまだ母乳をねだりに体へ吸い付きます。
少ない子供を長い期間かけて、じっくり育てるというのが、卵を産みっぱなしの生き物と、子育ての仕組みが違う哺乳類だというのを見せつけてくれます。

餌場へ急ぐ

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夕暮れを迎えると、ねぐらから餌場への通勤経路は通過していくコウモリたちでラッシュです。
そんなひとしきりの飛翔の後は、ひとときの静けさが森に戻ります。
子育てもひと段落すると、親が帰っていくまでの時間も長くなり、そんな静かな時間が先月よりもだんだん長くなってきました。

いよいよ森の中へ

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今年は出産期が遅れた地域のコウモリも、ようやく生まれてから1か月がたとうとした今週、いよいよ洞窟から外へ出て、何がいるか、何が起こるか分からない森の中へと飛び出したのが確認できました。
順調に育って、飛行能力も身に着けて、自立の時も近づいたようです。これからどんな危険が待っているのか、試される時がやってきたのです。
そんな観察をしてきた森から帰る途中、近所の飼い猫が道もない森の奥深くにやってきていたのに出会いました。切り拓かれて家が建ち、人の暮らしが近づいた場所での野生動物にとっての試練は、思ったよりも多いのかもしれません。

まだまだ夏の初め

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こんな季節ですがオスだけで一つの洞窟に複数集まっていたテングコウモリを調べてみると、そのほとんどは初めて見る個体でしたが、一頭だけ、過去に観察したことがある個体でした。
秋に捕まった時には、しっかり生殖関係の器官が発達していたのですが、今はまだ夏も始まったところで、地域的にも早くから進む場所というわけではないところだったせいなのか、そうした兆候は進んでいませんでした。
季節の追跡を、生き物の身体から毎月教えてもらうという手法で取り組んでいます。
意外によく集合するテングコウモリならではの、同時期の一群で個体差を比較する観察でした。

たどりつけない

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各地の出産洞で、モモジロコウモリは既に出産期を迎え、早い処ではすでに今年生まれの幼獣が洞内飛翔可能なステージまで成長しています。
その一方で、出産育児コロニーを形成しない場所付近で、まだ出産していないお腹の大きな妊娠個体が確認されました。またすぐに放獣したものの、今頃出産コロニーからは大きな川を挟んだこちら側にいて、今年の出産がどうなるのか気がかりです。
ただ、このような年の個体もありつつ、うまく子育てできた他個体とも合計して、生涯の通算出生数で個体群維持ができれば、種としては安泰なのでしょう。これからも地域個体群としてとらえて観察を続けたいと思います。

二つの胸のふくらみ

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今年も子育てをおこなったメスの胸には、子供がお乳を吸った痕が残っています。
もう授乳が終わっているため、だんだん目立たなくなって行きますが、今はまだその名残があるのが見てとれます。
こうして毎年1頭ずつ子育てして、そのうち何割が生き延びるのか、その蓄積が、将来もここを飛ぶコウモリが、この地域の虫を食べていくのかにかかわっていくわけです。
それを見守る観察が、今夜もできました。
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