蒼い蝠物の館日記

こうもり博物館とその周辺で起きる日常です

白テング

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若そうな顔をしながら、同じ場所で同時に見られたものを比べてみると、黒テングの方が年を重ねた個体であったりと、なかなか見た目だけでの判定は難しいものです。
そんな判別法を見つけるための成長の追跡といった着眼点を求める観察も続けています。
長生きなコウモリならではの、年数をかけた変化の有無の追跡も課題にできるのが、面白いところと言えるかもしれません。

蝶のような飛翔

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ひらひらと翻る飛び方が特徴的な、小さなコウモリのねぐらになっている場所が新しく見つかりました。
外に飛び出すのを待って捕らえてみると、今年はじめて出産しそうな雌でした。これからどこへ向かうのか、来月のその時へと、どこへ移動していくのか注目していきたいと思います。

早くも現れる

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長野県のノレンコウモリ繁殖地には、初夏になると雌が姿を現すようになりますが、だいたい例年は6月になってからです。それが今年は5月の今、もう飛ぶようになり始めました。ちょっと季節が早めに進んでいるようです。
やってきた個体も、10歳以上のものあり、去年生まれた若いものありで、層の厚い群れです。
このように毎年安定した再生産がおこなわれているので、各年齢が積み重なった健全な個体群になっています。これからも存続して欲しいものです。

分水嶺を越える

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9年前に太平洋側へそそぐ川に作られたダム湖の近くで標識されたモモジロコウモリが、今度は日本海へ流れる川のほとりで暮らしているのが見つかりました。
モモジロコウモリは川面の、しかも水面近くを飛びながら採餌する姿をよく見かけますので、普通に考えると川沿いに上流下流へと行きかうだろうと思わるのですが、この2つの場所の間には、高い峠を挟んでいるのです。
ただ、そこには長大なトンネルがあったので、もしかしたらそこを通ってきたのかもしれません。また、最初に捕まったころにはまだ通れたものの、今は塞がってしまっているので、むかし山を越えたきり、帰れなくなってしまったのかもしれません。
他にも最短ルートでは途中にトンネルがない分水嶺を越えて、直線で約40kmの間を移動した例があるので、モモジロコウモリといえど、河川に関係なく山越えする能力は普通に持っているのかもしれないですけどね。

飛び交うもののプロフィール

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夜になると餌場に飛んでくる姿はよく見られるものの、それらのコウモリがどこでいつ生まれたものなのかは、見ているだけでは分かりません。そのため、一部のコウモリについて捕獲してしっかり調べるように努力しています。
そんな情報を背負って飛んでいるユビナガコウモリが捕まりました。2004年の夏に和歌山県で生まれた雄が、同じ和歌山県内で生きているのが今月判明しましたが、同時に活動していた個体はすべて雄ばかりで、どうやらそろそろこの調査地からは雌が既に移動していなくなっていたようです。
まだ出産までは日数がありますが、集団繁殖地までたどり着けずに途中で出産してしまい、その年の子育てに失敗してしまう例があることを考えると、時間に余裕をもって移動していくのは、繁殖成功への第一歩なので、どうやら今のところ順調だと思います。
このような確認は、季節のスケジュールをコウモリたちが今年も着実に進めているかどうかのモニタリングでもあるのです。

母親集会

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5月になり、だんだん標高の低い地域からテングコウモリのメス集団が形成されるのが確認され始めました。
いち早くやって来たのは、子育て経験のある個体です。この集合場所には、年齢の新しい未経験メスは遅めにやってくるような傾向がある気がします。
まだまだこの地域での出産時期までは1ヶ月以上あるので、お腹も大きくなっておらず、胎児の生育状況は外観からは分かりません。
やがて本当の出産時期になると集団は解消されて、徐々に姿を消していきますので、来月からの観察は本当の出産場所になりそうな所で待ち構えることになりそうです。
他の地域、とりわけ山の方でも6月になると出産前集合の時期と数を記録する季節を迎えます。

大食漢

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コウモリが夕方から活動し始めて、最初の数時間でいっきにかき込むように虫をたくさん食べようとします。そんなわけで、その後の数時間は一休みの腹ごなしをすることが多いので、夜にやってくる場所で見ていると、飛んできたコウモリが夜半まで休んでいる姿をゆっくり見る事ができることが多いようです。
奈良県の山間部で、そんなコウモリが飛んできたのを捕らえてみました。すると、出てくる糞の量も多く、俵型の糞がいくつもポロポロこぼれました。食べられる前には、この数倍から十数倍の量の生きた虫だったと思うと、数時間でよく食べたものだなあと思います。それもまた大ざっぱすぎる考え方ですが、実に大量の餌を食べていそうなことは、確実です。

夜空に戻す

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コウモリの活動を知るための調査を続けていますが、基本的には生かしたまま、自然の中でどのように過ごしているかという調べ方をしているので、自然の中から捕らえて調べた後、再び返して次に捕まる時まで自活して貰います。
そのため、一通りの事項を調べ終わった後に、無事に飛んでいく事ができるかまでを見送って、元気であるかどうかを確認します。
今夜も全部森の中へ帰って行くのを見て、一晩の研究は終わりです。朝が来たので、おやすみなさい。

だんだん集まる

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早い年には3月から出産場所へと集まり始めるクロホオヒゲコウモリのメスは、5月になると本格的に集団を作り始めます。繁殖集団と言っても、ほかのコウモリで見られるような何十頭や何百頭といった多数が集まるわけではなく、このコウモリの場合は、10頭弱から15頭程度が記録されているだけです。そのため見つけるのがなかなか難しく、まだ実態がよく分かっていない種であるとも言えます。コウモリの中でもとても小さい部類で、体重も今はまだ4g程度で、出産間近のお腹が大きくなった時でも5g台にしかならないものが多いのです。今年帰ってきたメスの中には、もう5年以上前から出産しているものも確認されていて、今年もまた期待しています。
小さなコウモリの小さな集団ではありますが、コウモリの五福のひとつ、子孫繁栄を、それなりに体現しているわけなのですね。

定位置につく

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ほぼ毎年、同じ穴の同じへこみをねぐらに決めて昼を過ごす、長野県のノレンコウモリがまた姿を現しました。今年も秋までここで過ごすのでしょう。ほぼ毎年、というのは、初めて捕まった2007年の5月以来、帰ってこなかったのは2011年と2015年だけだったからなのです。その他の年にはずっといたことを思うと、それらの年には何か起きていたのかと考えさせられますが、それは東北の地震の直後と御岳山噴火の半年後からのシーズンだったわけです。そこから自然現象と野生動物の行動の関連を連想してしまいます。
ただ、ちょっと距離も離れているし、そうはっきり関係があるかどうかは、研究の余地もまだまだ大きそうです。
それでも、、もう少し御岳山に近い場所に生息していた個体群は、例年と違った9月中旬の早い時期、噴火の直前に忽然と姿を消してしまったということがあったなど、野生動物の持つ変動を予め知る力を見せつけられたのを思い返して、あながち与太話と捨て置くのはもったいないなと思ったりもします。
自然を見ていると、時々こうした現象に出会うこともあるのが面白いものなのです。
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