恋ふ森野郎の研究日誌

こうもり博物館とその周辺で起きる活動報告です。

さみしい森になる

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昨夜の少し標高の高い森での飛翔状況は、とても寂しい結果に終わり、せっかく張った網にやってきたコウモリは、たった一頭のウサギコウモリだけでした。
この場所での新しい個体なので、それはそれで意義のある成果ではあるのですが、すっかり冷え込むようになった山の動物季節は、思ったより進んでいたような印象です。
こうして秋が深まり、冬へ向かっていくのでしょうね。

そろそろ最後か

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9月も後半に入り、カグヤコウモリの姿も見えなくなる頃かと思いつつ、最後まで見られる場所はどこかと、今年の生息確認できた場所を順繰りに追って、最後の生息調査を続けています。
中央アルプスの麓で去年見つかり、最も遅い日付まで確認できた生息地では、今年に入ってからも確認個体数が増えていましたが、今のところ最後の確認日は、去年より4日遅かった昨夜でした。
これからもう少しの間も観察を続けますが、果たして何日までいるのか、そして越冬のためにはどこへ行くのかなど、調べていきたいことはたくさんあります。
それほどコウモリというのは分かっている項目が少ない動物なのです。
今夜も秋の信州縦断コウモリ調査は続きます。

いつもどおり

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秋が深まりいなくなるもの、寒くなってやってくるもの、一時期だけ姿を見せて通過するもの、いろいろなコウモリが行き交う生息地で、春から秋までどこかへ行ってしまうことなく、ずっと変わらず飛び回っているこの個体が、また捕まりました。
相変わらず暮らしている場所で見られるのも、あと1、2ヶ月といったところでしょうか。
冬になると姿を消すので、それまでまた見る機会はあるとは思うものの、今年はほかのコウモリを見ていると秋の訪れが早いような気もします。
朝晩よく冷えるようになった標高の高い森で活動するもの達は、季節の変化を感じるのには敏感でしょうから、そんな姿から今年の進み方を教えられるように思えるのです。

中旬を迎える

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9月の満月は過ぎましたが、まだカグヤコウモリは月へ帰らず居残っていました。
南アルプス山麓にある洞窟で、初夏まで少ないコウモリの静かな中で過ごしていると、やがて夏が近づきやってくるコキクガシラコウモリの大きな出産集団の騒がしさに追い出されるのか、夏にはカグヤコウモリの姿は消えてしまいます。
そして秋になった今、カグヤコウモリの姿を探していると、もう少し標高を下った場所に集まっているのが見つかり、夕暮れ時に出てくるのを待ってみると、オスの集団でした。という事は、これからここへメスがやって来るのかもしれません。
そんなことを確認するのも楽しみながら、いよいよ9月も後半に入りました。前半にはあちこちで観察できたものの、そもそもカグヤコウモリの姿が見られるのかどうか、そんな場所がどこにあるのかを探るのが先という時期になってしまったのです。

利用数比率

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ノレンコウモリの生息地を探していると、クロホオヒゲコウモリが同じ場所で見つかるという事があります。そこで、今までに両種が同じ洞窟で見つかった場所を、それぞれ今まで捕獲できた個体数で比較してみました。
A洞窟では、クロホオヒゲコウモリ1:ノレンコウモリ8
A洞窟と同じ市内のB洞窟では、同じ比率のクロホオヒゲコウモリ1:ノレンコウモリ8
C洞窟ではクロホオヒゲコウモリ39:ノレンコウモリ2
D洞窟ではクロホオヒゲコウモリ1:ノレンコウモリ37
E洞窟ではクロホオヒゲコウモリ9:ノレンコウモリ3
E洞窟と同じ町内のF洞窟ではクロホオヒゲコウモリ1:ノレンコウモリ4
もちろん、それぞれの種だけがねぐら利用している場所も数多くあるわけですが、地域によって、またそれぞれの洞内環境や構造によって両種が利用できたり、どちら向きなのかが異なるため、長年の累計で比較すると、ずいぶん差が出てきました。
色々な環境を含み、いろいろな種が求める環境が揃っている多様性に富んだ場所であってこそ、コウモリの多様性も維持できるようです。自然度が良い場所というのは、観察していて実に楽しいと共に、そうしたコウモリ多様性が高い場所は、なかなか無いものだと痛感します。

日暮れと共にやってくる

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北アルプス山麓にある9月中旬で姿を消すカグヤコウモリの生息地で、夜を待ってみました。昼間の内にねぐらを観察しても、もう8月にいた個体もいなくなっていたので、今は何処で昼を過ごしているかは不明なのです。
陽が暮れてまだ空に明るさが残っているうちに、続々と飛んできたものは、ひとしきり川の上や河畔林の梢の先で盛んに採餌しているのが目視観察できました。そのうち、ひとつまたひとつとねぐらにもなっている短い洞内へと入り、単独で一定間隔を空けて壁にとまるのが見られました。そして飛ぶ時とは違った、普段聞こえない変わった超音波の大合唱です。
これが秋のこうもり歌なのでしょう。なかなか狙って聴きに行けるとは限らないものに会う可能性があるので、いるかいないか分からないところや季節でも、出かけてみるのが面白いのです。
そんな出会い洞の出口に張った網にかかって、ようやくそれがカグヤコウモリということが分かったのは、声を聴いた後のことでした。捕まえるまで、そこで見えているものが何であるかが分からないのが、いろいろなコウモリが住む多様性の高い場所での調査の難しさでもあります。

新たなねぐらの発見

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クロホオヒゲコウモリは数が少ないためか、なかなか見つけることが難しいコウモリです。
東海地方では岐阜県と三重県で捕獲されたことがあるのですが、愛知県ではまだなので、今後森林での捕獲調査に力を入れていきたい種でもあります。
従来見つかっている生息地の近くで、新しい個体が見つかりました。今まで利用されていなかった場所で、岩の隙間に入っていたのです。これが偶産的な一時利用に過ぎないのか、またまた将来にわたって近辺をモニタリングし続けていかねばならない課題を受け取った気がしています。
そして測定後、再び元気にはばたいて夜の森へと飛んでいきましたとさ。

♡型の大きさは千畳敷

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北海道で観察しても本州で観察しても、生息地共通でこのコウモリの精巣は巨大になるのが特徴のようです。
そんなチチブコウモリは、中部地方では夏山のコウモリという印象で、夏の間は亜高山帯の針葉樹林で見られることが多く、里で見られるようになるのは晩秋以降になり、どちらかと言うと冬の使者といった存在なのです。場所によっては、年が明けた最も寒い厳冬期にならないとやってこない越冬地もあり、マイナス二桁の気温でも行動するのが観察されています。
それが今年は9月にもう里へ出てきました。9月に現れたのは、2014年の御岳噴火の直前に、こんな早くからチチブが出てきてどうしたことだと物議を醸した年を思い出します。
そんなわけで今月は自然現象、特に地面の下に関する事象に着目しながら過ごすことにしています。

天井チェック

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キクガシラ月間なので、保護の緊急性は特にない普通種のキクガシラコウモリにも目を向けて、どこにどれくらい住んでいるかの基礎調査をしていきます。
季節によってはたくさんいることもある海辺の穴では、夏も過ぎて冬にはまだ遠い今、ごく少数だけがねぐら利用していたに過ぎませんでした。そんな場所を巡回していくうち、新たな発見に出会うこともあります。
もう15年も定期巡回していたここでは、キクガシラコウモリの他に今まで見られなかった絶滅危惧種が、初めて観察されました。今まで見逃していたにしてはあまりに期間も長く、最近この県内での確認個体数が増加傾向でもあるので、もしかしたら分布が拡がっている可能性もあります。
見て数えるだけの普通種とは対応を変えて、これは何としても捕まえてしっかり調べなくてはいけないので、作戦を立てて、早々に再訪したいと思います。
コウモリの研究課題は、調査を進めるほど増えていくばかりなのです。

出産子育ての成功率

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個体群の存続には、再生産率の維持が最も重要になりますので、毎年の繁殖状況を見ていく必要があります。
今年のノレンコウモリの状況を子育てコロニーごとに、子供が飛べるようになるまでの育児成功率で比較すると、シーズン途中の暫定的な速報値ではありますが、66%、77%、98%と、場所による差が大きいものの、いずれも半数はちゃんと育ったということになります。だいたいその内の半数が雌として、来年もそれぞれの出産集団に加わり、コロニーの発展につながるのか、また、巣立っていく雄はどこまで行くのか、今後が楽しみになります。
一方で生息環境の条件によって、集団の繁殖成功に大きく差ができるものだと実感せざるを得ない結果となりました。
出産期が早い和歌山県の出産コロニーでは、今年生まれの個体をほぼ記録し終えました。
全個体が飛べるようになった今からは、親子共々、秋から冬を過ごす場所への集団移動が始まりますので、その追跡です。次は、長野県の各生息地において、全数捕獲を目指す標識調査を9月中に進めていきます。
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