マルカドブックス

東海地方を縦横無尽、全国各地に神出鬼没の取材・執筆・編集事務所@西三河より、買って読んだ本のことでも書いてみるシリーズ。

ヨンダホ0332~極楽タイ暮らし

極楽タイ暮らし 「微笑みの国」のとんでもないヒミツ
高野秀行/ワニ文庫



 私が愛読するノンフィクション作家、高野秀行の初期作品。本書の存在は知っていたが、KKベストセラーズのワニ文庫というマイナーレーベルのせいか書店で見かけたことはなく、さりとてタイに行ったことも行く予定もないからネットで買うほどでもない。ということで、今まで手にする機会がなかった。
 ところが少し前に千葉県に滞在していた際、JR松戸駅前で良文堂書店という書店に入ってみたところ、不意に本書に遭遇したので即購入した。この書店は二度目だが品ぞろえがなかなかよく、高野秀行、宮田珠己、内澤旬子など「本の雑誌系」の面白い作品を書く作家をコーナーを設けて推しまくっている。マニアックな書店もあったもので、こういうのが松戸クラスの中堅都市にあるというのはさすが首都圏。と、田舎者らしい感慨を抱いたのだった。
 それはさておき内容は、タイのチェンマイ大学で教師をやっていた作者が、タイでの体験と観察を綴ったエッセイ風文化論集でたいへん面白い。何事もユルく、他人に無関心というタイ人には、どこか親しみを覚えてしまう。しかし書かれてからすでに20年が経過しており、今はどうなんだろうか。

20170612-1
タイ。
(愛知県津島市錦町 2008.12.08)

ヨンダホ0331~1998年の宇多田ヒカル

1998年の宇多田ヒカル
宇野維正/新潮新書



 CDが史上最も売れた年である1998年にデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoの三人が、いかに才能あふれ、かつその後の音楽シーンに影響を与えていったかを、ロッキンオン・ジャパン出身の作者が分析する。この三人の歴史だけでなく80年代から00年代の音楽事情が大局的に書かれており、あんな時代もあったね~、という懐かしさに浸らせてくれる本だ。
 そういう読み方は書き手の本意ではないだろうが、やはり元ロッキンオン・ジャパンの人が書いた本だけあって、三人の各論ではあの雑誌特有の「対象への過度ともいえる思い入れ」が微妙に漂う。批評性より「ヨイショ感」もしくは「パブリシティ感」が論調や言葉のセレクトからどうしても感じられて嫌なので、三人にそこまで思い入れがない者としては時代懐古な読み方に着地してしまうのである。
 自身がコントロールできないメディアの取材を嫌う(のでロッキンオン・ジャパン誌にも一回しか取り上げられたことがない)というaikoの章で、作者は「日本には音楽ジャーナリズムはほとんど存在せず、あるのはアーティストとメディアの『馴れ合い』ということになる」と書いている。本書からは、そのジレンマを打開すべく書こうとした意欲も伝わってはくるのだが、業界ルール的なその「馴れ合い」から完全に脱し切れていないように思えてしまうのが、ちょっと惜しい。

20170611-1
ヒカル。
(静岡県浜松市天竜区山東 2007.12.02)

ヨンダホ0330~在日の涙

在日の涙 間違いだらけの日韓関係
辺真一/飛鳥新社



 テレビでよく見かける著者だが、どういう経歴の方か存じ上げなかったので購入。成熟しない故国に対するもどかしい気持ちが全編にわたってにじみ出ており、なんだか切ない気持ちになった。結論としては、韓国人も日本人もまずは冷静な大人になろうぜ!というところである。

20170609-1

20170609-2
本書には当然ながら竹島の話題が出てくる。竹島といえばK出版社在籍時代に「隠岐の100年」という古写真集制作のために初めて隠岐へ行った際、竹島に一番近い集落でこのようなアピール看板に遭遇した。「かえれ北方領土」の看板は見たことがあったが、当時はまだ今のように竹島問題が過熱していなかったのでいささか衝撃で、地元では竹島問題が身近であることを初めて知ったのだった。このあと五箇郷土館で隠岐の漁民が竹島で漁をしている写真を複写させてもらい、その古写真集に掲載した。
(島根県隠岐郡五箇村久見〈現隠岐の島町〉 1999.05.09)

竹島に関しては明治40年刊行の調査報告書が地元出版社から復刻されている。明治の漁の様子がわかって面白い。
竹島及鬱陵島
奥原 碧雲
ハーベスト出版
2005-07

ヨンダホ0329~私なりに絶景

私なりに絶景 ニッポンわがまま観光記
宮田珠己/廣済堂出版



 絶景というか珍景紀行。たいへんおもしろい。
 行ってみたい場所がいくつも出てくるが、中でもとりわけ魅かれたのが奥祖谷観光周遊モノレール。遠州山間部の茶畑なんかでよく見かけるモノラック(→●□●□)的なやつを観光仕様にした施設のようで、なんてことのない山の中をなんと1時間も乗っていられるという。モノラックを見かけるたびに乗ってみたいと思っていたので、こんな素敵な乗り物があるならいつか絶対行く。

20170522-4
あまりメジャーな場所が出てこない本書で取り上げられた数少ないガチ絶景スポット、隠岐の国賀海岸(本書の表紙の写真もここ)。隠岐には仕事で何度も渡ったが、ものすごい絶景やそそる集落の連発で、そんなのを巡っていると仕事にならなかった。
(島根県隠岐郡西ノ島町 2005.09.18)

ヨンダホ0328~新潮新書の二冊

検索禁止
長江俊和/新潮新書

検索禁止 (新潮新書)
長江 俊和
新潮社
2017-04-14


薬物とセックス
溝口敦/新潮新書



 いずれも「怖いネ~」という内容なのだが、編集者に請われて持ちネタを掻き集め、なんとか一冊にこぎつけた感。両著者ともその道の大家であり、ネタを蓄積してゆくのも大変だということはわかるが…などと言っていると自分にブーメランが帰ってきそう。
 前者は「出版禁止」の読了後に買ってみた。なるほど、この著者はホラーの専門家だったか。「出版禁止」の肝の部分がホラーだったことが腑に落ちた。著者はもともと人気ホラー番組を手掛けていたテレビ畑の方で、本書は昔からの著者のファン向けということだろう。

20170606-1
ローカル媒体の取材ではホラーな話題に遭遇することは滅多にないが、奥三河の廃校の隅に立てられていた郷土史案内カンバンの内容が凄惨すぎてぶったまげたことがあった。全文はこちらに→●□
(愛知県新城市愛郷 2013.11.30)
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