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東海地方を縦横無尽、全国各地に神出鬼没の取材・執筆・編集事務所@西三河より、買って読んだ本のことでも書いてみるシリーズ。

ヨンダホ0365~相撲道まっしぐら

相撲道まっしぐら!
豪栄道豪太郎/集英社みらい文庫



 先の秋場所で日本中をハラハラさせて結局優勝を逃してしまった、人間味あふれる大関豪栄道の自伝。小学生向けの新書で、相撲が大好きな6歳の息子がもう少し大きくなったら読ませようと思って購入しておいた。
 本書を読むと、大関になるほどの力士というのは子供のころから考え方も鍛え方も違うことがよくわかる。タイトルどおり、まさに「まっしぐら」。関係者の証言コーナーに記されているように、細やかな気配りができ、男気あふれる人柄にも魅かれる。二度目の優勝は逃したが、本書を読んで今後も親子で応援しようと思った。
 ただ一点気になったのは、小中高と相撲に明け暮れ、まったく勉強をしなかったように見受けられることだ。特に中学時代は「学校にかばんも持たずに手ぶらで通った」とか「共働きの両親を送り出したあと二度寝して、いつのまにか4時間目が終わる前に学校に行くのが普通になった」とか「茶髪にしてパーマをかけた」とか、普通に不良じゃん!このページだけ破ってから子供に与えたほうがいいか…。

20171021-1
著者。
(名古屋場所 2017.07.11)

ヨンダホ0364~のこぎり屋根紀行

のこぎり屋根紀行
吉田敬子/上毛新聞社

のこぎり屋根紀行
吉田敬子
上毛新聞社 出版部
2016-11-24


 その富岡製糸場のある富岡市で、中心市街地にある書店に立ち寄ったら上毛新聞社の地域本がたくさん並んでいた。これといった出版社がないため地元新聞社が地方出版の最大手になっている県はいくつかあり(静岡県とか岐阜県とか)、群馬県もそうらしい。
 この本は、前橋出身の建築写真家が群馬県を皮切りに全国ののこぎり屋根工場を撮り歩いた写真紀行文。地方出版なので全国的にはあまり流通していない本と思われるが、のこぎり屋根工場の密集地である愛知と岐阜の物件が8件も載ってて、おまけに今はなき浜北の日清紡まで取り上げられていた。なので即購入。
 こちらの書店に並んでいてもおかしくない本だけれど、よく考えたらこちらの人がこのテーマで本を出していてもおかしくはない。そういえば数年前に一宮で「尾張のこぎり調査団」という研究グループの方に話を伺ったことがあったが、本を出してくれないものか。

20171020-1
鋸&HINOMI。
(岐阜県各務原市川島小網町 2013.02.26)
※オマケ→●□

ヨンダホ0363~富岡製糸場と蚕糸関連本二冊

富岡製糸場事典 シルクカントリー双書八
富岡製糸場世界遺産伝道師協会/上毛新聞社

富岡製糸場事典 (シルクカントリー双書)
富岡製糸場世界遺産伝道師協会
上毛新聞社事業局出版部
2011-11


日本の蚕糸ものがたり 横浜開港後150年波乱万丈の歴史
髙木賢・編著/大成出版社


 先日、現役製糸場の取材&家族レジャーで群馬県に行ったとき、資料として入手した本である。
 前者は、富岡製糸場のおみやげコーナーで購入。タイトルのとおり富岡製糸場のことが項目別に詳細に書かれており、これ一冊あれば富岡製糸場のことがだいたいわかる。図版も多いし、ベーシックな参考資料としては文句なし。
 後者は、取材した日本でほぼ唯一の製糸専業工場、碓氷製糸(安中市)で購入。編著者は元食糧庁長官で、現在は業界団体の「大日本蚕糸会」会頭と碓氷製糸の社長を務める方。これを読んだら日本の蚕糸の歴史がだいたいわかる。蚕業史の教科書。
 せっかく資料として買ったけれど、今回の取材の原稿には直接的に反映されていない。もったいないので何か蚕糸絡みで原稿料の発生する記事をもう一、二本書いて元が取れると理想的なのだが(貧乏性)。

20171019-1
富岡製糸場は五年半ぶり二度目の訪問で、前回はまだ世界遺産ではなかった。久々に行ったら案の定、キャラができてて顔ハメカンバンも設置されていた。名前は「お富ちゃん」。6歳児もお富ちゃん缶バッジをもらって「これイイね!」と喜んでいたし、んー、まあ、嫌いじゃない。
(群馬県富岡市・富岡製糸場 2017.09.16)

ヨンダホ0362~ある奴隷少女に起こった出来事

ある奴隷少女に起こった出来事
ハリエット・アン・ジェイコブズ/新潮文庫

ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)
ハリエット・アン ジェイコブズ
新潮社
2017-06-28


 ノースカロライナ州の田舎町で奴隷として生まれた女性の自伝。アメリカの奴隷制度の実態を描いた名著だ。
 訳者の解説によると、原典は150年前に出版されたもの。その内容からして「古典的名作」と言うべき作品なのだが、アメリカでは当初「白人作家による創作」と見なされ、1世紀以上も埋もれていた。しかし1987年にアメリカの歴史学者により「発見」され、内容の裏付けを取ったところ創作ではなくほぼ実話だと判明。出版するとたちまちベストセラーになった。
 そこからさらに30年後、日本の会社勤めの女性がKindleで「発見」して翻訳し、まず大和書房で単行本として刊行。そしてこのたび、メジャー舞台の新潮で文庫化された。今後は夏恒例のキャンペーン「新潮文庫の100冊」の常連になるのでは…というくらいの本だと思う。

20171018-1
奴隷制度は支配者側の精神も捻じ曲げるということがよくわかり衝撃を受けるが、もうひとつ、本書は「親子の絆」についても考えさせてくれた。著者は、自身の所有者である偏執狂の医師から逃れるため、祖母宅の屋根裏部屋に7年間も隠れ住んでいたという。彼女には二人の子供がいたが「自分が姿を見せるときっと子供が誰かに喋り、子供自身に魔の手が伸びる」と考え、屋根裏部屋から二人の成長を見つめることしかできなかった。すぐ近くにいるのに、我が子を世話をすることも抱きしめることもできない母親の心境はいかばかりのものか。この本は、息子がもう少し大きくなったらぜひ読んでほしい。

ヨンダホ0361~もっとハゲしく声に出して笑える日本語

もっとハゲしく声に出して笑える日本語
立川談四楼/光文社知恵の森文庫



 落語家で小説家、すなわち言葉のプロである立川談四楼師による日本語小ネタコレクション集の第三弾。みょうちきりんな言い間違い、くだらないけど巧妙な駄洒落、味わい深いセリフ、昔は常套句だったけど今は使われなくなった「死語」の数々などが次から次へと繰り出される(以上はシリーズ第一弾について説明した文章のセルフコピペです→●□)。
 以下、談四楼師にならって本書風の小ネタをいくつか…。

 むかし岐阜市の西野町電停角に「ノブタ薬局」というのがあった。野豚薬局!?と思ったら、どうも店主が信田さんらしい。

 愛知県刈谷市小垣江の国道417号に「珍重原」という交差点がある。珍しい重原ってどういうこと?と思ったら、読みは「チンジュバラ」。鎮守のことだろうか。

 岐阜県羽島市中心部の商店街に「まからずや」という商店がある。えらい強気だな!と思ったが、聞けば「これ以上まけられないほど安値の店」という意味だそうな。滋賀県長浜市で似た例の「堀マケン堂」というのに遭遇したこともある。

 大学時代に初めて三河弁に触れたとき「なんちゅう田舎臭い言葉だろう」と思ったけれど、程なくして自分の出身地の岐阜もどっこいどっこいであることに気が付いた。その一例。「とっても凄いネ!」を三河弁でいうと「どすごいじゃん!」、名古屋弁でいうと「でらすごいが!」、岐阜(西濃)弁になると「でーれーすごいげー!」。音引き多っ!

 うーん、気の利いた話があまり出てこない…。

20171016-1
本書には珍地名もいくつか出てくる。そのひとつ、P155に載っていた宮崎県のトロントロン。出版社勤務時代に宮崎の古写真集を作っていたとき、この町にあるビジネスホテルを定宿にしており、フロントの子にマジ惚れした思い出のある懐かしい土地だ(どうでもいい)。
(宮崎県児湯郡川南町 2001.06.14)
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