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東海地方を縦横無尽、全国各地に神出鬼没の取材・執筆・編集事務所@西三河より、 読んだ本のことでも書いてみるシリーズ。

ヨンダホ0199~現在落語論

現在落語論
立川吉笑/毎日新聞出版
現在落語論
立川 吉笑
毎日新聞出版
2015-12-18


 今年最後の読了本は、落語家の立川吉笑の初著作。まだ二つ目ながら大変な筆力で、己の落語と現在の落語を徹底的に分析している。落語家なのに理屈っぽすぎて野暮、なんて言われるリスクもありそうだけど、師匠である談笑師や敬愛する志の輔師への本書でのヨイショっぷりはなんとも落語家らしい…ような気がする。
 とりあえず吉笑さんの高座を見たいんだけど、名古屋に来ることがあるんだろうか。大須でぜひ。

 最終章に記された入門までの来歴を読むと、若い時分に試行錯誤を繰り返して、遅くして落語家になったようだ。読んでいたら自分の試行錯誤の来歴も思い返されて、少しぐっと来た。
 それは、この本を読んだのがケイリングランプリ'15が開催中の京王閣競輪場だったということもある。
 もともと私は地方ネタを追いかける新聞記者になりたかったのだが、二、三の入社試験に落ちてしまった。どうしようかと頭を抱え、とりあえず現実逃避で豊橋競輪場に行ったところ、落ちていた競輪の予想紙に「社員募集」の告知が。これだ!と即断して電話すると、軽い面接だけであっさり採用された。
 こうなったら競輪新聞の記者として競輪を極めよう、などと最初は熱くなったものだ。しかし、会社には知識も情熱も半端なく筆力もある先輩記者がおり、その下で学ぶうち、悟る。自分程度の心構えじゃこの先何年掛けてもこの人を超えることはないだろうと。早々の見切りと、あと個人経営の小さい会社ということもあっていろいろゴタつきもあり、結局一年で辞めてしまったのだった。
 それで、もともとやりたかった方向に再度軌道をなんとか戻し、編プロや出版社勤務を経て、ローカル記事を手がけるフリーのライター・編集者を核とする現在に至っている。ただ、筆者のように、全てを尊敬し弟子入りしたくなるような「師匠」には出会っていない。

 グランプリの現場観戦は、予想紙勤務時代にその先輩記者と行った立川グランプリ'95以来実に20年ぶりだ。京王閣も確か留年時代が最後だから20年ちょっとぶり。バンクを見下ろす吹きさらしのスタンド上段で懐かしい喧騒に包まれながら筆者の半生を読み耽るうち、いつしか自分の悶々としていた時代が重なって、我が若かりし頃のほろ苦く鬱屈した思いがよみがえってきたのである。ああ、あの頃は若かったなあ。
 で、本書を片手に遠い目をしているうちに発走時間がやってきて、気がつくと自分が買った6番車浅井康太が一着でゴール!二車単も三連単もズバリ的中してけっこうな額を儲けさせていただきまして、センチメンタルな気分もどこへやら。高笑いで京王閣を後にしたのでした。はっはっは。あー気持ちいい~。
 何の話だ。

image
ありがとう浅井選手。
(東京都調布市・京王閣競輪場 2015.12.30)
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