永遠の0 (講談社文庫)
永遠の0 (講談社文庫) [文庫]
百田 尚樹
講談社
2009-07-15

　久しぶりにベストセラー系の本を読んだ。
　ゼロ戦パイロットであった戦死した祖父のことを、生存する方々を通じて聞くもの。

　背景は言ってしまえば簡単なのですが、各戦地における話しはふくらみ、凄みのある本でありました。

　読み始めは、その祖父自体が臆病者で、戦闘に参加しないことで恨みを買うような回顧録から始まったので、これは反戦平和主張のくだらないものかと読み進めました。

　ところがどっこい、物語はさにあらず。数人の生存者が語る祖父である宮部の人間像は、それぞれの見方によって大いに違い、最後は一番最初の印象を覆すものでありました。

　戦争を経験した世代がどんどん少なくなっていく中、実に読み応えのある書でありました。若手新聞記者と回顧する老人との丁々発止には溜飲が下がりました。平和ボケした民衆に喝を与えるものであります。