ファインダー越し、一カメラマンの目にはにじんでこう見えた

―――松本博文(中継記者)

松本博文ブログ(2007.11.5)より
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 敵兵士が肉迫してくるのを直近真正面から捉えた写真。
 それは手振れでピントが合っていない。
 しかし戦場の真実をリアルに伝える歴史的一枚として今日に残った。

 戦争と将棋対局を比べるのは不謹慎であろう。
 しかし、次に示すこの写真、何か心を揺さぶられるものがあるのだ。

 石橋幸緒が女流王位を奪取した瞬間(2007.11.5)

 清水市代との久々のタイトルマッチ。
 二十六歳の石橋が七年半ぶりにタイトルを獲る。
 しかも、半年前には日本女子プロ将棋協会が大嵐の中を船出していた。
 撮影者はこの出航を支え、設立後も行動を共にしてきた松本博文である。

 「基本的に失敗した写真は載せたりはしないのですが、ファインダー越し、一カメラマンの目にはにじんでこう見えたという例です」

 新組織にもたらされた「女流王位」というタイトル。
 そこに寄せる人々の思いが、このピンボケ写真の中に凝縮されているのかもしれない。