今となっては数年前にルールが出来かかった時に、感情論やアホな理屈で反対した人達を押し切れなかったかなと思ってしまいます。

―――大平武洋

大平武洋 twitter  2016.10.13
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 順位戦はA級、竜王戦は1組。そんな正真正銘のトッププロが、対局中にスマートフォンの将棋ソフトでカンニングしていたというのである。
 三浦弘行「スマカン疑惑」――今回の騒動をそう呼ぶことにしよう。

 二〇一六年の将棋界における最大の事件だ。
 いや、ここ数十年で最もインパクトのある出来事(不祥事)である。

 二十代の佐藤天彦が羽生善治から名人位を奪ったことも、加藤一二三の記録を破って史上最年少プロ棋士が誕生したことも、これで吹っ飛んでしまった。
 将棋連盟執行部の大汚点と言うべきである。

 こんな事態になることを心配して、渡辺明は何年も前から「モバイル機器のチッェク態勢をつくるべきだ」と提唱していたではないか。
 しかし執行部はその提言を受け入れなかった。
 理由は「棋士性善説」である。
 大平武洋六段が twitter で呟いている。

 「ればたらは良くないとブログに書いたばかりですが、今となっては数年前にルールが出来かかった時に、感情論やアホな理屈で反対した人達を押し切れなかったかなと思ってしまいます」

 この「感情論やアホな理屈」がまさに「性善説」によるものだったと思われる。
 曰く、棋士はそんなことをするはずがない、チェック態勢など不要。

 その結果が今回の疑惑騒動である。
 三浦弘行九段が本当にそんなカンニングをしたのかどうか、その真相は分からない(彼が被害者である可能性も大いにある)。
 しかし疑惑報道がメディアを駆けめぐったことで将棋界のイメージは大低落してしまった。
 これは連盟執行部の大失態だ。

 あのとき、なぜ渡辺明の提言を受け入れなかったのか。
 「米長哲学」などという怪しげな思想まで動員してつくりあげてきた棋界のクリーンイメージは今回の事件で粉々になってしまった。

 「感情論やアホな理屈」がまかり通る将棋界。
 実は「クリーン」とはほど遠いどろどろの泥沼社会なのかもしれない。