「僕はコンピューターに支配される世界なんてまっぴらごめんです」

―――丸山忠久

連盟による説明会後の発言(「スポーツ報知」2016年10月21日14時28分配信)
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 二〇一六年十月十二日、竜王戦の挑戦者が急に丸山忠久九段に変更された。
 そのときの丸山のコメント、

 「日本将棋連盟の決定には個人的には賛成しかねますが、竜王戦は将棋の最高棋戦ですので全力を尽くします」

 これは正規挑戦者だった三浦弘行を弁護するものなのか、逆に、「こんな処分ではゆるすぎる」という主旨なのか、私にはよく分からなかった。

 ところが、将棋連盟が十月二十一日に行った棋士への説明会の後、彼は次のように発言し、丸山の立場が明確になる。

 「三浦九段との対局で不審に思うことはなかった」(「朝日新聞DIGITAL」10月21日13時51分)

 「発端から経緯に至るまで(連盟の対応は)疑問だらけです」(「スポーツ報知」2016年10月21日14時28分配信)

 つまり、丸山九段は連盟の三浦九段に対する措置を不当だと言っているのだ。
 そして、強い口調でこう付け加えたという。

 「僕はコンピューターに支配される世界なんてまっぴらごめんです」

 「三浦弘行が不正をした」という渡辺明竜王の主張の根拠は将棋ソフト「技巧」による着手解析だった。丸山はこれに強く反発したのである。

 私は丸山の心の内を次のように推測する。
 彼はこう言いたかったのではないか。

 「渡辺明よ、われわれ二人の聖なる対局空間へ土足で踏み込んできて騒ぎ立てるのは止めてくれ。ソフトとの着手一致率がどうのこうのは余計なお世話である。君は三浦九段だけでなく私をも汚(けが)していることに気付かないのか。君がコンピュータを神と仰いでそのお告げにひれ伏すのは勝手だ。また、今の将棋中継ときたら、ソフトの予想手がどうだとか、先手が200ポイント優勢だとか、まったくもってコンピュータ様々である。だが私は、そんなコンピュータに支配される将棋界などまっぴらごめんなのだ」

 コンピュータとどう向かい合うのかということは現代将棋の重要課題だが、「まっぴらごめん」という立場は強烈である。

 よくぞ言ったと思う。
 立派だ。