個人的にも1億%クロだと思っている。(中略)これでも潔白を信じるという人はどうぞご自由に。
―――橋本崇載
橋本崇載 twitter(2016年10月13日)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
三浦弘行九段が対局中にスマートフォンを使い不正行為をしたらしい――そう報道されたのは二〇一六年十月十二日だった。
このとき私は、咄嗟に、「あ、三浦九段は何者かに陥(おとしい)れられたに違いない」と感じた。
そして次に、「彼は棋士たちに嫌われていたのだろうか」という疑問が湧いたのだった。
この将棋界、嫌われたら最後、時にとんでもないことが起こり得るのである。
かつて佐藤大五郎との対局で花村元司が「不可能着手」の反則をした。
ところが、嫌われ者の大五郎に何人かの棋士が詰め寄り、この反則はなかったものにされ、結局、花村の「待った」が通ってしまう。
そればかりか、悪者は花村ではなく大五郎になってしまったのである。
反則がまかり通ってしまった怪事件(佐藤大五郎、受難の記録)(「待った」あれこれ②)
事ほど左様に、時として理不尽がまかり通るのがこの世界。今回の「スマカン疑惑」にも何か似た臭いを感じた。
ところが翌日の十三日、次の発言を知るに至り、「これは本当にやったのかもしれない」と思い返さざるを得なくなる。
「数週間か1か月ほど前に、奴と対戦した人が不正行為をやられたと憤慨していると聞いた。恐らく、その後に決定的にクロ断定できるものを掴んで、踏み切ったのだろう。
将棋連盟はタイトル戦開催まで数日というギリギリのタイミングでよく英断したと思う。始まってからでは、より取り返しがつかない。
ファンには酷な知らせと思うが、個人的にも1億%クロだと思っている。奴が除名になるかどうかは知らないけど、俺は二度と戦う気しない。以前からソフト指し、モラル、カンニング、再三警鐘を鳴らしてきたつもりだが、最悪の形になりただただ残念だ。これでも潔白を信じるという人はどうぞご自由に」(橋本崇載 twitter 2016.10.13)
橋本八段は贔屓棋士の一人である。好きな棋士にかかる断定言語を突き付けられては、もうあきらめざるを得ない。
とにかく、「1億%クロ」は強烈だった。
それがどうだろう、発言から半月以上経過した十月三十一日、彼は、「私が三浦弘行九段の不正を断定した。という事実はありません」と言ってのけたのである。
私にはこの発言の方が「1億%クロ」よりさらに強烈だった。
以下、煩雑だがあえてその全文を掲げる。
「夜分に失礼します、橋本崇載です。この度の不正疑惑問題について、たびたび自分の名前が報道されていることにつきまして、抗議をさせていただきたく存じます。
こちらは、公式な声明ととって頂いて構いません。ただし、このアカウント自体は、私の公式アカウントではございません。
当アカウント、及び@SHOGIBARアカウントは、主にSHOGIBARの宣伝を目的に5年程前に当時のスタッフに作ってもらったものです。
この2つのアカウントにつきましては、これまでのスタッフとともにアカウントを共有しており、私が呟いたものもあればそうでないものもあります。
私が三浦弘行九段の不正を断定した。という事実はありません。そもそも、私はこの件の取材を一切断っています。また、私が将棋連盟に対し、三浦弘行九段の処分を求めた、という事実もありません。そもそも、騒動後に私が将棋会館に行ったのは対局の日以外には一切ありません。
これらの報道は全てでたらめです。事実関係の確認もなしに、人の名前を利用して記事にするというのは報道ではなく暴道と思います。芸能人ならよくある話、かと思いますが私は単なる一般人です。こんないいかげんなメディアに食わさせてもらっているわけではありません。
会ったこともない人間が、都合のいいときだけノーギャラの取材を申し込み、断られればまるで腹いせのように人を利用して、あたかもあったことの様に記事を捏造して掲載する。心の底から憤りを感じます。こんな新聞や雑誌、買う必要ないですよ。今後はスポンサー以外の取材は一切お断りします。
また、以前から再三にわたり危険を訴え続けてきた、将棋ソフトとの関わりがもたらした今回の騒動に関しては、怒りはとうに通り越して呆れ果てているというのが正直なところです。これまで一貫して、将棋ソフトとの一切の関わりを拒んできた私がこの問題に向き合う必要は全くないと思っております。
また、執拗かつ悪質と判断した私への誹謗中傷に関しまして、サイバー警察の方に届け出をさせていただいた旨ご報告します。尚、当アカウントは今後とも残しますが私からの情報発信は当分の間控えさせていただきます。
今、そしてこれからは、ひたすらに自分のやるべき仕事に全力を掲げていくのみです。 長文失礼致しました」(橋本崇載 twitter 2016.10.31)
「1億%クロ」はスタッフが勝手に呟いたのであり私はそんなことを言っていないと主張したいのだろうか。
「俺は二度と(三浦と)戦う気しない」と呟いたのも自分ではないというのか。
ならば聞こう。
こんな重大事を半月以上も伏せていたのはなぜなんだ。
「橋本崇載」の名で発せられた言葉の責任は橋本崇載自身が負って当然じゃないのか。
それを、被害者面してメディアを批判するとは……。
応援していた棋士の醜態を見せられるのは実に嫌なものである。
一連の騒動により将棋ファンの被った心の痛みはとてつもなく深い。
―――橋本崇載
橋本崇載 twitter(2016年10月13日)
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三浦弘行九段が対局中にスマートフォンを使い不正行為をしたらしい――そう報道されたのは二〇一六年十月十二日だった。
このとき私は、咄嗟に、「あ、三浦九段は何者かに陥(おとしい)れられたに違いない」と感じた。
そして次に、「彼は棋士たちに嫌われていたのだろうか」という疑問が湧いたのだった。
この将棋界、嫌われたら最後、時にとんでもないことが起こり得るのである。
かつて佐藤大五郎との対局で花村元司が「不可能着手」の反則をした。
ところが、嫌われ者の大五郎に何人かの棋士が詰め寄り、この反則はなかったものにされ、結局、花村の「待った」が通ってしまう。
そればかりか、悪者は花村ではなく大五郎になってしまったのである。
反則がまかり通ってしまった怪事件(佐藤大五郎、受難の記録)(「待った」あれこれ②)
事ほど左様に、時として理不尽がまかり通るのがこの世界。今回の「スマカン疑惑」にも何か似た臭いを感じた。
ところが翌日の十三日、次の発言を知るに至り、「これは本当にやったのかもしれない」と思い返さざるを得なくなる。
「数週間か1か月ほど前に、奴と対戦した人が不正行為をやられたと憤慨していると聞いた。恐らく、その後に決定的にクロ断定できるものを掴んで、踏み切ったのだろう。
将棋連盟はタイトル戦開催まで数日というギリギリのタイミングでよく英断したと思う。始まってからでは、より取り返しがつかない。
ファンには酷な知らせと思うが、個人的にも1億%クロだと思っている。奴が除名になるかどうかは知らないけど、俺は二度と戦う気しない。以前からソフト指し、モラル、カンニング、再三警鐘を鳴らしてきたつもりだが、最悪の形になりただただ残念だ。これでも潔白を信じるという人はどうぞご自由に」(橋本崇載 twitter 2016.10.13)
橋本八段は贔屓棋士の一人である。好きな棋士にかかる断定言語を突き付けられては、もうあきらめざるを得ない。
とにかく、「1億%クロ」は強烈だった。
それがどうだろう、発言から半月以上経過した十月三十一日、彼は、「私が三浦弘行九段の不正を断定した。という事実はありません」と言ってのけたのである。
私にはこの発言の方が「1億%クロ」よりさらに強烈だった。
以下、煩雑だがあえてその全文を掲げる。
「夜分に失礼します、橋本崇載です。この度の不正疑惑問題について、たびたび自分の名前が報道されていることにつきまして、抗議をさせていただきたく存じます。
こちらは、公式な声明ととって頂いて構いません。ただし、このアカウント自体は、私の公式アカウントではございません。
当アカウント、及び@SHOGIBARアカウントは、主にSHOGIBARの宣伝を目的に5年程前に当時のスタッフに作ってもらったものです。
この2つのアカウントにつきましては、これまでのスタッフとともにアカウントを共有しており、私が呟いたものもあればそうでないものもあります。
私が三浦弘行九段の不正を断定した。という事実はありません。そもそも、私はこの件の取材を一切断っています。また、私が将棋連盟に対し、三浦弘行九段の処分を求めた、という事実もありません。そもそも、騒動後に私が将棋会館に行ったのは対局の日以外には一切ありません。
これらの報道は全てでたらめです。事実関係の確認もなしに、人の名前を利用して記事にするというのは報道ではなく暴道と思います。芸能人ならよくある話、かと思いますが私は単なる一般人です。こんないいかげんなメディアに食わさせてもらっているわけではありません。
会ったこともない人間が、都合のいいときだけノーギャラの取材を申し込み、断られればまるで腹いせのように人を利用して、あたかもあったことの様に記事を捏造して掲載する。心の底から憤りを感じます。こんな新聞や雑誌、買う必要ないですよ。今後はスポンサー以外の取材は一切お断りします。
また、以前から再三にわたり危険を訴え続けてきた、将棋ソフトとの関わりがもたらした今回の騒動に関しては、怒りはとうに通り越して呆れ果てているというのが正直なところです。これまで一貫して、将棋ソフトとの一切の関わりを拒んできた私がこの問題に向き合う必要は全くないと思っております。
また、執拗かつ悪質と判断した私への誹謗中傷に関しまして、サイバー警察の方に届け出をさせていただいた旨ご報告します。尚、当アカウントは今後とも残しますが私からの情報発信は当分の間控えさせていただきます。
今、そしてこれからは、ひたすらに自分のやるべき仕事に全力を掲げていくのみです。 長文失礼致しました」(橋本崇載 twitter 2016.10.31)
「1億%クロ」はスタッフが勝手に呟いたのであり私はそんなことを言っていないと主張したいのだろうか。
「俺は二度と(三浦と)戦う気しない」と呟いたのも自分ではないというのか。
ならば聞こう。
こんな重大事を半月以上も伏せていたのはなぜなんだ。
「橋本崇載」の名で発せられた言葉の責任は橋本崇載自身が負って当然じゃないのか。
それを、被害者面してメディアを批判するとは……。
応援していた棋士の醜態を見せられるのは実に嫌なものである。
一連の騒動により将棋ファンの被った心の痛みはとてつもなく深い。