まさかこんな裏切られ方をするとは思ってもみませんでした。

―――ねぎ(Amazon レビュアー)

伊奈めぐみ著『将棋の渡辺くん(1)』(講談社、2015年)へのAmazonブックレビュー(2016.12.31)
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 二〇一六年十月に起こった三浦弘行冤罪事件により、将棋ファンは深い傷を負った。
 とりわけ、その首謀者が渡辺明だったことで、渡辺ファンの行き場が無くなったのである。

 いったい、この無念・失望をどこへ向けたらよいのか。
 渡辺ファンの苦悩は現在(二〇一七年四月)も続いている。

 渡辺の妻・伊奈めぐみの「別冊少年マガジン」連載漫画を単行本化した一冊『将棋の渡辺くん(1)』(講談社、2015年)は、当初、天才棋士の奇人ぶりをほのぼのと描いた好著として将棋ファンに受け入れられていた。
 ところがどうだ。
 「将棋の渡辺くん」はこの冤罪事件で何をしでかしたのか。
 それを知り、彼のファンは愕然としたのである。

 渡辺明って、こんな破廉恥な人間だったのか!

 ファンのこのどうしようもないやり場の無さ。
 それが『将棋の渡辺くん(1)』の書評に現れた。

 「脅迫、流言、詭弁、不正捏造、なんでもござれの将棋界の悪人の、派閥闘争とその内面を隠し世間の評判を得るために描かれたプロパガンダ作品。まさかこんな裏切られ方をするとは思ってもみませんでした」

 これは、二〇一六年十二月三十一日、「ねぎ」という人が Amazon に投稿したものだ。
 明日は新年という大晦日に、もうこれだけは言っておかないと年が越せない。そんな思いだったのだろう。
 この慚愧の念をどこかに刻み付けておかねば……。

 私にはねぎ氏の気持が痛いほどよく分かる。
 これまで十回にわたり、「渡辺明を読み解く」と題し、私は彼を好意的に取り上げてきた。
 渡辺明という棋士に、将棋界に於ける新しいもの、明るい希望のようなものを感じていたのである。

 まさかこんな裏切られ方をするとは思ってもみなかった。