「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪されても構わない」

―――渡辺 明

「産経ニュース」(2016.10.21)より
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 二〇一六年十月二十一日、衝撃的な報道があった。
 三浦弘行が竜王位挑戦権を剥奪され世間が騒然としている中、「産経新聞」がWebサイトでこう報じたのである。

 「さらに今月3日の対局でたびたびの離席と不自然な指し手に疑惑を抱いた渡辺明竜王(32)が、〈疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない〉と、連盟幹部に強く対応を求めていたことを(島朗常務理事が報道陣に)明らかにした」

 私はこれを読み、非常に危険なものを感じた。
 はっきり言って、これは対局拒否以外の何物でもない。
 棋士がそんなことを言うものなのか!
 そして、そんな言い草が棋界で通ってしまうものなのか?

 いやいや、これまで熱心に応援してきた渡辺明がこんな暴言を吐くわけがない。
 私の信ずる渡辺明だったら、きっとこう発言するはずだ。

 「三浦九段にソフト不正の疑惑が出ており、実は私も疑っています。しかし、どんな相手とでも戦うのが棋士の務め。幸い、今度の竜王戦七番勝負には金属探知器の導入が決まっており、不正の余地はありません。三浦さん、人間同士、正々堂々、お互い力を振り絞って戦いましょう」

 渡辺がこう言ってくれれば、この七番勝負は空前の盛り上がりを見せたはずで、三浦にとっても潔白を訴える格好の場になっただろう。
 ところが――

 渡辺明はこの「対局拒否発言」を長らく否定しなかった。
 ようやく釈明らしきものを自らのブログに載せたのは、報道から四ヶ月目の二〇一七年二月十三日。
 曰く、「発言された方のせいにしたくなかったので、10月からずっと否定せずにいました」。

 ふざけるんじゃない!
 馬鹿も休み休み言いたまえ。
 「発言された方のせいにしたくなかった」などというのは二の次三の次ではないか。ブログという場があるのだから、こういうのは報道された直後にはっきりと否定すべきなのだ。何を勘違いしているのか!

 ただし、渡辺が二〇一七年二月十三日に否定したのは「タイトルを剥奪されても構わない」の部分であって、「疑念がある棋士と指すつもりはない」発言については触れていない。

 なんだ、結局「対局拒否」はしたのか!

 この釈明により私はますます渡辺明という人物の性格に疑問を深めたのである。
 世紀の冤罪事件を主導した責任を取らず、タイトル剥奪の世論を恐れて、今になって「剥奪されても構わないとは言っていません」と弁明する。
 いかにも小人物。
 私は改めて自分自身に問いかけたのである。

 こんな奴をなぜ今まで一生懸命に応援してきたのか!
 三浦弘行ではないが、私には人を見る目が全く無かった。