三浦くんって、もともと強いんだから誰かが嫌がらせで言いふらしたんじゃないかしらん。

―――葉直子

「将棋でスマホ」(林葉直子オフィシャルブログ「最後の食卓」2016.10.15)
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 われわれ将棋ファンは多かれ少なかれ棋士を偶像化している。それで、「竜王位挑戦権剥奪事件」の根本原因を探るにしても、「いくら何でもそんなことはないだろう」と、可能性の一部を無意識に捨てているようだ。

 と言うのは、少し前、吉岡英介という方がこんなコメントを寄せてくれたからである。
 私が考えもしなかった見解で、ちょっとショックを受けたのだ。

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 この事件はソフトが強くなってきた歴史の中でのヒトコマではありますが、事件の本質はソフト問題ではないと私は考えています。
 ソフトの問題なら、渡辺明からいくらでも弁明が出てくるはずです。しかしいまだに何の説明もありません。背景に、決して口にできないことがあると思われます。
 事件は単純で、渡辺明は、ソフトの幻影を隠れ蓑にして、あるいは大義名分に押し立てて、単に優勝賞金4320万円と翌年の自動的な竜王タイトル戦出場権、合計6000万円を失うまいとして、三浦九段を常務会に告発し、同時に文春に密告したのだと思われます。つまりシンプルに 「金の問題」です。対三浦直前3連敗の不安が、渡辺明夫妻に重くのしかかっていたのでしょう。
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 「久保利明・渡辺明・橋本崇載、一人の棋士を〈イカサマ野郎〉呼ばわりした連中の蝕(むしば)まれた心(三浦弘行冤罪事件・28)」に対する吉岡英介氏のコメント

 最初にこれを読んだとき、正直ちょっと飛躍しすぎではないかと感じもしたが、将棋以外の世界に目を移せば、こんなことは良くあること、私もやはり棋士を偶像化していたのだろうかと思い直したのである。

 それから数週間して、ふと林葉直子の言葉を思い出した。
 事件直後、彼女はこんなことを言っていたのだ。

 「三浦くんって、もともと強いんだから誰かが嫌がらせで言いふらしたんじゃないかしらん」

 「将棋でスマホ」(林葉直子オフィシャルブログ「最後の食卓」2016.10.15)

 これは吉岡氏の見解とダブるのではないか。
 つまり、渡辺明は確信犯だったと……。

 そこでまた思い出したのが、Amazon で読んだ書評である(伊奈めぐみ著『将棋の渡辺くん』へのレビュー)。

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渡辺明  
・三浦に3連敗
・一派や知り合いの記者を使い不正疑惑の噂を広める
・連盟に不正疑惑記事を書かれると大変な事になると話を持ち込む(ただし自分がリーク元である)
・知り合いの文春記者に疑惑情報をリーク
・千田率や離席率等の捏造データを準備する
・あいつを降ろさなければ竜王戦に出ないで大変な事にしてやると連盟を強要(論理が逆転)
・秘密会議に羽生を呼びつけなんとか言質をとりつけその後の根拠とする
・大変な事になりました(第三者を装う)

これは自分の地位や名誉を守るために不当に他人を陥れる悪人面のエセ棋士のお話しです。。。
                      (JunkLand「エセ棋士のお話し」2016.12.28)
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 つまり、渡辺明は自分の利益のために三浦弘之を誣告(ぶこく)した確信犯だという見方。
 そして吉岡英介氏の、「事件の本質はソフト問題ではない」「事件は単純」「シンプルに〈金の問題〉」。
 林葉直子の、「誰かが嫌がらせで言いふらしたんじゃないかしらん」。

 もしこれらが「真相」だとしたら、これは将棋ファンの最も受け入れたくないことだろう。
 竜王戦七番勝負の直前に渡辺竜王が三浦挑戦者に三タテを食らった。これは事実だが、将棋ファンはこれを軽く見て、事件と切り離したがっている。

 だが、将棋の世界を離れ、世間のいろいろな事件を見るなら、これは紛れもない「犯行動機」なのだ。