「さあ続いて第四位ですが、その前に去年最後の開催となったこちらをご覧下さい」

―――伊藤かりん(「将棋フォーカス」アシスタント)

NHK-Eテレ「将棋フォーカス」2018.1.28
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 将棋界二〇一七年の出来事として「冤罪事件の後始末」と「佐藤天彦名人 vs ponanza」を外すことはできない。
 その他に藤井聡太最年少四段フィーバー、そして羽生善治の永世七冠。
 この四つが飛び抜けて大きかった。

 従って10大ニュースとなれば、これらがベスト4のどの位置になるかが最大の関心事となる。
 そんな気持で「将棋フォーカス」版ベスト10を見ていたら、第十位から第五位まで発表した後、突然アシスタントの伊藤かりんが妙なことを言い出したのである。

 「さあ続いて第四位ですが、その前に去年最後の開催となったこちらをご覧下さい」

 あれ、
 これ、どういう意味?

 叡王戦。「佐藤天彦名人 vs ponanza」。二局とも現役名人の完敗。
 四百余年にわたるプロ将棋界。その歴史的大事件を、なんと「番外の話題」として扱っているのだ。

 四位は中村太地の王座獲得。
 三位、加藤一二三引退。
 二位、藤井聡太の29連勝。
 一位、羽生善治の永世七冠。

 これが NHK のランク付けだった。
 叡王戦はランク外。谷川会長辞任・理事解任投票・カッコ付き和解など「冤罪事件の後始末」には触れもしない。

 見事である。
 忖度(そんたく)、ここに極まる。

 まあ、考えてみたらこれも NHK らしいと言えるだろう。
 なぜなら、「竜王位挑戦権剥奪事件」の大激震に見舞われた二〇一六年の場合、毎年恒例の企画であるにもかかわらず、「将棋界10大ニュース2016」は放送されなかったからだ。企画そのものを取り止めてしまった。

 「忖度」はもうこのときから始まっていたのである。