どうしていいか、分からないのである。

―――先崎 学

第65期王座戦二次予選「三浦弘行 vs 先崎学」自戦記 第三譜(「日本経済新聞」2017.3.5)より
―――――――――――――――――――――――――――――――――

 「三浦弘行 vs 先崎学」の第三譜。ようやく手の説明が出てきた。
 と思ったらそれも最初の十数行だけ。
 今度は佐藤康光新会長の話になった。

 現役バリバリのトップ棋士が会長を務めるのはどうんなだ?
 連盟の運営は棋士以外の有能な人材を入れて任せた方が良いのではないか。

 そんな意見を先崎自身よく聞く。
 だが……。
 そこには大きな壁があるのだという。

 「常務理事に外の力を入れるには、まずは公益社団法人日本将棋連盟の定款を変える必要がある。定款変更には、会員の三分の二以上の賛成が必要なのである」

 こう彼は書くのだが、それで良い結果が得られるのならそうすればいいじゃないか。簡単な話だ。どこが壁なんだ?
 外野はそう思ってしまうんだが……。
 ところが実際は違うというのである。

 「棋士は個性の塊であり、意見も多様であり、だからこそこの壁を突破するのは気が遠くなることなのだ」

 そして最後に、

 「どうしていいか、分からないのである」

 これが第三譜の締め括りの言葉となった。