July 11, 2007

写真撮影のお話

ダークなキッチンもまた良し写真撮影は難しくもあり、楽しくもあります。

私はまだまだ修行中の身で、なかなか良い写真が撮れておりませんが、今日はちょっと写真撮影の思い出話などを・・・。



Miguel Jimenez私の撮影技術は、模型に特化しており、そのテクニックのほとんどは「ミセス・クロケッタ」を母に持つモデラー、ミゲル・ヒメネスから教えてもらったものです。

ミゲルは以前、音楽出版社に勤めるカメラマン&グラフィックデザイナーで、多くの広告写真やスペインの歌手・タレントのグラビアを撮影しています。彼は写真のプロなのです。




Luciano Rodriguezもう一人の写真の師は、スペイン・カナリア諸島在住のモデラー、ルシアーノ・ロドリゲスです。

彼はたまたま私と同じ一眼レフ・カメラ(キャノンEOS-kiss3)を持っていたこともあり、彼の教えてくれた模型撮影用の設定や撮影環境の作り方は、すぐに役立つものばかりでした。

そんなわけで私の撮影機材はスペインで購入したものが多かったりします。もっともそれらの多くは「中国製」「台湾製」そして「日本製」だったりしますが・・・。


彼の所属模型クラブCMTの撮影ブース私の考える、理想的な「模型写真」とは、

「作品の全てにピントが合っている」
「適度な陰影でモノとしての形状がよく判る」
しかし、
「影は弱めで、影の部分のディティールも完全に確認できる」
そして、
「色彩が自然で」
「表面の状態が確認できるほど、画像に十分な大きさがある」

これらを全て満たした写真が、私の考える理想的な模型写真です。

全体の方向性としては、
「実物以上に、モノの色とカタチを見る者に伝える」写真が、良い模型写真だと考えています。
2次元の写真で、3次元の立体である模型を表現するためには、その存在感は実物同様では不足で、必ず「実物以上」でなければならないと考えます。そして、どのようにして、その存在感を実物以上に増幅するのか、そこが撮影者の腕の見せ所になると思います。実物が一つだからといって、誰が撮影しても同じ結果になるわけではないのです。

私はこういう写真を模型誌で見たいと願っていますが、残念ながら、日本の模型誌はそのようになっていません。同じ作品でも日本の模型誌と海外の模型誌では、明らかに、遥かに、海外誌の方が魅力的な作例記事になっているのです。これは決して舶来びいきではなく、海外誌の編集者は(自分で撮影した写真でないにもかかわらず)最も良い画像で読者に見せることに最大限の配慮を払っており、「それは印刷屋さんにお任せしてますので」と言ってしまう日本の編集者様とは雲泥の差があるのであります。

インタニアは完全にプロフェッショナル。どのような写真でも撮影できる。あとは編集者が的確な指示を与えるのみ。記事用写真の多くを撮影しているインタニアさんは、道具も技術もある写真のプロフェッショナルで、その高い技術は私も尊敬し、憧れるのでありますが、彼らの撮影するハイコントラスト写真では模型の状態が判りにくく、イメージ映像としてはともかく、良い作品を判りやすく見せるという点ではいかがかと思います。読者の多くは、模型のある「良い景色」の写真が見たいのではなく、良い作品を詳しくハッキリと見て「自分の製作の参考にしたい」と願って、本を買っているのではないかと思います。
私はこれまで、お世話になっている模型誌編集者様各位に、何度も意見具申させていただいておりますが、話せば話すほど、私の考えるあるべき方向性と日本の編集者様の目指す方向性の違いを感じるのであります。

余計なことを申しました。

***
料理の写真はアソビが多いのですが、アソビだからこその熱心さがあります。
特に、お腹を空かして早く料理を食べたい子供たちを制して、写真を撮るのはかなりのわがままな情熱を必要とします。

でも小ブログに使用する画像は小さいので、アラがあっても見えません。
それよりも全体の雰囲気重視で撮影しております。

具体的には、絞りを開いて(F2.0)焦点を狭め、ぱっと見て『あ、美味しそう』という感じに撮影しています。

あとで画像加工することを考えて、この時点では露出は抑え目(-1〜±0)に撮る方が、白飛びがなくて良い結果になるようです。また三脚を使わないことが多いので、絞りを開いた方がシャッタースピードが短くなって、手ぶれが減ります。
(模型写真は照明セットを組むので、露出±0が基本。編集者が補正してくれるとは限らないからです。)

画像加工しない場合は、この時点で適正な露出で撮影します。絞りを開いているので、シャッタースピードはわりと速めですが、環境が暗い場合などは必要に応じて三脚+セルフタイマー(orリモコン)を使用します。

スイカのフルーツポンチとりあえず撮影した結果がこれ、スイカのフルーツカクテルです。

これは夜、蛍光灯の下で撮影したので、ホワイトバランスを合わせても青白いですね。
カメラは太古の昔に買った「キャノン・パワーショットA20」。スナップ写真用の100万画素デジカメです。
実物はたいへん色鮮やかで、美味しそうなのですが、写真では巧く表現されていません、ダメダメです。

これを模型撮影同様に照明セットを組んで撮影すると、遥かに良い結果になることは間違いないのですが、しかし・・・早く食べたいじゃないですか。腹ペコの子供たちは、そんなに待ってくれません。
「あとはお父さんに任せなさ〜い」と頼もしいところを見せ、パチパチッと撮った後は食べまくるのみです。

美味しく食べた後は、この味気ない画像を、本来の美味しさに相応しくなるように加工します。

私が使っている画像加工ソフトは「フォトショップ・エレメンツ」です。
これは確かスキャナーにオマケで付いていた画像加工ソフトで、現在ではより改良版の「エレメンツ2」もあるそうですが、ワタシャずっとただの「エレメンツ」。「光るヤマト」の画像も全部これで作成しています、ガッカリですか?

「エレメンツ」は、とりあえず私の使用に関しては十分な機能があり、画像に関して出版社からお褒めの言葉はいただいても、苦情をもらったことは一度もありません。まだまだ行けます、大丈夫です。


スイカ1「エレメンツ」には便利な自動の画質調整機能があり、その「自動レベル補正」をこの青白いスイカ画像にかけます。

←すると、こうなります。

肉眼で見た色彩にかなり近づきました。



スイカ2もっと華やかに、色鮮やかに、

「明るさ」+20
「コントラスト」+20
「彩度」+10

色鮮やか過ぎて、なんだか毒々しくなってきました。


スイカ3ならば戻って、今度はもう少し微妙な調整で。
レイヤーをコピーして、
1枚目を「ソフトライト」不透明度80%
2枚目を「スクリーン」不透明度70%にしてみました。

やっぱりウソっぽいですか?てゆーか、さっきのとあんまり変わりませんね。
いずれにせよ「過ぎたるは及ばざるが如し」、ちょっと画像加工が強すぎるようです。


でも、だんだん楽しくなってきて、ちょっとおアソビ。
もっとなんかその〜「食べて美味しかった、楽しかった」という気持ちを入れたいですね、はい。夢のある画像を目指します。

スイカ1の背景を複製して、[フィルタ]>[ぼかし(ガウス)]。
さらにそれを3枚複製して、
上から「オーバーレイ」不透明度80%
2枚目「乗算」80%
3枚目「スクリーン」100%

夢のあるスイカ画像・・・・・・だんだん荒っぽくなってきました。

ちょっとボヤけすぎたので、さらに背景を複製してレイヤーの最前面にし、輪郭を出したいスイカ中心部を楕円形に選択、[選択範囲]>[境界をぼかす](10pixel)、[フィルタ]>[アンシャープマスク]60%、そのレイヤーを「スクリーン」不透明度60%。ここで一旦全レイヤーを結合して、それを複製。「ハードライト」にして好みのバランスを探り、不透明度20%。
最後に画像を統合して、出来上がり〜。

まぁナンと言いますか、その〜、夢のある画像にはなったと思うんですけどね、はい・・・。SHiGE
  

Posted by marutake_shige at 14:20Comments(10)TrackBack(0)