「2019年7月21日(日)に投開票が行われた第25回参議院議員選挙。投票が締め切られた20時より、〝畠山理仁 ――泡沫候補〟(=無頼系独立候補) の「独自の戦い」を追い続けた20年間を記録した著書『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』 で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞したフリーランスライター――が、開票結果を待つ候補者のもとへ直撃取材生中継を行いました。」労働者党代表の林紘義も、その生中継の二番目として、9時前後から自宅で電話インタビューを受けました。以下、その記録です。

 

 

畠山(以下「畠」)「こんばんは、夜分に失礼します。フリーライターの畠山と申しますけれど、先日は個人演説会でどうもありがとうございました。林さん、こちらの声は聞こえますでしょうか。」

林「今晩は。はい、聞こえます、今テレビ消しましたから」

畠「今まだ速報が出ているところだと思いますが、今回の選挙を振り返ってみて、どのような感想をお持ちでしょうか」

林「まだ結果が出てないから分りませんが、不完全燃焼ですね。」

畠「不完全燃焼?」

林「一言で言えばね。」

畠「一言で言えば、不完全燃焼。それはどういったところが、林さんご自身では不完全燃焼と?」

林「いろいろと立ち遅れたし、大事なところでヘマしたりとかです」

畠「大事なところでヘマというのは、どんなこと?」

林「私たちは、NHKのテレビ重視していたんです、17分あるじゃないですか。」

畠「ああ、政見放送、はい。」

林「それで、色々ありまして、私なんかは、失敗したから、期待していて、一番大事だということで考えていて失敗したから、票が伸び悩むだろうという予想ですね。」

畠「政見放送がポイントというか、有権者に訴える方法としてはすごく有効だと思ってらっしゃったと。」

林「有効というか、大事だと。」

畠「大事だと思っていたんだけれども、そこがもう少し、満足のいく政見放送にはできなかったということなんでしょうか?」

林「もう少しどころじゃなくて、最悪でした。」

畠「最悪?」

林「最後のころ新宿、渋谷などの多くの人々に街頭で訴えたんですが、そんな形や内容で一貫してやれたらよかったと思いました。そのときは、とても迫力もあったし元気があった、まあそういうことです。」

畠「街頭の迫力のある演説が政見放送でもできていたら、もっと有権者の方に伝わったんじゃないか、ということですね。」

林「そうですね。」

畠「なるほど。林さんは今回、労働者党としては10人の方が立候補されていますけれども、この選挙の資金というのはどのようにして集められたんでしょうか?」

林「この前、個人演説会の時、説明しなかったですか。」

畠「この前説明していただいたんですけれども、今番組をやっていて、初めて林さんのお話を聞くという方もいらっしゃるので、あらためてになってしまうんですが、うかがえればと思います。」

林「私たちは、カネ集め、一言で言いましたら、『長者の万灯より、貧者の一灯』を合い言葉にやりました。」

畠「長者の万灯?」

林「これ、宗教の言葉なんですよ。」

畠「宗教の言葉?」

林「『長者の万灯』の『灯』は灯りですね。」

畠「はい、わらしべ長者の長者に、一万、二万の万にともしびで、万灯」

林「そうです。それに、『貧者の一灯』。灯というのはね、お寺にカネを寄付するというもんなんですね。」

畠「ああ、なるほど。お寺に寄付すると灯篭が立つみたいな、そういうことですね。」

林「そうそう、そういったことなんです。だから、例えて言えば、金持ちの、百万灯(円)とか1千万灯(円)より、貧者の1万ずつが大事だと。供託金が4200万かかりましたから、4200人の働く皆さんのカンパで集めるというのを基本的な方針としてやりました。」

畠「それで、4200人の方からいただけたんでしょうか?」

林「2万とか3万する方もいますから、4200万ということは一人一人ということではないですけど、最終的には4200万円集めて選挙に参加できました。集まらなかったらやれないですから」

畠「そうですね。これもこの前少しお話しうかがったんですけれども、あらためてになってしまうんですが、10人の方に立候補してもらうというのも、とっても大変だったんじゃないですか?」

林「大変でした。小さな組織ですからね。」

100人以下の組織だけれども、そこから10人の方に出ていただいたということですね?」

林「そういうことですね。」

畠「説得は相当苦労したんじゃないですか?」

林「はい、しました。」

畠「そんな小さな組織から10人の候補者を出した。何が一番、立候補されるのにあたって、皆さんお困りだったんですか?」

林「若い人、仕事している人は、落ちたら仕事を辞めてやるということになりますから、選挙をしたあと、どうやって生活するとかがある、だから若い人は候補者になることには障害というか、抵抗が強いですね。」

畠「参入障壁が高いという、」

林「障壁が高いですね。だから結局、高齢者が中心になりました。」

畠「なるほど。」

林「それに今時、積極的に候補者でやろうという人はなかなかいないんです。」

畠「どうして、積極的に立候補するっていう方が少ないんだというふうに、林さんは思われますか?」

林「サークルの時期が長かったからですね?」

畠「なんの時期が長い?」

林「サークル、サークル」

畠「サークル、はい、はい。」

林「30年ほど前、一回みんなやったんですよね、国政選挙。」

畠「30年ほど前に一回労働者党で国政選挙に出た。」

林「何回も何回も出ました。そのあとサークルでやってましたから、やっぱり、サークルでやってますと、意識が後退するんですね。」

畠「意識が後退してしまう?」

林「こういう社会ですからね。」

畠「立候補する意思もなくなっていってしまう、と?」

林「まあ、立候補というか、もっと根本的に運動を続けていこうという気持ちが後退していく、やっぱり環境の影響を受けますから、人間っていうのは。」

畠「じゃあ、だんだん、そのなんというんですかね、強い衝動がなくなって弱っていったということなんでしょうか?」

林「そうじゃない人もいます。いるんですけれども、先頭に立ってやってくれるという人が少ないというのは、そういうことだと思います。」

畠「うーん、そうか。でも、立候補するのって権利じゃないですか?」

林「権利って、どういう意味ですか?」

畠「あの、被選挙権っていうのは」

林「いや、権利でやっているんじゃないんです。」

畠「権利じゃない?」

林「権利じゃないです。積極的にやる意思がないんですからね。権利以前の別の問題でしょ。」

畠「やる意思がないと?」

林「やりたくないとかね。」

畠「やりたくない?」

林「候補者でやるっていうのは大変なんですよ。」

畠「はい、はい、はい。」

林「そういうふうに考える人が多いんですよね。意識が後退するとね。家族関係もあり、そういうことでいっぱい、やっぱり重圧だと、みんな考えるんですね。そこを決心してやるっていうのは、やっぱり並大抵じゃないですね。そういうことで説得するのも苦労しました。」

畠「なるほど。それでも今回10人で選挙を闘われて、一番やはり闘ってよかったなあって思われた瞬間というのは、どんな時だったんでしょう?」

林「やっぱり候補者なんかで行って、支持するっていうサインを送ってくれる方とかね、反応がある時は、そりゃあ一番うれしいですね。」

畠「その時が出てよかったと思われる?」

林「出てよかったと思えるのは、要するに、勝ったら思いますけどね。勝つというのは、私たちの場合、一人議席を比例区で占めたらと、100万票取れたらですね。それまでは、まだイイとは思えませんね。」

畠「なるほど。」

林「大変なカネも使ったりしていますからね。」

畠「はい、はい、はい、なるほど。今回は特定枠をお使いになってらっしゃいますよね。この特定枠を使われた意図というのは、どんなところにあったんでしょう?」

林「色々な人を考えたりしたんですが、伊藤恵子さん、しっかりした女性ですから。そういう女性がやっていただければアピール力があると思いました。非正規労働者なんか、そして一番貧しいとか、差別待遇を受けているのは女性労働者ですから。そういう意味もありました。そういう働く人々に訴えられるかと考えてですね。

畠「なるほど、それで伊藤さんを特定枠に指定されて、林さんは特定枠に指定しなかったということですよね。これはれいわ新選組の山本太郎さんとすごく戦略的に似ているんじゃないかと思うんですけれども?」

林「全然違います。」

畠「全然違いますか、そうですか。」

林「私は、ご承知かどうか知りませんけれど、私は高齢なんです。」

畠「あっ、80歳。」

林「高齢です。6年ありますよね、任期。」

畠「はい、参議院は任期6年です。」

林「そのころは死んでるかもしれない。」

畠「ちょっと待ってください。死なないです。」

林「そりゃあ分かりません。70代の時、大腸がんと肺がんを切ったりして、今はもう5年たって、再発も転移もないっていうことにはなっていますが、いつ死んでもいい年です。」

畠「じゃあ、寛解状態にあるっていうことですね?」

林「でも、そういうことがあったり、他にも健康不安はありますから。私は伊藤さんを押し上げる役割です。」

畠「なるほど、そういうことがあったんですね。わかりました。」

林「山本さんは自分を3番目にもっていって、300万票取って自分も当選するつもりかどうか知りませんが、私はそんなふうに思っていません。」

畠「なるほど、とにかく、伊藤さんを押し上げるために闘ったと。」

林「そうですね。」

畠「わかりました。」

林「今のところ、我々は山本さんみたいに300万票取れるなんて、そんな党だとはまだ思っていません。100万票取れたらいい方でね、実際にはその半分ぐらいじゃないですか、分からんけど。見通しがね、私の見通しはよくてそんなものです。」

畠「なるほど。」

林「だから、闘争がもうちょっと自分でも納得いけば、もう少し勢いが出たかと思って、うまくいかなかったら私の責任だと思って落ち込んでます。」

畠「落ち込んでるんですか。政見放送がもっとうまく行っていれば、ということですね。」

林「私の最後のころの街頭演説を聞いてくださった方は、勢いとか、安倍政権の消費増税の「転用」とか、目玉政策の全世代型社会保障もいんちき社会保障で、そんな邪道なポピュリズム悪政と闘い得ない野党を批判して、これじゃ野党勝てないと、そういうことをはっきり分かり易く演説していましたから。一貫して、そういう闘いをやれたら良かったとか、やるべきだったとか。あとの祭りですがね。」

畠「そうですか、分かりました。」

林「いろいろ『判断ミス』があったり、スケジュールで追い詰められたとか、色々言い訳を言えばあるんですが、結果が出せなく、党の皆さんにも、応援してくれた皆さんにも本当に申し訳ないと思っています。」

畠「なるほど。」

林「いや、結果はまだ分かりませんが、今夜は落ち込んでおり、そんな心境です。」

畠「分かりました。すいません。選挙お疲れ様でございます、そんな時に、ありがとうございました。」

林「なんか実況みたいなこととか言っておりましたよね。」

畠「実況しています、今。インターネットで。」

林「まあ、全国にどう伝わるか分かりませんけれども、正直に言うしかないから言っております。」

畠「ありがとうございます。」

林「いえ。」

畠「では、またよろしくお願いします。今日はありがとうございました。」