創業文化元年(1804年)。206年続く割烹だ。
写真左。真っ赤なコルベットで訪れるの図。左手奥が玄関。右は帰り際、雨に佇むキャディを眺めるの図。
昼はどんぶりや定食をテーブル席や小上がりで気軽に食える。勤労者や老人に愛されている地元密着店だ。
老人がひとりで食事に来る光景に驚いた。昔馴染みの献立を美味しそうに味わっている。中之条町の老人は“ハイカラ”なんだなぁ~と感心した。
老舗割烹ならではの正統派ダシを使った丼ツユが素晴らしい。揚げ物がまたうまい。
“割烹で昼メシ”ってのがイイねぇ~。
珠玉のメニュー全19種類を披露するぜ
ソースカツ丼
竹乃家の看板メニュー。
サクッと揚がった薄めのヒレカツを、ウスターソースが少し入った絶妙の丼ツユにジュッと浸し、キリリと炊いたコシヒカリに載せる。
カツ、丼ツユ、ご飯のステキな三重奏。
サックリと歯を愛撫する衣、口腔内で暴れる肉汁、創業206年の老舗割烹ならではの正統派ダシが効いた丼ツユがからんだかためのふっくらご飯。
味蕾は至福に包まれる。丼ツユに浸してもヒレカツはサクサクだ。
旅行で群馬を離れると必ず舌に蘇る。麻薬のようだ。看板メニューだが、オレにとっても竹乃家№1。
しかし、たまに肉と衣の乖離が起こり、そこに丼ツユが染みすぎたり、ご飯に丼ツユがかかりすぎてしょっぱかったり、ご飯が軟らかかったり。
そんな時は残し
「丼ツユしょっぱかったよ」「ご飯軟らかいね」と指摘したりする。
もちろんうまい時は
「肉汁がジュンッとサイコー」「丼ツユが絶妙だねぇ~」「ご飯がキリッとして瑞々しかった」「味噌汁うまいねぇ」と絶賛する。
「ありがとうございます」嬉しそうな若女将、大女将。
とり丼
鶏モモ1枚を6つに切り、くわ焼き。
粉なしが照り焼き、アリがくわ焼きだ。タマネギも一緒に焼き、どんぶりに豪快に盛る。ボリュームが嬉しい。青ネギをトッピング。
とろみが効いたグッと甘いこの味を猛烈に欲しくなる時がある。うんとハラが減ってる時、寒い時は特にそうだ。
今焼けました!って絶妙の火入れ。
ガブリ!うまい。でかく切った肉の醍醐味だ。
とても柔らかく、肉汁がじゅわ~っピューッと口の中を跳梁跋扈する。
脂と肉汁ととろみがうんとご飯にからまり、最後は下品にずるずるずるっとメシを一粒残らず食べる。どんぶりには鶏の脂とエキスがピカピカ光っている。
竹乃家メニュー№2。№1を脅かす№2だ。ご飯との相性はソースカツ丼に及ばない。
だが、たまに肉の中心がナマで冷たかったり、「いつもの鶏じゃな~い」と思うほど肉がかたかったり、微かに匂いがあったり、タレがしょっぱかったり、ご飯が軟らかかったり…プロにあるまじき不安定ぶり。
味が一定してないのだ。そんな時は残し
「肉がナマだったよ!」「鶏、かたいねぇ~」「しょっぱいねぇ!」と文句をつける。
もちろんうまい時は
「この甘い味がイイねぇ~」「火入れがちょうど良くって肉汁がドバッと出たよ」などとニコニコ褒める。
文句を言う顔と別人のようだ。
カツカレー
熱々ご飯に揚げたてサクッとロースカツ。
よ~く煮込んだポークカレーがカツ半分にかけてある。ご飯の白、カツの狐色、カレーのカレー色。見事な造形美だ。
カレーとカツを一度に食えるなんて凄い。「夢のような出来事だ!」子供の頃はそう思った。今じゃ食いたい時に食える。大人になってヨカッタ(!?)
サックリと油切れの良いロースカツ。
一番好きな右から2切れ目。脂と層になってる部分だ。カレーのついてない所をガブリ。うまい。ご飯。しばらくカツライスを楽しむ。そしてカレー。サイコーだ。
大盛りを食ったあとでも胸焼けしないのは嬉しい。
だが、たまにカレーが煮詰まってしょっぱかったり、カツを揚げすぎて肉がかたい時がある。そんな時は残し
「しょっぱかったね!」「肉かたいねぇ」と言う。
もちろんうまい時は
「カツがサクッとうまい! 厚くて肉汁がビュッと出たよ」「カレーがよく煮込まれてうまいねぇ~」と喜ぶ。
「青木さんがコメントする時は緊張します」
アレッ! いつも聞き流しているように見えた若女将が緊張していたとは!
まさに青天の霹靂だぜ。
たまにとんかつ定食くらいカツがでかい時がある。
「今日はカツがでかかったねぇ」
「わかりましたァ~?」
またカツカレーを食いたいって気分になるぜ!
肉丼
以前は感心しなかったがここ半年で№4にのし上がった実力派。
旅行に行って最近思い出すのはソースカツ丼じゃなくこの肉丼だ。それほど上昇著しい。
厚さ5mm(?)の網焼き豚ロースにしょっぱめタレをからませる。
端の焦げたトコが香ばしい。到着の5メートル手前から香ばしさが鼻腔を襲う。嬉しくて気絶しそうだ。
上に載った海苔の香りがすてきなアクセント。
3枚のうち大判が1枚か2枚ある。大判にしかない色の濃い赤み部分が強い旨味だ。
タレとご飯の相性はソースカツ丼の丼ツユに負ける。
出来の悪い時はない。
うまいからこう言う。
「端の焦げたトコが香ばしくてイイねぇ~」「ロースの脂がうまかったァ~」
「ウフフ、ありがとうございますぅ」