1,360円 / 肉丼2 / 2人
「かつ丼二つ!」
堂々と注文した。焼肉屋なのにデカいかつ丼で有名な店だ。
300gの肩ロースカツと卵と玉葱。ボリュームだ。
「かつ丼終わっちゃったんですよ~」
「えっ!」
な~ぁんとおっしゃるウサギさんっ
歩道工事による片側通行でだいぶ待たされた群馬県東吾妻町内の国道145号。イライラした。ムカついた。
あっちコッチで道路を掘り返しては埋めている。マッチポンプだ。ムダな仕事を作って雇用を増やす。絵空事の中でこそ世の中は巧くまわるのか?
12時10分。
やっとたどり着いた“かない亭”。この苦労も久々かつ丼で報われる、と思われた。
目の前が真っ暗になった。どうしたらいいんだ。
「じゃ肉丼ふたつ」
気持ちをすぐに切り替えた。来た。
山盛りだ。あふれんばかりに盛られた肉丼。壮観だ。
カツ丼の勇姿には敵わないが、かなりな肉迫ぶり。カツ丼に次ぐ男前などんぶり。
オレと良い勝負。ひょうきんな背広のネーム“オトコマエ”が如実に物語る。
「おぉ凄い。ボリュームあるね」
「はい、うふふふ」
「写真撮ろッ」
「フフフフ」
お~っ!蓮っ葉な良いカンジのネーチャンだ。
厚めの薄切り豚バラ肉。てんこ盛りだ。
喰らう。
甘い。醤油が足りない。砂糖が多い。ミリンが感じられない。
長ネギと玉葱。ダブル葱で甘いのか。
3切れ食ってもメシが現れない。
どうにか隙間を見つけてメシに食らいつく。熱々じゃない。軟らかめだ。
どんどん食う。ドンドン減る。
メシが熱けりゃもっとうまいのに。メシがかたけりゃもっともっと美味しいのに。
脂と油と調味料のからまった丼底に残ったご飯がうまい。
最後はズルズルズルッとかっ込んだ。
しょっぱさ欠如と思われたが食べきったらちょうど良い。満腹感も丁度いい。
会計。
「肉丼もボリュームがあっておいしいねぇ~」
「ありがとうございます へへへへ」
おぉこのテキトーな、気だるいカンジが良いねぇ~。こういうネーチャン好きだぜ。
前回の小さくて残念だった焼肉丼セット。ボリュームの肉丼で挽回した。
山盛りがこの店の真骨頂だ。
あとで調べたらカツ丼は数量限定だった。
「かつ丼食いにまた来るぞ。開店の11時と同時に!」
重大な決意を胸に退店した。
帰りの国道145号は嘘みたいにスムーズだった。(2011.8.19)