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 初の試み“鮭缶釜飯”。
 最近のネコはキャットフードなるものを食べるらしい。オレが子供の頃は残り物を食わせていた。
 冷飯に冷たい豆腐とワカメの味噌汁をかけたり、カツブシと混ぜたり。それでも当時のネコ達は喜んで食べてくれた。
 「ミー!ご飯だよ~」と呼びかける。
 「チビ!」や「ミケ!」や「ぶち!」や「ピ~ッ!」って名前も居た。
 「ニャ~ッ!」嬉々として飛んでくる。
 ご飯をくれる母や可愛がる姉になつき、嫉妬して辛くあたるオレにはなつかなかった。
  ネコは正直だ。
 ネコが大好きなのが“鮭缶汁かけご飯”。
 缶を切る音がするやいなや「ニャ~ゴ!ニャ~ゴ!」などと異様な声で迫ってくる。ネコなのにトラのような迫力だ。食われちゃうかと心配したぜ。
 缶汁をかけるが身は載せない。皮や骨を少しサービスすることはある。
 あの頃のネコに思いを馳せ“鮭缶釜飯”をやった。
 鮭缶といってもよく見ると、さけ〈からふとます〉とある。からふとます缶じゃないか。
 パイナップルや白桃の缶を開けてもネコは勘違いして音に反応する。
 ニャーニャーうるさいが、缶詰の匂いを嗅がせるとさっきまでの騒ぎは他人事のようにスッと踵を返しスタスタと去って行く。後ろ姿が凛々しい。
 情熱とクール。ネコの魅力だ。

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 1つじゃ少ないから2缶。あけぼの印。からふとます缶。
 缶汁、醤油、酒、水を2合。
 香り付けや匂い消しは入れない。そのものを味わいたいからだ。

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 コメ3合に鮭の身を載せいつものように炊く。ダシ昆布は切らしている。
 お焦げ作り。1秒2秒3秒・・・42秒。パチパチ音最大。5分蒸らす。
 台所は鮭缶の良い香り。猫がいればニャ~ニャ~うるさいに違いない。

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 完成。混ぜる。
 おやっ、パラパラだ。

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 あらっ。お焦げが鍋底に貼りついて取れない。
 いくら渾身の力を込めてグリグリやってもダメだ。
 鮭缶の脂がくっついたのだろうか。
 実はお焦げ作り20秒で良い音がしていた。だがいつもは40秒以上だ。まだだろう。
 耳より統計の数字を重視してしまった。モノによってお焦げの出来るスピードは違う。
 信じてもらえなかった可哀想なオレの左耳。次からは耳の感覚に全権委任し数字は数えないことにした。

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 喰らう。
 「うまい! にゃ~~~ん!」
 俺もネコになった。
 キリリと炊けたご飯がパラパラを踊っている。良いカンジに味がついている。
  マサ釜飯では初の感覚。感激の歯触り舌触りだ。
 このパラパラ感は、大宮そごうで買って上越新幹線車内で食った崎陽軒の“横濱チャーハン”に似ている。
 1粒1粒が油を纏ってかたくパラパラふんわかだった。
 チャーハン弁当と銘打ってもピラフのようだった。
 とてもよく似ている。

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 初鮭缶釜飯はおいしかった。
 シンプルが好きだから鮭缶のみ。でも単純すぎた。色目が悪い。枝豆を合わせたらイイかもしれない。歯触りと色彩。
 子供の頃飼っていたネコ達の顔が走馬燈のように駆け巡る。
 個々の顔の違いはほとんど忘れているけどとにかく浮かぶ。
 ネコの気持ちになって食べたから、ことさら美味しかったのかもしれない。
 「ニャ~ン」(2012.6.25)