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 新米はうまい。毎年10月に玄米を買う。
 わからないくらい少しずつ劣化するから1年前の米でも「うまい、うまい!」と食っているが、新米を食うとその違いにびっくりする。
 香り、瑞々しさ、甘みが全然違うのだ。
 この感動を毎年必ず味わえるのだから日本人は幸せだ。

 新米オカズ第1弾は自家製甘塩鮭。3日熟成で塩の馴染みがもう一歩だったがうまかった。
 第2弾。おにぎり。5日熟成の鮭。サイコ~のおにぎりが出来た。3合。
 第3弾は期待のメバチマグロ。
 ヅケでなくワサビ醤油をつけながら炊きたてコシヒカリ2合を食べた。いつもの食料品店のいつものメバチ。だがしっとりさが欠如し期待に届かない味だった。
 いよいよ納豆の登場だ。第4弾。
 納豆は第1弾か第2弾に登場させるべき味。
 常軌を逸した暑さだった今年の夏。3度食った納豆は3度とも精彩を欠いていた。
 だから新米オカズに躊躇っていた。

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 嬉々として使っていた“電動鰹節削り機”。
 4~5年前に静岡の会社から買った。38,000円もした。
 最近、わんさか削れない。良い具合にカツブシが出来ないのだ。
 刃の摩耗か、本枯れ鰹節の保管に問題があるのか。
 納豆にはネギ、カツブシ、醤油、かいた和芥子。この基本形がうまい。
 だが色んな味を試したかった。
 満足なカツブシを得られないことも手伝ってしらす、キハダ、メバチ、甘えび、カンパチ、オクラ・・・を投入してバリエーションを展開していた。
  異様な暑さでそれら相棒が納豆に悪い作用を及ぼしたのかも知れない。

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 どうしても“納豆基本形”を新米に合わせたい。
 苦肉の策として、にんべんフレッシュパックソフト大かつおかれぶし削り、を使うことにした。
  自分で削ったのに比べると紙みたいな舌触りと少ない旨味。でもこれでやろう。背に腹は代えられない。

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 100回攪拌。

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 ネギ、カツブシ、醤油、芥子。

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 150回攪拌。完成。

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 2合メシに載せる。載せる時にまた50回。計300回攪拌。食う。
 「うまい!」
 これだ。この味だ。
 久しく遠ざかっていた基本納豆。これが納豆の王道なのだ。
 しらすやマグロを入れれば確かにうまい。だが納豆の道(?)を外れたうまさなのだ。
 行ってはいけない禁断の道を歩いたような気がする。
 道に迷わないうちに我に返って良かった。

 とってもうまいが完璧じゃない。シンプルに過ぎる。なぜだ?
 削りたて本枯れ鰹節じゃないからだ。
 でも余韻はすばらしい。納豆の神髄が味蕾に鼻孔に宿って抜けていかない。
 食後すぐ歯を磨く習慣のオレ。だが今日ばかりは10分遅らせた。
 ステキな余韻を楽しんだ。

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 さぁ、一旦基本形に帰ったぞ。リセットした。
 またふらふらと納豆バリエーション展開“放浪の旅”に出る。“流浪の民”になるのだ。
 奇想天外なモノを合わせよう。
 たとえばクジラ刺身、鶏そぼろ、煮干しを焼いて砕いたモノ、刻んだあぶらげ・・・。
 「こりゃ合わない!」「ぜんぜんダメだ!」「おっ、意外に良いぜ!」「おぉ、こんなにうまいとは信じられない!」
 などとわめきながら迷路に入る。そしてまた
 「やっぱり納豆は基本形だ!」
 そんな結論に達し、一件落着するに違いない。(2012.10.22)