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 鶏ササミはほとんど食わない。
 ムネも稀で、もっぱらモモだ。コクも脂もあってサイコ~にうまい。
 しかも鶏肉は安い。安くてうまいとは“鬼に金棒”だ。
 ホテルニューオータニ博多裏の大衆天ぷら屋“楽ちゃん”。
 エビ、キス、アナゴ、アジ、イワシ、サバ、ゴボウ、かき揚げ・・・1品100円前後で揚げたてを食える。総菜屋の値段でプロの技を堪能できた。
 2年前、中洲のKちゃんに教わった店だ。昨年とつぜん閉店してしまった。
 「アジから左を全部揚げてください!」
 カウンター頭上に並ぶ札を見て豪快に注文。
 「えっ!!!」
 隣席の家族連れの40歳くらいの可愛い母がビビッた。
 訪福のたびにガンガン喰らった。口腔内火傷をモノともせず常軌を逸したスピードでビールと一緒に平らげた。食った後はハラが布袋様のように膨らんだ。
 初めて食べた“ささみ天ぷら”。凄くうまかった。
 熱々だ。ササミなのにじゅばっとジュースが溢れる。肉汁だけだろうか。酒を含ませたのか。
 俺もササミ天ぷらをやりたくなった。やるぞ。

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 「鶏ササミありますか」
 「どのくらいですか」
 「1kg」
 「はいございます」
 いつもの食料品店肉売場の若人。シャキッと仕事をしてくれる。
 1kg入り袋。これを仕入れて小分けして売るのか。

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 19本。1本52.6gだ。キッチンペーパーで水気を取る。
 スジ抜き。
 ピョンと5mmくらい出ているヤツを左指で挟み俎板に押しつけ引っ張りながら包丁でグググッとこそぎ取る。
 ほぼ巧くいったが途中で切れちゃうのもあった。何事も完璧にはいかないものだ。

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 粉を打ち、濃いめの天ぷら衣を纏わせる。
 2回に揚げる。10本と9本。

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 真っ新の油。

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 第1弾。じゃ~~~っ。揚げ物はこの音響がイイ。
 ひとつ試し食い。真ん中がまだナマだ。
 もう少し待つ。よし。10本全部引きあげた。
 食った。

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 「うまい!」 
 ササミなのにジュバッと溢れる肉汁。予期せぬジュースの多さに驚いた。
 塩、醤油、酢醤油、天つゆ。天つゆはきつねうどんで余ったのを冷凍しといたツユ。
 酢醤油がうまい。
 ささみが淡泊だから天つゆより酢醤油が合うのだろう。
 マヨネーズも試したがイマイチだ。

 第1弾を5本食べ第2弾を揚げあがった頃、汗がカラダ中から噴き出し台所の床は水浸し(?)になった。今は8月。全裸料理だから汗を吸い取るものがない。
 8個でハラ一杯。420.8gだ。
 肉は600gを確実に食う健啖家のオレ。420gとはどうしたのだ。健啖家返上か。
 暑い中、熱い油の前に立っての料理。ビール1リットル。繊維が強いから予想以上の歯応え。
 それらの合併症だろう。
 それとも「これくらいが丁度良いんだよ~」と理性の芽生えたカラダがオレの食欲にブレーキを掛けてくれたのか。
 うまかったが、淡泊なササミばかりでは飽きてしまう。
 “楽ちゃん”で感激したのは、ササミがサカナの天ぷらの中のひとつだったからかもしれない。
 やってみてわかった。

 嗚呼、料理は楽しい。
 オレは好きな時に好きなモノを好きなだけ作ればいいが、毎日家族のことを思って好みや栄養を考え経費も考慮して料理する主婦は大変だ。
 挙げ句に不味いのなんのと言われちゃ立つ瀬がないぜ。
 「料理は楽しい!」なんて言ってられないだろう。

 オレは明日も気楽に料理するぞ。
 それがマサ料理だ。(2012.8.14)