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 名古屋に来ると必ず行く宮鍵。かしわと鰻の老舗。
 一度櫃まぶしを食べたがうまくない。そこでもっぱら鶏と決めている。
 わさび和え、もも焼き、つくね焼きでビール。そして挽肉親子丼がお気に入り。
 前回、鶏丼に食指が動いた。次回はこれを食ってやろう!と決心していた。

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 「あれっ!サンダル左右違う!」
 白衣の初老女性店員はオレのビーサンに驚き、ぶっきらぼうな声を上げる。
 「お洒落でしょ!」
 「・・・」
 スルーされた。
 「こういう風に売ってるの?」
 「ふたつ買って交互に履く」
 「ふ~ん」
 盛り上がらない会話。
 「ビールはキリンありますか?」
 「は~い、キリンね」
 「霜降りの(あか)ってモモ?」
 「そうです。でも時間かかるよ!」
 「じゃ赤じゃないヤツ。あと焼きどり(てり)と鶏マヨネーズ和え」
 「はい」
 このぶっきらぼう店員は紙の切れ端にものすごく乱暴な字を書き殴る。あとでちゃんと読めるのだろうか?

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 「はい、ビールです」
 江戸切り子みたいな青いグラス。日本酒を飲むにはいいがビールには適さない。
 ビールのステキな色と泡がわからない。これではビールを呑んでる気がしない。

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 「はい、霜降りです」
  ビールを一口呑んだらもう出た。早い!早すぎる。食べる。
 「!!!」
 超冷え冷え。異様に冷たい。器に至っては氷のようだ。
 作り置きして傷まないように冷蔵庫でギンギンに冷やしておいたのだろう。
 ムネ肉を厚めに切ってサッと湯通しして氷水。作りたてが食いたかった。
 モモは作り置きしてないのだろう。それで時間がかかると言ったのか。やれやれまったく。

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 「はい」
 何を持ってきたか言わない。あれっ、こんなモノ頼んだかな?
 臭い。鶏のヘンな匂い。これは何なんだ?鶏マヨネーズ和えか。マヨネーズが見えない。
 食べる。
 「???」
 食べても感じられないマヨネーズ。一緒に混ざったセロリが強すぎる主張。

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 「焼きとりです」
 焼きどりと書いてあるのに店のヒトは濁音なし。じゃぁオレもムリに濁音を発するんじゃなかった。
 これも臭い。今日の鶏はヘンだ。
 焼き鳥風なこの料理。串を抜かれた一串分だけが皿の上でだらしなさそうに寝そべっている。見るも無惨な姿。
 あたかも電動式玩具やゼンマイ式おもちゃが壊れて動かなくなったかのように、抜け殻然としている。命を抜かれている。
 やっぱり焼き鶏は串がなきゃダメだ。
 ももだから歯応えだけはある。旨味も鶏ももの醍醐味もない。
  焼きとりが来た時に鶏丼を注文。

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 「鶏丼です。これで1、2、3、4全部来ましたね」
 「はい」
 見たとこ貧弱。ご飯の上に煮た青ねぎ、その上にまばらな煮た鶏。
 こんな可哀想などんぶりはあまり見ない。食う。
 「???」
 海のものとも山のものともつかない、得体の知れない味。
 ぼやけた、何だかわからない味。
 ご飯に合わせるにはもっとパンチを効かせる必要がある。
 残したいが“いっぱい頼んで食べきれないアホな客”と思われるのもシャクだ。
 ムリして全部食べた。ご飯粒が10粒ほど残る。うまいと1粒も残さないのにうまくないとまったく気にならない。

 何年かぶりに来るたび客あしらいが巧くなる若女将。初めて見た時はヘタだった。若女将業が板についていなかった。
 さんまの“恋のから騒ぎ”1年目か2年目の「コリー」ってあだ名の長身女に似ている。
 または大原かおり似。

 コリーでもかおりでも、イマイチ味では足が遠のきそうだ。(2015.4.17)